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第17話 同じ夢
しおりを挟むはっ、と、二人同時に目を開けた。
繋いだままの手がびくりと震えた。
ルティアとガルヴィードはソファに凭れていた身を起こして目を見合わせた。
「あ……」
「え……」
ルティアは目の前のガルヴィードの顔を見つめて、たった今見た夢の内容を思い出して狼狽えた。
(なに、今の夢……っ?)
病気で寝込んでいるようなガルヴィードが、ひたすらルティアに会いたいと訴えていた。
(え?何?なんで?手を繋いで寝たから?)
繋いだままの手を見やって、ガルヴィードの夢を見たのはこのせいに違いないと自分に言い聞かせた。
(あんな夢を見たなんて知られたら、まるで私がガルヴィードに求められたがっているみたいで、恥ずかしいわ!)
絶対に黙っていようと心に決めた時、ガルヴィードが口を開いた。
「……夢を見た」
「え?」
「俺が、なんか病人みたいで……お前に会いたがっていた」
「え?」
ルティアは驚いて目を丸くした。
「ルートヴィッヒの野郎……お前に会わせないとかなんとか……なんだ、やけに現実みのある夢だったな」
ガルヴィードが肩をすくめながら言うのを聞いて、ルティアは愕然とした。
ガルヴィードの語る夢の内容が、ルティアが見たものとまったく同じだったからだ。
「ガルヴィード!」
ルティアは繋いだままの手を、ガルヴィードの手ごともう片方の手でがっしと掴んだ。
「私も同じ夢をみたわ!」
「はあ?」
目を白黒させるガルヴィードに、ルティアは自分が見た夢の内容を話した。それを聞いて、ガルヴィードの目に驚愕が浮かぶ。
「同じ夢……まさか、また全国民が同じ夢見てるんじゃ……?」
「いや、でも今は昼間だよ?みんな起きてるでしょ」
「そうだな。しかし、なんであんな夢を?二、三年ぐらい先の光景にみえたが……俺は病気になるのか?」
ガルヴィードの呟きを耳にして、ルティアはハッとした。そう、夢が未来に起きることならば、近い将来にガルヴィードが病気になってしまうことになる。
「ガルヴィード!お医者様にみてもらおう!」
「お、おう……でも、今は別になんともねぇし」
「今はなんともなくても、ガルヴィードに何かあったらどうするの!?絶対、病気になんかなっちゃダメだからね!」
ルティアはずいっと顔を寄せてガルヴィードの顔を覗き込んだ。
手は握ったままである。
ノックの音がした。
「失礼いたします……」
扉を開けた侍女の目に飛び込んできたのは、ソファの上で手を握りあって至近距離で見つめ合う二人の姿だった。
侍女が「赤飯!」と叫ぶ声が城中に響き渡った。
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