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私は王宮の影の元頭領である爺さんから読唇術と隠密や隠蔽の技術を習う事と引き換えにして、密かに心の中で、今だけ兄を助けられたかもしれない過去への思いに背中を向ける事にした。
そう世の中、気の持ちようで気の所為かもしれないが周囲の反応が変わる。もしくは、変わったように思える。
そして、爺さんから得た技術と王宮の影との縁は、私に色々な情報を齎せてくれる様に成るのであった。私は直接目撃したり、影から話を又聞きして、聖女の言葉の意味を理解し、聖女とやらの人間性を分析し、隠蔽の技術で上手に本音を隠し、物理的にも精神的にも聖女へ近づく事ができる様に成った。
その時期から、彼女は男装を常とする私に対し「ヅカっぽくて良い」とか言っていた。彼女の言う[ヅカ]と言う言葉の意味は、まだ良く分からないが、私の様な男装している女を指す言葉なのだろうと一応解釈してスルーして置く事とする。
続いて、第三王子に対する「王子は私のオシ」と言う言葉は、「ドウタン拒否」と言う言葉とセットで理解した。
王子の事が好きで追い掛けている御令嬢達と敵対している事から、それを一緒に考察して、取り敢えず王子の事が大好きであると言う事を表現する言葉なのだと判断。
聖女が自室に誂えた豪華な祭壇に、王子の肖像画や王子に似せた自作のぬいぐるみ、嘗ては王子の私物であったであろう物品の数々と王子の使用済みの何某かを飾り、更にそれらを王子に似合いそうな物で飾り付ける「オシカツ」と言う行為も、王子の事が好きだからできる事なのだろう。と思う。
但し、神殿関係者が住まう宿舎に配置された聖女の部屋の状態としては如何なモノか?と思ったが、自分がその様なオシカツとやらをされている訳では無いし、私には関係無い事なので、聖女の自室に招待されて見せられた時、正しい反応か如何かは分からなかったが微笑んで「聖女様らしい素敵な御部屋ですね」と社交辞令を口にするに留めて置いた。
そして、部屋や祭壇を褒めてしまったからか?何度も聖女の自室に招待され、聖女がオシている第三王子の話を延々と聞かされながら御茶を飲む羽目に成った事を後悔する事と成る。
そんな日々が、聖女が納得する魔王を倒す為のパーティーメンバーと言うのが揃うまで続いた。
取り敢えず。国の偉い人達の覇権争い含みな上、聖女が信託と言う言葉を盾に独身で見目の良い男で無ければ了承しなかった為に無駄に時間が掛かった気がしないでもない。
因みに、私は聖女の友人兼、護衛枠。王宮に仕える影と言う組織の元頭領の爺さんは、私が聖女の友人として「孫の敵を討ちたいと願うオジイサンも一緒に連れて行ってやって欲しい」と「慈悲深き聖女である君なら許してくれるだろ?」と聖女に頼み込み、雑用係として爺さんの同行を許可させる事が出来た。
それにしても、魔王を倒す為のパーティーメンバーとやらは、聖女自身が書いた日記の別紙に書かれている選ばれたとか覚醒したとか言う者達で無くて良かったのだろうか?
本音を言うと、魔王を倒す為のパーティーメンバーとやらは、見た目だけを重視され、戦う力があるのか否か微妙な気がしないでもないのである。
結果、私と爺サンは密かに話し合い。国王に報告書を出す序に相談し、都市の為に年表っぽい物と人物相関図、攻略対象の情報とやらから対象者を特定し、国王様をスポンサーにして予算を貰い、爺さんと同じ立場である雑用係として、見付けた者達に同行して貰う事にした。
そうこうする内に旅立ちの日がやって来た。
その頃には、聖女が書いた物と我が国や他国にも残る古い歴史も色々と調べ上げられ、一つの仮説が組み上がっていた。仮説はきっと正しいだろう。と、関係者の皆が思う。
聖女が余計な事をしていなければ、聖女が書いた年表通り、物事が年表に書かれた時期通りに起きていたと言う仮説も立ってしまっているから、聖女が余計な事をした所為で被害を受けた皆が、被害を受けた遺族の皆が憤りを感じた。
聖女の所為で奪われたモノ、大切なモノを失った質や量が多ければ多い程に恨み、憎しみ、憎悪と殺意を募らせたのは言うまでも無いだろう。
私や爺さんを含む攻略対象の遺族達、聖女が余計な事をしなければ大切なモノを失い喪う事が無かったかもしれない者達は自制心を鍛えつつ、読唇術と聖女の言葉を覚え微笑みながら、寝ても覚めても旅の終わりを夢見、魔王を倒した後の事を心待ちにしていた。
特に聖女の一番近くで護衛として行動を共にする私や、聖女の近くで行動を共にする者は、彼女の吐く「~(各攻略対象の名前)~だったら~(違う結果)~だったのに~」的な悪態の殆どを目の当たりにする事と成る。
私は、聖女が私の兄の名を口にする度に、自分の感情を抑えるのに苦労した。私と同じか、それ以上の憎しみを抱いているであろう爺さんは、連れて来た影と自らが動いて得た情報、彼女が口にした言葉の須らくを手中に収め、静かに静かに不自然の無い様に作り上げた微笑みを本来なら溢れていただろう涙の代わりに湛えていた。
御蔭で、私達は色々な意味で強く成れた。
押さえ付けていた感情を魔物の方に向けて戦っていたから、本陣である軟弱者の寄せ集めよりもずっと早く、ずっと強く成る事が出来たのだ。
だから、魔王討伐の旅は表面上和やかに目的地へと到着し、聖女率いる勇者達の戦いは先行する私達の活躍で止めを刺すだけの簡単な御仕事と成る。
魔王を倒した後の仕事に必要な浄化する力は聖女が一番強く持っていたから、私達は聖女の我が儘に対して静かに従い、魔王に止めを刺すのも、昔より表情を隠すのが上手に成った第三王子に譲ったのだ。
そう世の中、気の持ちようで気の所為かもしれないが周囲の反応が変わる。もしくは、変わったように思える。
そして、爺さんから得た技術と王宮の影との縁は、私に色々な情報を齎せてくれる様に成るのであった。私は直接目撃したり、影から話を又聞きして、聖女の言葉の意味を理解し、聖女とやらの人間性を分析し、隠蔽の技術で上手に本音を隠し、物理的にも精神的にも聖女へ近づく事ができる様に成った。
その時期から、彼女は男装を常とする私に対し「ヅカっぽくて良い」とか言っていた。彼女の言う[ヅカ]と言う言葉の意味は、まだ良く分からないが、私の様な男装している女を指す言葉なのだろうと一応解釈してスルーして置く事とする。
続いて、第三王子に対する「王子は私のオシ」と言う言葉は、「ドウタン拒否」と言う言葉とセットで理解した。
王子の事が好きで追い掛けている御令嬢達と敵対している事から、それを一緒に考察して、取り敢えず王子の事が大好きであると言う事を表現する言葉なのだと判断。
聖女が自室に誂えた豪華な祭壇に、王子の肖像画や王子に似せた自作のぬいぐるみ、嘗ては王子の私物であったであろう物品の数々と王子の使用済みの何某かを飾り、更にそれらを王子に似合いそうな物で飾り付ける「オシカツ」と言う行為も、王子の事が好きだからできる事なのだろう。と思う。
但し、神殿関係者が住まう宿舎に配置された聖女の部屋の状態としては如何なモノか?と思ったが、自分がその様なオシカツとやらをされている訳では無いし、私には関係無い事なので、聖女の自室に招待されて見せられた時、正しい反応か如何かは分からなかったが微笑んで「聖女様らしい素敵な御部屋ですね」と社交辞令を口にするに留めて置いた。
そして、部屋や祭壇を褒めてしまったからか?何度も聖女の自室に招待され、聖女がオシている第三王子の話を延々と聞かされながら御茶を飲む羽目に成った事を後悔する事と成る。
そんな日々が、聖女が納得する魔王を倒す為のパーティーメンバーと言うのが揃うまで続いた。
取り敢えず。国の偉い人達の覇権争い含みな上、聖女が信託と言う言葉を盾に独身で見目の良い男で無ければ了承しなかった為に無駄に時間が掛かった気がしないでもない。
因みに、私は聖女の友人兼、護衛枠。王宮に仕える影と言う組織の元頭領の爺さんは、私が聖女の友人として「孫の敵を討ちたいと願うオジイサンも一緒に連れて行ってやって欲しい」と「慈悲深き聖女である君なら許してくれるだろ?」と聖女に頼み込み、雑用係として爺さんの同行を許可させる事が出来た。
それにしても、魔王を倒す為のパーティーメンバーとやらは、聖女自身が書いた日記の別紙に書かれている選ばれたとか覚醒したとか言う者達で無くて良かったのだろうか?
本音を言うと、魔王を倒す為のパーティーメンバーとやらは、見た目だけを重視され、戦う力があるのか否か微妙な気がしないでもないのである。
結果、私と爺サンは密かに話し合い。国王に報告書を出す序に相談し、都市の為に年表っぽい物と人物相関図、攻略対象の情報とやらから対象者を特定し、国王様をスポンサーにして予算を貰い、爺さんと同じ立場である雑用係として、見付けた者達に同行して貰う事にした。
そうこうする内に旅立ちの日がやって来た。
その頃には、聖女が書いた物と我が国や他国にも残る古い歴史も色々と調べ上げられ、一つの仮説が組み上がっていた。仮説はきっと正しいだろう。と、関係者の皆が思う。
聖女が余計な事をしていなければ、聖女が書いた年表通り、物事が年表に書かれた時期通りに起きていたと言う仮説も立ってしまっているから、聖女が余計な事をした所為で被害を受けた皆が、被害を受けた遺族の皆が憤りを感じた。
聖女の所為で奪われたモノ、大切なモノを失った質や量が多ければ多い程に恨み、憎しみ、憎悪と殺意を募らせたのは言うまでも無いだろう。
私や爺さんを含む攻略対象の遺族達、聖女が余計な事をしなければ大切なモノを失い喪う事が無かったかもしれない者達は自制心を鍛えつつ、読唇術と聖女の言葉を覚え微笑みながら、寝ても覚めても旅の終わりを夢見、魔王を倒した後の事を心待ちにしていた。
特に聖女の一番近くで護衛として行動を共にする私や、聖女の近くで行動を共にする者は、彼女の吐く「~(各攻略対象の名前)~だったら~(違う結果)~だったのに~」的な悪態の殆どを目の当たりにする事と成る。
私は、聖女が私の兄の名を口にする度に、自分の感情を抑えるのに苦労した。私と同じか、それ以上の憎しみを抱いているであろう爺さんは、連れて来た影と自らが動いて得た情報、彼女が口にした言葉の須らくを手中に収め、静かに静かに不自然の無い様に作り上げた微笑みを本来なら溢れていただろう涙の代わりに湛えていた。
御蔭で、私達は色々な意味で強く成れた。
押さえ付けていた感情を魔物の方に向けて戦っていたから、本陣である軟弱者の寄せ集めよりもずっと早く、ずっと強く成る事が出来たのだ。
だから、魔王討伐の旅は表面上和やかに目的地へと到着し、聖女率いる勇者達の戦いは先行する私達の活躍で止めを刺すだけの簡単な御仕事と成る。
魔王を倒した後の仕事に必要な浄化する力は聖女が一番強く持っていたから、私達は聖女の我が儘に対して静かに従い、魔王に止めを刺すのも、昔より表情を隠すのが上手に成った第三王子に譲ったのだ。
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