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02 私と、それなりの日常
012 私の周囲の不協和音 花
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井戸に行くと御近所の奥様の井戸端会議が開催中。だけど私の姿を見て声のトーンは下がるのが同じ裏長屋に住む奥様達の通常運転。私も客商売をする者の端くれなので取り敢えず…、笑顔での挨拶だけは欠かさないが…、奥様達と仲良くなるのは無理寄りの無理……。今日も、遠巻きにされ、こそこそ会話されるに終わる。
その帰り道、隣に住む元遊女、酷い火傷を負って長屋に流れてきたユメ姐さんに会った。私は何時もより元気な顔を装い、笑顔で挨拶したつもりだったのだが、ユメ姐さんに表面上取り繕った笑顔は通じない。「ちょっと、おいでなんし」と姐さんの部屋へ連れ込まれ、ユメ姐さんは溜息を吐き、悲し気な笑顔を私に向け「タエは、えぇ~子や、よう我慢しとぉ~なぁ~」と頭を撫でてくれた。私には、本当の名を呼んでくれるのも、頭を撫でたりして慰めてくれるのも、優しくし接してくれるのだって、ユメ姐さんだけだ。
年季奉公先である[茜様]や、その直属の部下の[アキノさん]は、遣り遂げた仕事を褒めても、そう言うのを期待できる相手ではない。
私の気が緩み、ちょっとウルッと目尻に涙を滲ませると、ユメ姐さんは私を優しく抱き締めてくれた。ユメ姐さんは相変わらず心地良い匂いがする。
姐さんが火傷の跡に塗っている薬の匂いも優しい匂いがするのだが…、ユメ姐さん自身の匂いも優しい匂いがする気がする……。ユメ姐さんの優しいい香りが、私の刺々しい気分に染み渡り、角が取れていく様だ。(ユメ姐さんの癒やしが半端ない)
更にユメ姐さんは「御抹茶飲んでいきんさい」と抹茶を点ててくれ、空腹な私に「今は、こんなんしかないんけど」と、頂き物だと言う高価な和三盆を懐紙に何個も出して「好きにおたべんさい」と言ってくれる。本当の所、抹茶の飲み方に作法はあるが…「好きに」と言ってくれる時は、全部食べてから飲むとか言う作法は抜き…、食べながら抹茶を飲んでも怒られない……。そして、貰った和三盆もユメ姐さんみたいに優しく、その甘さが抹茶の渋みと相まって心に染みた。
…の、だか…、しかし…(ヤバイ、幸せ過ぎるw)と悦に浸っていたら…、隣の部屋から兄と、その友人[孝造]の会話が途切れ途切れに聞こえてくる……。ユメ姐さんも作法を無視し、自分で立てた抹茶と和三盆を口にしながら聞き耳を立て「ハル達が待ってはるんと違う?良いんでありんすか?」と言うが、私的には孝造が帰ってから仕事の荷物を取りに行って仕事に出掛けたい所存。普通に孝造が帰るのを待っている。
取り敢えず「私、ハル兄の友達の孝造が嫌いなんだよねw」とユメ姐さんに言うと、一瞬、何か言いた気な雰囲気の笑みを浮かべ、続いて吹き出すかの如く声を上げて笑い出した。何だか訳が分からないが、きっと何かがユメ姐さんの笑いのツボにはまったのだろう。思い出し笑いの類いだろうか?
暫くユメ姐さんが笑うのを眺めていると…、近所の人に聞き込みでもして辿り着いたのだろう。兄と孝造がユメ姐さんの部屋の戸を軽くノックしてから開け…中を見て呆れた様な表情をする……。ここで、兄の方が「帰って来ないから心配したんだぞ」と言うのは仕方が無いのだが、何故か兄では無く孝造の方が怒っていて「謝ろうと思ったのに、謝る気が失せた」とか言っている。意味が分からない。あ…、もしかして……。私の朝ご飯を横取りした事を謝る為に帰ってくるのを待っていたのだろうか?そうだとしても、ぶっちゃけ迷惑だ。出来る事なら、その面を私に見せてくれるな!気ぃ~悪い!!
この日の…この後…、孝造は私の仕事にまで付いて来た……。兄同様、私のコネを使って、仕事を取って来る為に来たのだろう。確かに、私が仕事で入り込む妓楼と言う場所には、孝造の様な細工職人にも仕事は有る。花魁の髪型[伊達兵庫]を彩る簪飾りの修繕や、帯に飾る根付けの飾り等を修理して欲しいと願う者も少なくない。
特に飾り系は、[お直し]…つまり「あ~言う風に直して欲しい」「こう言う風に直して欲しい」と…直し方の要望が多く、人伝の依頼では、御客様満足度が得られ辛い案件……。私が出入り業者として御用達の地位に就く為には、孝造を利用しない手は無い。孝造の事…、嫌いで気に食わなくて、本当に大嫌いだけど…、背に腹は変えられない……。
私は、この決意を固めてから、外面と作り笑いのスキルアップに尽力し、孝造に対しても笑顔で対応できる様になった。茜様曰く、笑顔と営業トークはプライスレス!金を掛けずに努力でどうにか成るなら、努力しなきゃ損!そして、[時は有限、無駄にしちゃ駄目]なのである。孝造なんぞに無駄な時間を割く何て損失。笑顔で接する事で、対応時間を短縮できるなら、遣っちまおうぜw
それで、孝造が嬉しそうなのは気に障るけど…、良し!それを気にするのも損な気がしてきたww人間関係円滑に進めば…、それも総じて飯の種……。家を出て独立する為の布石と思えば、心も軽い。こうして、私の気付かぬ所で色々な思いが擦れ違って行くのであった。
その帰り道、隣に住む元遊女、酷い火傷を負って長屋に流れてきたユメ姐さんに会った。私は何時もより元気な顔を装い、笑顔で挨拶したつもりだったのだが、ユメ姐さんに表面上取り繕った笑顔は通じない。「ちょっと、おいでなんし」と姐さんの部屋へ連れ込まれ、ユメ姐さんは溜息を吐き、悲し気な笑顔を私に向け「タエは、えぇ~子や、よう我慢しとぉ~なぁ~」と頭を撫でてくれた。私には、本当の名を呼んでくれるのも、頭を撫でたりして慰めてくれるのも、優しくし接してくれるのだって、ユメ姐さんだけだ。
年季奉公先である[茜様]や、その直属の部下の[アキノさん]は、遣り遂げた仕事を褒めても、そう言うのを期待できる相手ではない。
私の気が緩み、ちょっとウルッと目尻に涙を滲ませると、ユメ姐さんは私を優しく抱き締めてくれた。ユメ姐さんは相変わらず心地良い匂いがする。
姐さんが火傷の跡に塗っている薬の匂いも優しい匂いがするのだが…、ユメ姐さん自身の匂いも優しい匂いがする気がする……。ユメ姐さんの優しいい香りが、私の刺々しい気分に染み渡り、角が取れていく様だ。(ユメ姐さんの癒やしが半端ない)
更にユメ姐さんは「御抹茶飲んでいきんさい」と抹茶を点ててくれ、空腹な私に「今は、こんなんしかないんけど」と、頂き物だと言う高価な和三盆を懐紙に何個も出して「好きにおたべんさい」と言ってくれる。本当の所、抹茶の飲み方に作法はあるが…「好きに」と言ってくれる時は、全部食べてから飲むとか言う作法は抜き…、食べながら抹茶を飲んでも怒られない……。そして、貰った和三盆もユメ姐さんみたいに優しく、その甘さが抹茶の渋みと相まって心に染みた。
…の、だか…、しかし…(ヤバイ、幸せ過ぎるw)と悦に浸っていたら…、隣の部屋から兄と、その友人[孝造]の会話が途切れ途切れに聞こえてくる……。ユメ姐さんも作法を無視し、自分で立てた抹茶と和三盆を口にしながら聞き耳を立て「ハル達が待ってはるんと違う?良いんでありんすか?」と言うが、私的には孝造が帰ってから仕事の荷物を取りに行って仕事に出掛けたい所存。普通に孝造が帰るのを待っている。
取り敢えず「私、ハル兄の友達の孝造が嫌いなんだよねw」とユメ姐さんに言うと、一瞬、何か言いた気な雰囲気の笑みを浮かべ、続いて吹き出すかの如く声を上げて笑い出した。何だか訳が分からないが、きっと何かがユメ姐さんの笑いのツボにはまったのだろう。思い出し笑いの類いだろうか?
暫くユメ姐さんが笑うのを眺めていると…、近所の人に聞き込みでもして辿り着いたのだろう。兄と孝造がユメ姐さんの部屋の戸を軽くノックしてから開け…中を見て呆れた様な表情をする……。ここで、兄の方が「帰って来ないから心配したんだぞ」と言うのは仕方が無いのだが、何故か兄では無く孝造の方が怒っていて「謝ろうと思ったのに、謝る気が失せた」とか言っている。意味が分からない。あ…、もしかして……。私の朝ご飯を横取りした事を謝る為に帰ってくるのを待っていたのだろうか?そうだとしても、ぶっちゃけ迷惑だ。出来る事なら、その面を私に見せてくれるな!気ぃ~悪い!!
この日の…この後…、孝造は私の仕事にまで付いて来た……。兄同様、私のコネを使って、仕事を取って来る為に来たのだろう。確かに、私が仕事で入り込む妓楼と言う場所には、孝造の様な細工職人にも仕事は有る。花魁の髪型[伊達兵庫]を彩る簪飾りの修繕や、帯に飾る根付けの飾り等を修理して欲しいと願う者も少なくない。
特に飾り系は、[お直し]…つまり「あ~言う風に直して欲しい」「こう言う風に直して欲しい」と…直し方の要望が多く、人伝の依頼では、御客様満足度が得られ辛い案件……。私が出入り業者として御用達の地位に就く為には、孝造を利用しない手は無い。孝造の事…、嫌いで気に食わなくて、本当に大嫌いだけど…、背に腹は変えられない……。
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