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03 吉原柄の法被と銀狐
023 次なる仕事
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実父[鉄男]が、吉原に帰って来られなくなったから…とかで…、揚屋町の裏長屋にある部屋を失いかけたが…、有益な者を幾重にも恩で縛る茜様が「ウチの子になるんやったら」とハル兄に契約を持ち掛け、作業場として部屋を残して貰え…、その代わり春男も自ら、秋之丞の寄子に成って、一緒に見世に住む事に成った……。
その為、見世の遊女の姿を覗き見たいハル兄の仕事上の友人等が、早朝、見世の裏の土間の方にまでハル兄を迎えにやって来る事が増えて気付いた事がある。
アキノ兄さんとか、花魁道中に参加する見目を重視して集められた若い衆の方とばかり、交流が多くて気付けなかったのだが、一般の若い衆や、その辺の男と比べたら、我が兄[春男]も捨てたモノじゃ無い。男芸者の様に顔立ちが綺麗な幼馴染みの孝造が何時もハル兄の横に居た事も見劣りの原因だろうが、地味な兄が、見目重視の若い衆の中に混ざっても、見劣りしなかったのだ。コレ、私にとって本気で衝撃の事実だった。
その上で、初心な我が兄が、遊女に大受け…、恥ずかしそうに顔を背けたり、頬を染め無愛想に対応する姿が、彼女等的に愛おしく成るらしい……。確かに、何気ない顔で胸や尻をガン見するヤツや、こっそり視漢し、バレてないと思っている若い衆を見てると、そう言うモノかもしれないと思える。ハル兄、侮り難し。
そんな事を思う卯の刻。日の出の前、東の空が明るくなって行く明け六つ。
泊まり客を取った遊女は、見世の正面から客を大門まで見送る為の時間「後朝の別れ」って仕事の仕込みに掛かり…、見世の女中等にも遊女に対するのと同じ反応をして人気者と成ったハル兄は、女中達から「私はコレを作った」「アレを作った」「感想を聞かせてねw」と言われ「職人の皆さんでどうぞ」と弁当を持たされ、迎えに来た仕事上の友人等と仕事に出掛けて行った……。
私は見世で、手始めに客用の傷んだ備品の簡単な修理をする。大掛りな修理が必要な物は他の職人へ回す支度。修理不能な物は他の物へ作り直す為、材料として払い下げる用に仕分けして、備品管理の担当者に話を付け、笠を被り、塗りの道具が詰った手持ちの箱を持ち、他の見世を何時も通り巡回して、見世でやったのと同じ仕事をしながら余所の見世で話されている会話に耳を傾け、茜様に報告できる話を物色する。
気になる話があれば訊ね、そうでない何気ない話でも一応、場所と日時を書き留め置いておく。それが何も無い時の日常。場に馴染み、潜伏し、情報を集め…、それが本当の事なのか?を調べる為の情報を集め…、事と次第によって、囮と成るのも私の仕事の内だ……。
そして今日は、当たりを引いたらしい。気になる話を耳にし、商家の方にまで「何か塗りの直しとかの仕事ないかな?」と言いつつ聞き込みをしていたら、後を付けられていた。
私は徐に龍笛を箱から取り出し、客入りの少ない居酒屋の店員に声を掛け「笛で客引きに成功したら、何か食べさせてくれないか?今日、仕事少なくて困ってるんだよねw」と交渉して、龍笛を吹き鳴らし同じ見世の者が通るのを待つ。コレが私達のやり方だ。目立てば基本、相手は手を出し辛いし、助けを待つに比較的安全。
運が良ければ、何か美味しい物を食べさせて貰え、笠を反して足下に置いておけば小銭も稼げる。一石二鳥・一箭双雕…と思ったのだが…、店の人に焼き鳥を貰って一口食べ…、(おやぁ~?古くなった香とかみたいな匂いと、それっぽい味がするぞwさて、どうしよう?)と思った所で、運良く御迎えが来てくれて助かった……。
私は来てくれた事を心の中で感謝し、その場に居た者達の視線が私を迎えに来た者に向いたチャンスを逃さず。口にしたモノを吐き出し足下に捨ててから「何故に孝造…、どうせなら、アキノ兄さんに迎えに来て欲しかったなぁ~」とか言いつつ、手荷物と食べ掛けの焼き鳥の串を持って立ち上がり「焼き鳥ありがとうw縁があったら、また小銭稼がせてねww」と、その場から離れる事に成功した。
それから私は足早に歩く、ハル兄の親友で幼馴染みの孝造が「折角、迎えに来て遣ったのに…」とか「その焼き鳥、食わないのなら寄こせ」と言って追い掛けて来るのを面倒臭そうに「感謝はしてる。でも、コレは食べちゃ駄目なヤツだ」と苛立ちを隠せず答え、私はその食べちゃ駄目な理由を実体験していた。
その為、見世の遊女の姿を覗き見たいハル兄の仕事上の友人等が、早朝、見世の裏の土間の方にまでハル兄を迎えにやって来る事が増えて気付いた事がある。
アキノ兄さんとか、花魁道中に参加する見目を重視して集められた若い衆の方とばかり、交流が多くて気付けなかったのだが、一般の若い衆や、その辺の男と比べたら、我が兄[春男]も捨てたモノじゃ無い。男芸者の様に顔立ちが綺麗な幼馴染みの孝造が何時もハル兄の横に居た事も見劣りの原因だろうが、地味な兄が、見目重視の若い衆の中に混ざっても、見劣りしなかったのだ。コレ、私にとって本気で衝撃の事実だった。
その上で、初心な我が兄が、遊女に大受け…、恥ずかしそうに顔を背けたり、頬を染め無愛想に対応する姿が、彼女等的に愛おしく成るらしい……。確かに、何気ない顔で胸や尻をガン見するヤツや、こっそり視漢し、バレてないと思っている若い衆を見てると、そう言うモノかもしれないと思える。ハル兄、侮り難し。
そんな事を思う卯の刻。日の出の前、東の空が明るくなって行く明け六つ。
泊まり客を取った遊女は、見世の正面から客を大門まで見送る為の時間「後朝の別れ」って仕事の仕込みに掛かり…、見世の女中等にも遊女に対するのと同じ反応をして人気者と成ったハル兄は、女中達から「私はコレを作った」「アレを作った」「感想を聞かせてねw」と言われ「職人の皆さんでどうぞ」と弁当を持たされ、迎えに来た仕事上の友人等と仕事に出掛けて行った……。
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気になる話があれば訊ね、そうでない何気ない話でも一応、場所と日時を書き留め置いておく。それが何も無い時の日常。場に馴染み、潜伏し、情報を集め…、それが本当の事なのか?を調べる為の情報を集め…、事と次第によって、囮と成るのも私の仕事の内だ……。
そして今日は、当たりを引いたらしい。気になる話を耳にし、商家の方にまで「何か塗りの直しとかの仕事ないかな?」と言いつつ聞き込みをしていたら、後を付けられていた。
私は徐に龍笛を箱から取り出し、客入りの少ない居酒屋の店員に声を掛け「笛で客引きに成功したら、何か食べさせてくれないか?今日、仕事少なくて困ってるんだよねw」と交渉して、龍笛を吹き鳴らし同じ見世の者が通るのを待つ。コレが私達のやり方だ。目立てば基本、相手は手を出し辛いし、助けを待つに比較的安全。
運が良ければ、何か美味しい物を食べさせて貰え、笠を反して足下に置いておけば小銭も稼げる。一石二鳥・一箭双雕…と思ったのだが…、店の人に焼き鳥を貰って一口食べ…、(おやぁ~?古くなった香とかみたいな匂いと、それっぽい味がするぞwさて、どうしよう?)と思った所で、運良く御迎えが来てくれて助かった……。
私は来てくれた事を心の中で感謝し、その場に居た者達の視線が私を迎えに来た者に向いたチャンスを逃さず。口にしたモノを吐き出し足下に捨ててから「何故に孝造…、どうせなら、アキノ兄さんに迎えに来て欲しかったなぁ~」とか言いつつ、手荷物と食べ掛けの焼き鳥の串を持って立ち上がり「焼き鳥ありがとうw縁があったら、また小銭稼がせてねww」と、その場から離れる事に成功した。
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