やめて、俺を勇者と呼ばないで~元中二病勇者の憂鬱~

多崎リクト

文字の大きさ
8 / 19

⑧今度はスライムに捕まりました※

しおりを挟む


「勇者様は優しすぎますね」

 ため息混じりに呟かれて、今度こそバレたかと身構える。
 最も、今更身構えたところでどうしようもない。ユウキの首から下はスライムにすっぽりと覆われていたのだから。
 スライムを最弱だと油断してはいけない。もうこの辺りの魔物のレベルはユウキ以上だ。小さく可愛らしい、ぷよぷよした存在だからと言って甘く見てはいけなかったのだ。スライムは膨張し、あっという間にユウキを包み込んだ。
 何が起きたか理解した時にはもう遅かった。
 いくら脱出しようとしても身動きが取れない。肌がわずかにピリピリする。スライムはこうして捕まえた生き物をゆっくり消化していくのだと聞いたことを思い出した。

「勇者様がわざわざ養分にならなくとも、そいつはそれなりに強かですよ」
「そ、そうか……」

 何故かスイの目には「弱い魔物に施しを与えている勇者様」に映るようだ。そんな馬鹿な。ユウキはそんなに慈悲深い生き物ではない。
 体はまだ無事だが、服の方が徐々に溶け始めている。皮膚がピリピリする。
 このままだと、次に溶けるのはユウキ自身だ。
 ドロドロになりかけた衣服をスライム越しに見つめ、息を飲む。溶けて死ぬのは嫌だなあ……。

「――ひっ」

 溶けた服の隙間からスライムが入り込み、それまで触れられなかったところにも直接触れてくる。尻を、そしてその狭間をゆっくりと撫で回す。

「勇者様、どうしました?」
「な……なんでも、ないっ」

 不思議そうにしているスイに気づかれないうちに、このスライムを剥がさなくてはならない。スライムはそこを撫で回したかと思うと、ほんのわずかに尻穴に潜り込んできた。

「うっ……あっ」

 本来排出しかされない場所から、逆流するようにスライムが入り込んでくる。おそらくほんのわずかな量でしかないのだが圧迫感が酷い。入口を擽るようにされて身じろぐが、もちろんスライムを止めることは出来ない。
 スライムは細く、長く、ゆっくりとアナルに入ってくる。擽ったさと、そのままどこまでも入ってしまうのではないかという恐怖で涙が溢れたけれど、汗と一緒にスライムの上に落ちた。それもまた奴の養分となるのだろう。

「ひっ、……や、だ」

 このまま内臓から食べられるんじゃないかと思ったらもう、涙が止まらなかった。スイの目の前で、こんな辱めを受けながら死んでいくのか。
 こぼれ落ちる涙はスライムに吸い込まれていく。ユウキもやがてドロドロに溶けきって、スライムに吸い込まれて消えるのだろうか。

「だめ……だめだってば」

 せめてスライムに言葉が通じれば。いや、通じたところで捕食をやめる道理がない。
 ユウキの言葉に反して、中に入り込んだスライムの質量が少し増した。このまま破裂したらどうしよう。
 スライムは中の皺一本一本を伸ばすように丹念に広げようとしてくる。もしかすると、本来排出されるべきものを取り込んでいるのかもしれないが、怖くなってそれ以上考えるのをやめた。

「あっ……や、んっ……」

 尻穴はムズムズするし、腹が張って苦しい。
 服は溶けかけた布があちこちに張り付いている程度で、大事なところを少しも隠してくれない。スライムの中でもやはり勃起していることは丸わかりなのだろうか。
 ヌルヌルして生あたたかいそれに、先端を軽く吸われる。

「――んんんぁっ」

 一瞬だけ、火花が散ったように感じた。
 おそらく今の衝撃で射精してしまったのだろうけど、すぐさまスライムに取り込まれていったようで精液は見えない。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

カメラ越しのシリウス イケメン俳優と俺が運命なんてありえない!

野原 耳子
BL
★執着溺愛系イケメン俳優α×平凡なカメラマンΩ 平凡なオメガである保(たもつ)は、ある日テレビで見たイケメン俳優が自分の『運命』だと気付くが、 どうせ結ばれない恋だと思って、速攻で諦めることにする。 数年後、テレビカメラマンとなった保は、生放送番組で運命である藍人(あいと)と初めて出会う。 きっと自分の存在に気付くことはないだろうと思っていたのに、 生放送中、藍人はカメラ越しに保を見据えて、こう言い放つ。 「やっと見つけた。もう絶対に逃がさない」 それから藍人は、混乱する保を囲い込もうと色々と動き始めて――

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。

処理中です...