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第二十二話 お茶会の幕開け
しおりを挟む「と、いう訳なの」
夕食を取りながら、「アレスとオルガをくっつけちゃえ」作戦について語って聞かせるが、バーダルベルト達からは「そうですか」と静かな反応しか返ってこなかった。
まあ、仕方がない。天界人にとっては下界の人間の営みなど、あっという間に過ぎ去る取るに足らないものだ。
それがわかっているので、反応が薄くてもリートは気にしなかった。
ただ、ポドロだけがパンをかじりながら何気ない口調で言った。
「でも、その二人がくっついたら、お嬢様が天界に帰った後で、皇太子の婚約者になれる令嬢がいなくなるんじゃないっすか?」
リートはスープにスプーンを差し込んだまま硬直した。
確かに、リートもオルガなら魂を入れ換えた後で問題なくジェラルドの婚約者になれると思っていた。
(いや、でも、今はアレスをジェラルドから遠ざけるのが先決だし……)
今のままではジェラルドと二人きりになるのも難しいのだから、任務の遂行のためにはアレスとオルガの中を取り持つのは必要なことだ。
リートは自分に言い聞かせた。
尋ねたポドロはもう興味をなくして、新しいパンにかじりついていた。
アリーテが気合を入れてお茶会にふさわしいドレスを着つけてくれた。
「素敵です!リート様」
頑張ってくださいと送り出され、ポドロの操る馬車で王宮に乗り込んだ。控えの間で待っていると、すぐにオルガも到着し、挨拶を交わした。
「私、正式なお茶会は初めてなのです。オルガ様、私が何か無礼なふるまいをしたら遠慮なくおっしゃってください」
「まあ、そんな。リート様は聖女のごときお方。私ごときが口を挟むなど出来ませんわ」
オルガは胸の前で手を組みリートをみつめる。
「王宮でのお茶会なのに堂々としていらして、流石ですわ」
(いや、公爵令嬢。伯爵令嬢にそんなに遠慮しないで。っていうか聖女じゃないから)
リートはお茶会は初めてだが、トリプルブッキングで鉢合わせた愛人達に挟まれたことならある。
あの時の修羅場に比べれば、下界のお茶会など恐るるに足らず。
リートは歴戦の勇者の面持ちで王宮の庭に足を踏み入れた。
「ふ、ふふふふ、ふたりととともも、よよっよっ、よっく来てくへった!」
茶会の主が誰より一番がちがちに緊張していた。
「おい、ジェラルド落ち着け」
「……すまない、俺の茶会に来てくれる令嬢が存在するなんて、まだ完全には信じられていなくて。……大丈夫か?二人とも、気分が悪くなったりしていないか?」
「今のところ大丈夫です。これも神に使わされた聖女リート様のお力でしょう」
「そうか。よかった」
よくない。聖女じゃないし。神に使わされたという部分はあっているが。
ただし、ろくでなしの神ではあるが。と、リートは苦い顔をした。
ともあれ、お茶会は始まった。
本日の目的はアレスとオルガの中を取り持つことだ。なので、リートはジェラルドに触らずに大人しく座っていた。
ジェラルドが取り乱すとアレスはジェラルドにかかりきりになってしまう。それでは本末転倒だ。
(本日はお触り禁止!我慢我慢!)
リートはアレスの様子を窺いながら紅茶を口に含んだ。
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