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午後

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◆12:00

 授業中は我慢していたが昼休みにもなると耐えられず、昼食よりも先にトイレに駆け込む。最近は使用する人間の少ない理科室の傍のトイレに入り浸っている。

「んっ♡♡ふっ♡♡」

 ズボンを下ろし、シャツを捲りあげて裾を口に含む。これでズボンは汚れないし、声も漏れにくくなる。安心したところで乳首を弄る。
 両手で乳首を弄るのは気持ちいいが、それでも彼らにされるのと比べるとずっと弱い刺激だ。これだけではイケそうにない。仕方なくローターのスイッチを入れるのもいつも通りだった。

「んぁっ♡♡ふぅっ♡♡♡」

 シャツを唾液で濡らしながら自慰に耽る。腹の中にあるローターを締め付けながら、乳首を弄りながら。ペニスは触れず、ただ突然このドアを開けられたらどうしようかと淫らな妄想に溺れる。
 もし誰かに見られて、個室の中に入って鍵を締められたら。ローターを抜かれて溢れ出す精液を見られたら公衆便所扱いされてもおかしくない。
 そのまま挿入されて、犯されて、最後は拘束されて「公衆便所」と貼り紙されてドアを開けたまま出ていくかもしれない。そうしたらきっとまた次に入ってきた誰かに犯されて……。

 有り得ない妄想にペニスが先端から透明な雫をこぼす。

「んんんっ♡♡♡んんっ♡♡♡」

 達するこの瞬間を誰かに見られたら。この後ドアを開けた先に誰かが待ち伏せしていたら。そんな妄想が最近のオカズだった。



 ◆15:30

 やっと最後の授業が終わる。といっても待ち合わせの時間までまだ時間がある。一時間くらい図書室で勉強してから向かうとちょうどいいのでいつもそうしている。
 本当はまた自慰に耽りたいところだが、この後のために我慢する。

 勉強しながらもこっそりローターのスイッチを入れてスリルを楽しむ。射精まではいかないが、そうして課題を終わらせると待ち合わせ場所に向かうにはいい時間だ。



 ◆17:00

 約束の電車に乗るとやはり見知った顔が乗っていた。この人たちが普段どこでどんな仕事をしているのか、どこに住んでいるどんな人間なのか、俺は何一つ知らないのだけど。俺の事を気持ち良くしてくれることとペニスの大きさぐらいなら知っている。

 すぐに尻を撫でられるが、朝とは違って服の上から優しく揉まれるばかりで、それだけではイケそうにない。

「んっ♡♡あっ♡♡♡」

 普通、尻を撫でられただけで気持ちよくなんてならない。それなのに彼らにすっかり躾られた俺はそのもどかしい刺激さえ快楽で。射精するまではいかなくても朝から焦らされ続けた体にはその優しい愛撫さえも勃起に繋がる。
 中に入ったままのローターをキュンキュンと締め付けながら、背後の男が触りやすいように尻を突き出す。

 早く入れて欲しいけれど、まだダメなのだ。夜は電車では挿入してくれずに別の場所へ連れ出されることが多い。昨日は駅のトイレで、一昨日は公園。大抵は知らない駅に止まる直前に耳元で囁かれる。

「おまんこにおちんちん入れて欲しい?」
「あっ♡♡♡欲しいです♡♡♡」
「じゃあここで降りようか」

 停車した見知らぬ駅に、俺の周りを囲んでいた三人の男が一緒に降りてくる。他の人達はたぶん先に待っているのだろう。

 先を歩く男の後ろをついて行くと、俺の後ろに二人がぴったりとついてくる。逃がさないようにしているのだろうけど、俺も逃げるつもりはないので特に気にならなかった。



 ◆17:30

 男に連れられて着いたのは公園でも公衆トイレでもなく、民家だった。メンバーの中の誰かの家なのだろうが、ドアの前で立ちすくんでしまう。
 いや、だって。今まで散々色んなことをしておいて今更かもしれないけれど、急に怖くなってしまったのだ。今まではいくら周囲を囲まれているとはいえ、外界はすぐそこだった。本当にヤバくなったら逃げることだってできるという安心感があった。だが家はどうだ?

 理性はそうやって警鐘を鳴らすのに、逃げた方がいいんじゃないかと言っているのに、俺の足は進むことだけでなく戻ることもせず、ピタリと地面に張り付いたままだ。

「……どうする?」

 それでも決定権は俺にあるらしく、男たちは俺が何と答えるのかを待ってくれている。恥ずかしい写真だって沢山あるのだからそれで脅してくれればそれまでなのに。それでも俺に選ばせようとしてくるのだ。

「――行きます」

 この誘惑に抗えるはずもないのに。




 ◆18:00

 中に入ってみるとごく普通の家だった。裸体のマネキンが沢山並んでいたり、三角木馬がいきなり置かれていたらと思ったが、俺を出迎えたのはごく普通の玄関マットと、俺のために用意されているらしき来客用のスリッパだった。

「いらっしゃい、優一くんが来るのを楽しみにしてたんだ」

 親戚のおじさんが言うような調子で言われるものだから、もしかしてただ純粋に家に招いてくれただけだったのだろうかと首を傾げる。
 だが男が開けた先の部屋に、大きな、俺が三人くらい寝ても問題なさそうなベッドがあるが見えて、下半身の熱を思い出す。

「……ベッドの上で優一くんとするのは初めてだね。じゃあ、しようか」
「……はい」

 部屋で待っていたらしい男たちを合わせると、十人。
 広い部屋には中央に大きなベッドとその隣にサイドテーブルがあるだけで、あとは何も無い。サイドテーブルの上にはローションと色とりどりの玩具が無造作に置かれていて、セックスをするためだけの部屋なのだと意識してしまう。ラブホテルとか、行ったことはないけどこんな感じなのだろうか?

「優一くんのストリップショーが見たいな」
「いいですね、それ」
「は、はい……」

 シャツのボタンを外そうとすると「それは最後」と止められる。代わりにズボンを脱いだ。ズボンを脱いでしまえば下着を身につけていないためかろうじてシャツが下肢を隠す程度である。それも勃起したペニスがシャツを押し上げてしまうため、ほとんど大事なところは隠れていない。
 ベッドの上で膝立ちになるよう言われたが、彼らはベッドを取り囲むようにしてこちらを見ているだけで、手を出してこない。

「靴下はそのままがいいな」
「シャツのボタン一個ずつ外して」
「……はい、」

 命令されるままにボタンを外していくと、全開になったワイシャツと靴下だけを身につけた自分が出来上がった。勃起した乳首も、ヨダレを垂らしたペニスも、尻の狭間から垂れたローターのコードも、全てを見られている。

「優一くんのために色々用意してあるんだ。まずはこれ、穿いてもらえるかな?」

 そう言って手渡されたのは黒い下着だったが、面積が少ない。少ないどころか穴が大きすぎて何も隠れそうにない。
 どこに足を通せばいいのかもよくわからず困惑していると、どうやって穿くのか聞こえてくる。
 声の言う通りに足を通すが、後ろは大きくO字に空いていて尻が丸出しだし、前にもペニスを通すための穴が空いている。勃起したペニスを強調するようで恥ずかしい。

「やっぱり色が白いから黒い下着がよく似合うね」

 一人の若い男がベッドに上がってくる。いよいよ挿入されるのかとゴクリと唾を飲み込む。

 ――だが、まだだった。

「次は僕からのプレゼントだよ、優一くん」
「あんっ♡♡」

 下着の穴から出ていたペニスに、リングのようなものをはめられる。このままでは射精できそうにない。

「すごい、優一くんのいやらしいおちんちんにリングがハマってる。すごく似合ってるね」
「んんっ♡♡」
「見られてるだけで感じてきちゃった?乳首ビンビンだよ?」

 また別の男がベッドに上がってくる。

「俺はこのローション」
「ひゃんっ♡♡」
「乳首にローションかけられただけで気持ちいい?」
「はい♡♡きもちいいです♡♡♡」
「私はこれを乳首につけてあげよう」
「やぁああんっ♡♡♡」

 乳首に怪しげなものをつけられる。小さなそれが乳二つの首に吸い付くように取り付けられ、腰が跳ねる。男が手元のスイッチを押すと、それが更に乳首を吸引する。

「ああっ♡♡やだぁっ♡♡♡」
「気に入ってくれたみたいだね」
「あんっ♡♡乳首とれちゃうよぉ♡♡♡」
「俺はおまんこのローター新しくしてあげる」
「ひぁっ♡♡♡♡」
「抜かれただけでイッちゃった?優一くんは淫乱だからローターじゃ物足りないよね?もっとえげつないバイブ用意したからね♡」
「ああっ♡♡だめ、そんなおっきいの……こわれる♡」

 広いベッドに四人目の男が上がってくると、さすがに狭く感じる。四方を囲まれているため俺に逃げ場はない。
 俺の前に突きつけられたバイブは、目の覚めるようなショッキングピンクで、太い。
 だが、このくらいなら入れたことあるでしょ、と男が自身のペニスを露出すると、たしかに同じくらいかもしれなかった。
 だがそのバイブは太いだけではなく、ゴツゴツとしたイボのようなものが沢山ついている。そんな物で中を掻き回されたらいったいどうなってしまうのだろう。

「優一くん、そんな物欲しそうな目で見なくてもすぐに入れてあげるからね」
「あっ♡♡♡」

 バイブの先端がアナルに触れてくる。それだけでそこが期待に口を開いてしまうのがわかった。怖いはずなのに、俺のアナルは強欲に口を開けるのだ。

「ほら。あーんして♡」
「ああっ♡♡や、すごいのっ♡♡♡だめえっ♡♡」
「ちゃんとレビューして欲しいな。せっかく買ったんだから」
「あっあっ♡♡♡ふとくて、かたくて……イボイボ気持ちいいですぅ♡♡♡」
「うんうん、スイッチまだ入れてないのにすっかり気に入ってくれてるね」

 ゆっくりと出し入れされるとイボが中で擦れる。ゴリゴリと中を抉られているのに気持ちよくて堪らない。リングがなければすぐに射精していただろう。

「スイッチも入れてあげるね」
「――にゃぁああああんっ♡♡♡♡♡」
「気持ちよすぎて猫になっちゃった。可愛い」
「にゃっ♡♡や、あっ♡♡♡イキたい♡♡♡イキたいです♡♡♡」

 バイブのスイッチが入るともっととんでもなかった。イボが高速で回転し、中を掻き回す。その上先端が伸び縮みし、勝手に奥を突き上げてくる。

「あっ♡♡イキたい♡♡♡おまんこもうだめ♡♡♡すごいのっ♡♡こわれちゃうぅ♡」
「こんな凶悪なバイブも気に入っちゃうんだから、優一くんは本当に淫乱だね」
「乳首もやだぁっ♡♡♡とって、イかせて♡♡♡」
「ワガママだな」
「せっかくプレゼントしたのになあ」
「じゃあ代わりに俺たちの言うこと聞ける?」

 男たちの言葉に頷く。彼らの言うことを聞くなんて今まで通りだ、何も変わらない。それよりもこの地獄のような責めを逃れたくて必死で頷いた。

 ……すぐにそれを後悔することになったのだけど。

「今日は金曜日だから、泊まっていってくれるよね?」


 もちろん、逃げられなかった。




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