転生したら悪の組織の幹部だったけど、大好きなヒーローに会えて大満足だった俺の話

多崎リクト

文字の大きさ
27 / 60
番外編

媚薬①おねだりされたい

しおりを挟む
「高校時代から大嫌いな男に懐かれて困っていたボスの話」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/903773569/79375871

で鶴見博士が氷川さんに盛った媚薬が出てきますが、特に読まなくても読めます!
読んだことある方はくすっとしてください。

――――――――――


 鶴見博士から受け取った媚薬を手に、焔は悩んでいた。こんなものを使わなくても、自分達はラブラブだし。でも、いつもより快楽に溺れた甲斐を見てみたい気もする。
 効果は中に精液を注ぐまで続くという。
 ……やっぱり見てみたい。

 甲斐に、「中に出して」っておねだりされたい。

 週末は仕事のあとにお互いの家に行くことが定番になっていた。今日は焔の家の番だった。

「お疲れ様」

 成人していたらビールで乾杯、とかなのだろうけど。高校生な二人はジュースで乾杯だった。今日はコーラ。
 喉に痛いくらいの刺激を与えてくる炭酸を飲み込みながら、そっと甲斐の様子を窺う。

 甲斐のコーラに入れた媚薬が、はたしていつ効き始めるのか。ドキドキしながら甲斐を見ているが、変わった様子はない。
 失敗だろうか。ガッカリした自分に言い訳をする。そんな媚薬なんてものがなくても自分達はラブラブだし、甲斐だって口では言わないだけで中出ししてほしいに決まっているのだ。

「甲斐」

 名前を呼ぶと、こちらの言いたいことがわかったらしく、恥ずかしそうに目を閉じる。緊張に震えた睫毛が可愛くてたまらない。
 ちゅっと可愛い音を立てて、唇同士が触れる。離れて、また触れて。ドアをノックするように、唇を舌でそっとなぞる。おそるおそる開けられたところから、入り込む。

 甲斐の舌は恥ずかしがりで、触れるとすぐに奥に引っ込んでしまう。それを優しく追いかけて絡めとる。焔が舌を絡めると、甲斐もおずおずとそれに応えてくれるようになった。

「んんっ」

 口いっぱいに広がる甲斐の味と、漏れ聞こえる甘い声に、焔はすっかり興奮してしまう。

 舌を吸うと、びくんと甲斐の体が跳ねる。逃げそうになる後頭部を捕まえて、舌を吸い続ける。
 甲斐の体から力が抜けていくのを支えてやりながらじっくりと舌を絡ませ合う。

「――ふぅっ」

 唇が離れ、甲斐が深く呼吸するのを確かめると、また触れる。

「ベッド、いこ」

 甲斐からそんな可愛らしい誘いを受ける日が来るなんて夢にも思わなかった。暴走しそうになる自分を抑えながら、甲斐をベッドへ押し倒す。

「甲斐……」

 再び、キス。
 優しく優しく、甲斐の唇を舌で撫でる。

「――んっ!」

 びくん、と跳ねた甲斐が、焔を引き剥がす。

 いい雰囲気だったのに。こちらを突き放したくせに甲斐はずいぶん驚いたような顔をしている。

「……甲斐?」
「いや、やっぱり、今日はやめよう」

 さっきまではとろとろで、今すぐ抱かれたいみたいな顔をしていたくせに、そんなことを言う。どうしたのだろうか。

 だが、甲斐のペニスが立ち上がっているのは服の上からでも見てとれる。
 急にどうしたのだろうか。いくら気が変わったとしても、ここでやめることもできない。
 服の上から甲斐のペニスに触れて、じゃあこれはどうするのと聞こうと思った瞬間、

「――ぁああっ!」

 甲斐がびくびくと体を痙攣させた。

 あれ、もしかしてイッた?
 でもまだちょっと触れたくらいなんだけど。
 焔が首をかしげていると、甲斐は顔をこれ以上ないくらい真っ赤にしてしまった。

「今日は、しない」

 やっとのことでそれだけ言うと、焔に背を向けてごろりと寝転んでしまう。いやいや、ここで我慢なんてお互いによくない。

しおりを挟む
感想 70

あなたにおすすめの小説

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結済】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!

キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!? あらすじ 「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」 前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。 今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。 お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。 顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……? 「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」 「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」 スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!? しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。 【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】 「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...