ある暗殺用に育てられた筈の花が畑違いな場所で…

mitokami

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 水路に囲まれた陸の孤島。雑木林を背後に建つ元は白かったであろう御屋敷。その前には馬車がUターンできるよう整備された道。その中央には枯れた噴水。道の左右には、そこに住む者達が自給自足する為に作った畑。道の先には跳ね橋。二つの跳ね橋を両方降ろさねば通れない。渡れない。出られない。育てている子供達を孤立させる為に作られた謎の施設。

 子供達の一番上の年齢は…、男の子の場合、十代前半まで…、女の子は十代半ばまで…、若しくは需要があれば幼くても身綺麗にされた後、強制的に何処かに連れて行かれてしまう……。そこで何があるか?は、想像力が豊かであれば、気付けない事も無い事は無いかも知れない環境。
見目が奇麗な子等をこんな場所に集めての常識だからと、そう言う授業を受けさせられているのを見て、知らない訳では無いから、は、知りたくも無いけどある程度は想像して理解している。それ以前に子供達が多いので、入れ替わりが激しい。
そんな施設で私を含めた10人前後の子供達は生活を共にしていた。

 そんな当時、私が前世の記憶を一度に沢山思い出す前。
割り当てられた畑仕事が終わると、動物好きの子等が集まる御屋敷の裏にある小動物を育てる小屋では無く、私はその隣の硝子張りの温室へ行き、木陰の木の幹に生える裏側が蛍光色に光る茸を見付けては「これって、はやさせちゃダメだったきがしなくもない」と思い乍ら、茸の裏を覗き込む事を日課の一つにしていた。

 と、言う訳で、その日も私は月夜茸的なのや水仙ぽいの、光ってなきゃ鈴蘭にしか見えない花等の食用に適さない温室の茸や植物を眺めに行っていた。のだが、何故だかその日は外から何時もより大きくワ~キャ~騒ぐ声が聞こえて来る。立ち上がって外の方を眺めていたら、見覚えのある子等が私に向かって手招きし「イィ~レちゃん!たすけて!」「てつだって!!」と言っているみたいだった。
中には涙目に成ってる子も居る。確か、あの子は動物を抱っこするのが大好き過ぎて、動物に嫌われてしまっている子だった気がしないでもない。「また、だっこしようとして、ネズミかウサギでもにがしたのかな?」と思い。仕方なくでも、気軽に手伝いに行ってしまわなければ、現実に気付いて苦悩する事も、憤りを覚える事も、罪悪感に苛まれる事も無かったのかもしれない。と思わないでも無いけど、私は年長者の使命感的なアレで手伝いに行ってしまった。


 まだ、文章を読めないのに本を読んだ記憶と、覚えている本の内容。
因みにその当時は、文字を教えて貰い覚えている所。私ってば単語を覚えきれてなくて文章が殆ど読めないのだけど何でかな?誰かに呼んで貰ったのを覚えているのかな?って勘違いして思っていた気がしないでもない本を読んだ記憶。
そもそも、本を読んだ。又は読んで貰ったのは何時の事だったのだろうか?と、思っていたがあって、でも、心の片隅でソレが「アリエナイ」と思いつつも、からソレが仕方の無い事だと判断できる様に成ったがある。

 新しい今、味や何かで毒の存在に気付く事が出来る様に成っていた。割り当てられた料理に混入している毒物に気付いてしまった。何故だか分からないけど、今の私は味と舌の感覚、心臓に繋がる指の痙攣からコレが毒入りである事を判断する事が出来ている。
コレを食べないと飢え死にするし、コレを食べ過ぎると毒の影響で苦しみ、死ぬ事だって当たり前の現状。前世の記憶を思い出してからは、世知辛いと思い乍らも、毒入りの食事を躊躇無く普通に摂取している。

 それ等の事に気付けるように成った切っ掛けは、角の生えた兎っぽいのを追い掛けていた年下の女の子が堀の淵を踏み外し、水路に落ちて食べられ、その子供を食べた水場に住む背中に刺さりそうな突起物を生やした鰐っぽいのと、その子の血肉に触れた同じ種類の別個体である鰐っぽいのや触ると鱗で手が切れる肉食の魚が水面に浮かび上がり、腹を上にして痙攣し、口や鰓をパクパクさせ死んで行くのを目の当たりにしてしまってからだろう。

 そう言えば、小動物に咬まれた子が出血していた場合、咬んだ方の動物の方が、のた打ち回って死んだのを今まで何度か見た事ある気がしないでもない。他にも、この施設の子供達の汗や涙を舐めた小動物が死んだのも目の当たりにして来た記憶もあるのだが、何故に如何して私は今まで、それ等の事に気付けなかったのだろうか?

 それより何よりの私の個人的な驚愕的事実。あ、私ってば何時の間にか異世界転生してなくない?(A.異世界転生しています。)
後、追加で気付いた事実。普段から水を汲み、飲み水や畑の水遣りにも利用している幅広い水路の水には、肉食の鰐っぽいのや、その鰐っぽいの同様、人間を襲う肉食の魚が放し飼いにされている。と言う事。その時まで逃げる気も無くて、その事に何とも思わなかったのだけど、その時から私達は、ここから逃げ出したくても逃げられない事と知る。

 何よりヤバイのが、この場所では飲食物に大なり小なり毒が混入している為に生存率が低い。と言う事。
連れて来られたばかりの赤子が当日中に死ぬ事は良くある事で、ある程度育った子でも、着任したばかりの無知な職員でも、イジメの標的にされた既存の職員でも、食事中に死んでしまう事が当たり前に成ってしまっている事だ。

 ここで余談と成るが、子供が死んだら、その死んだ子に当て嵌められていた番号が新しく来た子に付けられる事が多い。私は例外で小さな数の番号に空きがあったのに11番。
この地域では珍しい黒髪黒目で不吉な感じだと施設長が言ったらしく、そこから何故か連想ゲーム。不吉なイメージから烏を連想し、烏の中でも一番黒い[渡烏レイブン]をもじって、[11イレブン]と言う事に成ったらしい。この世界にも駄洒落好きが存在するっぽいんだけども、これは普通に笑えない。

 そう言えば、昔(転生前)、そんな暗殺用の道具と成る人間を赤ちゃんから育て、出荷してたって言う更に大昔の資料をオタク根性で調べ出し、読んだ事があったなぁ~と思い出した。確か、TLエロイ漫画のネタにされていた時期があって、そのネタ元の年代の事柄を必死に調べて和訳してまでして読んだ気がする。

 因みに、今世の今現在、私達が裸にされる様な目視だけの身体検査を受けた程度では気付かれる事無く、何処にでも簡単に毒を持ち込める存在と成り、私達自身が所持品から証拠が見付けられる事の無い[暗殺用の道具]である事に気付いた。
面白くも無いし、笑えない現実だなぁ~。その資料に、その道具は使われようが使われまいが早死にするって書いてあった気がしないでもない。

 そして、そんな笑えない現実の中で、自分に割り当てられた食事の一部を善意で他人に分け与えた事が無きにしも非ず。もっと早く提供されている食事に毒物が混入されている可能性に気付けていたら、そんな事はしなかった事だろう。
知っていれば、私が親切心で自分の食事を分け与えてしまった結果、分け与えた食事に含まれる毒が原因で、相手を苦しめたり殺してしまう事無く済んだかもしれない。と思うと心苦しい限りだ。

 これからは、絶対にこの場所で提供される食事を分け与えない事を心に誓おう。毒物を人に与えないようにしよう。と思ったのだけど、近い未来に、この誓いは破られる事と成る。自分より下の子を面倒見るのがこの施設のルールだからだ。自分のを分け与えなくても、提供される食事は毒入りで呪われてもいる。

 そもそも、井戸水や周囲を囲む水路の水、その水で育った植物、その場所で育った動物、その動物から搾乳できる乳にも微量なりとも毒物が混入しているのだ。毒入りで無い物は、この施設内でほぼほぼ存在していない。
何故に毎日、施設の職員用に水や食料が荷馬車で運ばれて来ているのか?と言う事に気付けなかったのだろうか?これは無知の成せる業。俗に言う不徳の致す所と言うヤツだろうか?
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