男装王女はくじけない

お豆腐大好き

文字の大きさ
14 / 16
第二章 ギルド 銀の鈴

Another side

しおりを挟む


森で変なやつに会った

いつも通り狩場に罠をしかけて、目印の焚き火も炊き、簡単な依頼をこなしてから川で水浴びをし、朝に仕掛けた罠を見に来たら、獲物ではなく人が転がっていた。

声をかけて見たが返事がない。………死んでんのか?
……………脈はあるな、寝てるのか

こんなところで寝るなんてどんな神経してるんだ?
と、思ったが、焚き火の中に放り込まれているニオイダケと木の実やらをを見て、あぁ、なんだ、と思った。

ニオイダケは鮮やかな色合いで食べたら即死の猛毒キノコだが、火で炙ると魔物達の嫌がる強烈な匂いを発するお役立ちアイテムだ。

だが、この辺の魔物の中にはたまにこれが効かない奴もいる。
まともな神経をしてるなら、こんな所で野宿なんて絶対にしないはずだ。


「……ゥゥ……」

………!…起きたのか?
こんな小さいのに、こんな場所にいるなんて、少なくともただの一般人では無いはずだ

少し後ずさって左手に剣を構える

やつは少しモゾモゾと動いたあと、何やらブツブツと呟き出した。
(…魔法か?いや、でもこいつからは全く魔力が感じられない)
俺は構えていた剣を納め、声をかける

「…………おい」

「……………」

返事がない、起きてるよな?こいつ

「……おい」

「……………………」

相変わらず何やらブツブツと呟いている。
まさか、こんな所で頭がおかしくなったのか?

「…おいっつってんだろ!死んでんのか?」

「はいぃ!生きてます生きてます!今めっちゃお腹痛いんですほっといてくださ………」

少し強めに呼びかけたところ、明らかに驚いた声で返事をし、こっちを振り向いたまま、停止してしまった。なんなんだよ一体………


「…………お前、こんなとこで何してんだ。死にたいのか?」

「…今絶賛死にそうなんですが、」

はぁ?自殺志願者かよ、死にたいなら死にたいでもっと別のところ行けよな……こんな所で死んだりなんかしたら、死体も残らないぞ

「おいやめろ、俺の前で死ぬんじゃねぇ。死ぬなら別のところに行け」

「死にたくないので助けてください」

なんだ自殺志願者じゃあないのか。そういや、さっきお腹が痛いとか何とか叫んでたな……チッ…面倒臭い……


「……お前、名前は」

「……!ア………レンと言います!」

「アレン、お前動けるか」

「………無理です」

「じゃあ、担いで行くぞ」

俺はアレンを肩に乗せて運んでやろうとする。いつもマスターはこうやって俺を医務室まで無理やり運ぶんだよな…

「あ、待って、その担ぎかたは……ブフゥ……」

「おい、どうした」

なんだかアレンの様子がおかしい、なんだって言うんだ

「僕…………お腹…………痛いって…………」

アレンは真っ青な顔でそう告げると、口元に手をすくうような形で抑えて

「おい待て、なんだその手は、おい、やめろよ、「オエエエエ」うわぁぁぁああ!!!」




あぁ、最悪だ


----------------------------------------


ひどい目にあった

せっかく善意で助けてやろうとしたら、あろう事か俺の上で吐きやがった。

………いや、俺も悪いところはあった、と思う。

だが、散々な目にあったことは確かだ。
奴は焚き火のそばで毛布にくるまっている。
ほんとに神経図太いな、こいつ。
そう言えばあれから全く叫ばなくなったな

「……そういや、アレン、お前もう大丈夫なのか」

「………あれ?そう言えばお腹痛いの治ってる!やっぱ腐ってたのかなぁ……」

「腐ってた…ってお前何食べたんだ?」

「その焚き火の中に転がってるキノコ」

一瞬何を言っているのか本気で理解出来ず、自分の耳を疑った


「………は?」

「だから、その焚き火の中に「いやまて、ちょっとまて、お前、これ、………………食べたのか?」

猛毒キノコだぞ?食べたら即死の

「うん、食べたけど………やっぱ腐ってる?ごめん、僕そういうの見分けつかなくて。前は他の人が食べれる食べ物渡してくれてたんだけど………それに似てたから大丈夫かなーって思って」

「……………」

いや、そんなわけないだろ…毒を渡してくるような奴とかどんなやつだよ

「えーっと…どうかした?」

本気でそう思っていると言わんばかりの目に、俺は深く考えるのは辞めた。きっとこいつは秘境かどこかからうっかり現世に迷い込んでしまったのだろう。

「…………いや、何も」

「そっか」

こんなやつを一人で放っておいて大丈夫なのか?初対面とはいえ、こいつの将来が心配になってきた。








----------------------------------------
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

元恋人が届けた、断りたい縁談

待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。 手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。 「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」 そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

幸福なる侯爵夫人のお話

重田いの
ファンタジー
とある侯爵家に嫁いだ伯爵令嬢。 初夜の場で、夫は「きみを愛することはない」というけれど。 最終的にすべてを手にした侯爵夫人のお話。 あるいは、負い目のある伯爵令嬢をお飾りの妻にして愛人とイチャイチャ過ごそうと思ったらとんでもないハズレくじを引いちゃった侯爵のお話。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...