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僕がナオさんのアトリエに躊躇無く通える様に成ると、指輪を首に掛けた小さなデッサン用の人形の横に美鈴用のPHSが並んでいた。美鈴が「重いし邪魔だから、リード付きの犬は卒業する」と言って返却して来たらしい。皆は「また野良に戻った」と笑い。美鈴は腐女子活動の原稿の締め切り間近にしか姿を見せなくなった。
ナオさん曰く…、美鈴は早朝と夕方にバイトに通い…100円均一、カードゲームや家庭用ゲーム機のソフト屋のイベントがMyブームで忙しいのだそうだ……。
アトリエで美鈴を見掛ける事が減った頃。僕は徹さんに話し掛けられた。徹さんは土建屋で働き始めたとかで日に焼け、前より更に逞しく成った体を縮め、申し訳なさそうな雰囲気で「美鈴は如何している?」と聞いて来る。僕が素っ気無く「ナオさんに聞けば?」と言うと徹さんは、新しい恋人と仲良く笑い合うナオさんに一度目を向け、溜息を吐き…、腰に下げた逆さの十字架のキーホルダーに触れ、握り締め、小さなデッサン用の人形の方を見詰め「美鈴に伝えて欲しい。もう、要らないかもしれないけど…、今度は、自分で働いた金でレプリカでは無く本物を贈りたい…次の給料が入ったら目標金額に達するから会って話がしたいと……」と言う。
僕には徹さんに対して言い知れぬ程に蟠りがあって、美鈴に伝える気も無く「美鈴に聞く気があったらね」と返事をし、徹さんは「ありがとう」と言って笑っていた。勿論、美鈴と会っても、僕は徹さんの話を美鈴に伝える事は無かった。
その後も何度か、僕は徹さんからの伝言を預かり「美鈴が聞きたがらなくて伝えられてない」と返し続ける。雨の日にしか来ない徹さんと、晴れていて気が向いた日にしか来ない美鈴は擦れ違い続け、死が二人の未来を修復できないよう、完全に分かつまで、美鈴は徹さんからの伝言を知らずに過ごした。
周囲も同じ様な伝言を預かっていた様子だけど…、僕が「美鈴が聞きたがらなくて」と言っていた為、美鈴を悪者にして故意に伝えなかったと言う事が後に判明する……。
「美鈴が聞きたがらなくて伝えられていない」と言うのは、本当では無いが総てが嘘では無い。美鈴から徹さんの事を聞かれる事は無かった。だから「美鈴が聞きたがらなくて」の真実は、皆が思っていたモノと少し違う。僕は徹さんからの伝言を聞くか聞かぬかの選択肢を美鈴に尋ねてはいなかったのだ。
それでも美鈴は反論するでも無く、破局の原因が徹さんの浮気だった事を知らぬ皆からの罵倒を受け入れ、サークル活動からの「追放」と言う言葉を静かに受け入れた様だ。「部外者が何様のつもりなのさ」と苦笑いし、その場所と、その場に居る人間に対して興味を無くしたかの如く「えぇ~よwもう関わる気ぃ~無いし」と負け惜しみを言って帰って行ったと皆が悪口を挟み口々に言う。
女とは何故、こんなにも醜い表情で他人を愚弄し、楽しげに笑っていられるのだろうか?僕には女を好きに成れる男の気持ちが理解できない。
僕とナオさんは断罪の場に居らず、後に成ってから知って、浮気の相手がナオさんだった事だけを秘密に反論した上で、嘘を並べ僕を巻き込もうとする女を突き放し「僕は美鈴に一度も、徹さんからの伝言があった事すらも伝えていない」と宣言する。ナオさんの方は最近、美鈴に徹さんを避ける理由を質問し「会いたいとも言われない相手に会って如何するのさ」と聞いたと皆に話す。
断罪追放に成るに至ったウソとホントの仕分けが始まった。御陰で僕の話を真に受けて話を盛り続けていた人間が浮き彫りに成る。彼女は徹さんの事が好きだったらしい。だからと言って、世の中[恋心]を免罪符にしてはイケナイ事の方が多い。やって良い事と悪い事の区別付かずの彼女は「私は悪くない」と繰り返し「悪いのは反論もしなかった美鈴だ」と訴える。
そして、現実問題。周囲に嘘を吹き込み、嘘を盛り込んだ言葉で責め立て、反論も許さず追い出して良い訳がない。僕が思う普通を普通と思う事が出来る女もいたのだろう。
ドライで面倒臭がり屋な野良気質。通い猫のスタンスを愛する美鈴は皆に失望して、他の居場所に移動しただけだが、誠実で真面目な子等は「傷付けてしまった」と美鈴を連れ戻しに行ったらしい。但し、野良な気質の美鈴は、一カ所に留まらず。自宅にも居らず。皆が知る美鈴の居る定番の場所と言うのはナオさんのアトリエしかなかった為、暫く美鈴は誰にも捕まえられず。やっと連絡が取れたのは半月後、未練も想い出も裁ち切り済み…、美鈴は今まで通り、自らが飽きたモノの関連の知人に対する様に一定の距離を置き、話題に対して気が向いて雑談する事はあっても、決して元の様に他の皆との距離を縮める事は無かった……。
ナオさん曰く…、美鈴は早朝と夕方にバイトに通い…100円均一、カードゲームや家庭用ゲーム機のソフト屋のイベントがMyブームで忙しいのだそうだ……。
アトリエで美鈴を見掛ける事が減った頃。僕は徹さんに話し掛けられた。徹さんは土建屋で働き始めたとかで日に焼け、前より更に逞しく成った体を縮め、申し訳なさそうな雰囲気で「美鈴は如何している?」と聞いて来る。僕が素っ気無く「ナオさんに聞けば?」と言うと徹さんは、新しい恋人と仲良く笑い合うナオさんに一度目を向け、溜息を吐き…、腰に下げた逆さの十字架のキーホルダーに触れ、握り締め、小さなデッサン用の人形の方を見詰め「美鈴に伝えて欲しい。もう、要らないかもしれないけど…、今度は、自分で働いた金でレプリカでは無く本物を贈りたい…次の給料が入ったら目標金額に達するから会って話がしたいと……」と言う。
僕には徹さんに対して言い知れぬ程に蟠りがあって、美鈴に伝える気も無く「美鈴に聞く気があったらね」と返事をし、徹さんは「ありがとう」と言って笑っていた。勿論、美鈴と会っても、僕は徹さんの話を美鈴に伝える事は無かった。
その後も何度か、僕は徹さんからの伝言を預かり「美鈴が聞きたがらなくて伝えられてない」と返し続ける。雨の日にしか来ない徹さんと、晴れていて気が向いた日にしか来ない美鈴は擦れ違い続け、死が二人の未来を修復できないよう、完全に分かつまで、美鈴は徹さんからの伝言を知らずに過ごした。
周囲も同じ様な伝言を預かっていた様子だけど…、僕が「美鈴が聞きたがらなくて」と言っていた為、美鈴を悪者にして故意に伝えなかったと言う事が後に判明する……。
「美鈴が聞きたがらなくて伝えられていない」と言うのは、本当では無いが総てが嘘では無い。美鈴から徹さんの事を聞かれる事は無かった。だから「美鈴が聞きたがらなくて」の真実は、皆が思っていたモノと少し違う。僕は徹さんからの伝言を聞くか聞かぬかの選択肢を美鈴に尋ねてはいなかったのだ。
それでも美鈴は反論するでも無く、破局の原因が徹さんの浮気だった事を知らぬ皆からの罵倒を受け入れ、サークル活動からの「追放」と言う言葉を静かに受け入れた様だ。「部外者が何様のつもりなのさ」と苦笑いし、その場所と、その場に居る人間に対して興味を無くしたかの如く「えぇ~よwもう関わる気ぃ~無いし」と負け惜しみを言って帰って行ったと皆が悪口を挟み口々に言う。
女とは何故、こんなにも醜い表情で他人を愚弄し、楽しげに笑っていられるのだろうか?僕には女を好きに成れる男の気持ちが理解できない。
僕とナオさんは断罪の場に居らず、後に成ってから知って、浮気の相手がナオさんだった事だけを秘密に反論した上で、嘘を並べ僕を巻き込もうとする女を突き放し「僕は美鈴に一度も、徹さんからの伝言があった事すらも伝えていない」と宣言する。ナオさんの方は最近、美鈴に徹さんを避ける理由を質問し「会いたいとも言われない相手に会って如何するのさ」と聞いたと皆に話す。
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ドライで面倒臭がり屋な野良気質。通い猫のスタンスを愛する美鈴は皆に失望して、他の居場所に移動しただけだが、誠実で真面目な子等は「傷付けてしまった」と美鈴を連れ戻しに行ったらしい。但し、野良な気質の美鈴は、一カ所に留まらず。自宅にも居らず。皆が知る美鈴の居る定番の場所と言うのはナオさんのアトリエしかなかった為、暫く美鈴は誰にも捕まえられず。やっと連絡が取れたのは半月後、未練も想い出も裁ち切り済み…、美鈴は今まで通り、自らが飽きたモノの関連の知人に対する様に一定の距離を置き、話題に対して気が向いて雑談する事はあっても、決して元の様に他の皆との距離を縮める事は無かった……。
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