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しおりを挟むアクセルは七度目とは打って変わってアイナに興味をなくしていた。前回はあれほど夢中だったのに、とルイゼルはアクセルの心中も理解しがたく感じた。
「ルイゼル! 話があるんだ」
「アクセル王子殿下。貴方はアイナさんのことがあんなに好きだったじゃありませんか。私のことは放っておいて彼女と幸せになってください」
別に誰と付き合ってもいいから自分には関わらないで欲しいとルイゼルは思った。
しかし、ルイゼルがそういう内容を伝えると、アクセルは大いに傷ついたという泣きそうな表情で去っていく。そしてしばらくするとまた「話がある」とやってくる。その繰り返しなので、ルイゼルはいい加減に飽き飽きしてきた。
飽き飽きしていた頃、家に王宮から招待状が届いた。アクセルからの茶会の招待だった。
ものすごく行きたくなかったので、「髪が伸びるまでは令嬢にふさわしい装いが出来ないため、王族方への不敬にあたるので王宮にはいけません」と断りの返事を書いた。髪を短くしておいてよかった。
「という訳で、しばらくは髪を伸ばさないことにしたわ」
「まあ、確かに。言い訳にはなるな」
ルイゼルの話を聞いたカインは頷いた。
「しかし、アクセルの奴が強引に婚約を申し込んできたらどうする?」
「はあ?」
ルイゼルは口をぽかんと開けた。
「王家から直々に打診されたら、伯爵家じゃ断れないだろ」
カインにそう指摘されて、ルイゼルは「まさか」と思いつつも少し不安になった。
「心配なら、俺と婚約しておくか?」
「は……はあ?」
ルイゼルは驚いてカインの顔を見上げた。カインはニヤッと人の悪そうな顔で笑った。
「そうすればアクセルは手を出せないだろ。とりあえず、アクセル避けのためにそうするといい」
「いや、でも、それじゃあカインが困るんじゃあ……」
そんな偽装婚約のような真似に公爵家の嫡男を巻き込むわけにはいかない。ルイゼルはそう心配したのだが、カインは積極的だった。
「俺は復讐はやめたけれど、アクセル達のことは相変わらず嫌いだからな。あの野郎にお前を渡すのは嫌だ。だから、俺のためにも俺と婚約しておけ」
カインに説得されて、ルイゼルもそうした方がいいような気がしてきた。
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