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74、忠告
しおりを挟むリリーナについて知りたいが、ガウェインに尋ねる訳にはいかないだろう。
という訳で、ある日の放課後、私は屋上へ上った。
常にそこにいるとは限らないが、運良く一人佇むレオナルド・ヒョーゴンに会うことができた。
「何か用か?」
レオナルドは私をちらりと一瞥すると、すぐに視線を空に戻してしまった。
「お聞きしたいことがあるのです」
「オッサカーのことか?」
尋ねる調子だが、レオナルドの声には既に確信が含まれていた。
「ええ。リリーナ・オッサカーについて、教えていただきたいのです」
私がそう言うと、ようやくレオナルドは振り向いた。
「どこまで知っている」
「彼女が、何故か私とニチカ・チューオウを陥れようとしている、ということぐらいですわね」
私が答えると、レオナルドはふっと短い溜め息を吐いた。
「アレはな、自分以外の女がチヤホヤされていると許せねぇんだよ」
沈痛な表情で眉を歪めたレオナルドは、怒りをやり過ごすように拳を握りしめた。
「お前は、常にサイタマーとヒョードル・ホーカイドに溺愛されているからな。さぞかし、目障りなんだろうさ」
レオナルドはそう言った。
そりゃ、ジェンスとお兄様は私を大事にしてくれているが、それだけの理由で陥れたりするものだろうか。
「特待生の方は、トキオート達の周りをちょろちょろしていたから、目をつけられたんだろう。アレは、四大公爵家の嫡男には特に執着しているから」
「どうして……」
私は思わず呟いた。
リリーナ・オッサカーが転生者だとして、彼女はヒロインのポジションを奪って逆ハーを成し遂げたいのだろうか。でも、それにしては、攻略対象達に愛されようと努力している姿は見たことがない。ニチカみたいにぶりっこ演じてでも自分を売り込まなければ、恋愛感情など抱いてもらえないと思うのだが。
「アレは、自分じゃ何もしない。文句を言ってばかりだ。でも、自分の思い通りにならないと許せないんだよ」
「……詳しいですね」
先ほどから、レオナルドは随分断定口調で喋る。
それを指摘すると、レオナルドは目を伏せて息を吐いた。
「とにかく、気をつけろ。アレは、普通じゃない。うまく説明できないが、とにかく薄気味悪いんだ」
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