僕と猫とゲートキーパー ー 勝手に他人の半生を書いてみた(第3章)

kkkkk

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こんぱいら?

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※本話は内容に偏りがあります。



お菊さんは武に原子を操作する方法を説明し始めた。

「まず、この世界には魔法なんていう非科学的なものは存在しないの」

「この前まで、自分のことを雪女とか妖怪とか言ってた人のセリフとは思えない・・・」
武はボソッと言った。

「仕方ないでしょ。説明するのが面倒だったから。悪気は無かったのよ」
そう言って、お菊さんは『ごめんね』のポーズをした。

「別にいいよ。それで、原子の操作はどうするの?」

「そうね。水を作る場合は、水素原子2つと酸素原子1つを合成するよね?」

「そうだね」

「原子を操作する時に必要なのは大きく2つ。1つ目は、水素原子と酸素原子の情報」

「だろうね」

「2つ目は、水を生成するためのプログラムね」

「プログラム?」

「ええ、プログラム。例えば、水を作る場合、チマチマと水素原子2つと酸素原子1つを合成しても、大した量を作れない」

「水素原子2つと酸素原子1つを合成してできるのは水の分子1つだけ。そういうこと?」

「そうよ。1グラムの水を作るのに、水素原子2つと酸素原子1つを何回合成しないといけないと思う?」

「急に難しい問題を出してくるなー」

「頭の体操よー」お菊さんは楽しそうだ。

武はお菊さんの出した問題の答えを考え始めた。
水素原子の原子量が1、酸素原子の原子量が16。だから、水(H2O)の原子量は18だ。

「水18gで1molだ。アボガドロ数(6×10^23)を使うと、(6×10^23)÷18だな。だから、1gの水を作るためには、3.3×10^22回の合成が必要?」

武は計算結果をお菊さんに確認する。

「そうね。330垓(がい)回ね。普通の人は一生掛かっても水1g作れないわね」

「僕の人生はそんなに短いのか・・・」武はしみじみと言った。

「だから、水を生成するためのプログラムを使うのよ」

「どうやるの?」

「一番簡単な方法はコンパイラを使うの」

※コンパイラ(compiler)とは、人間が書いたコンピュータプログラムをコンピュータが実行や解釈できる形式に変換するソフトウェア。

「こんぱいら? あの、コンパイラ?」

「そうよ。見せた方が早いわね」

お菊さんはそう言うと、武の目に手をかざした。
すると、武には簡単なコード(下記)が見えた。

<水の生成>
==========
$j = 10 // 回数
$a = H; // 水素原子の情報
$b = O; // 酸素原子の情報
$x = $a * 2 + $b; // 水分子

for ($i = 1; $i <= $j; $i++) {
 $x .= $x;
}
print $x;
==========


「え? これコードだよね?」

「そうよ。これは水素原子2つと酸素原子1つを合成して水の分子を作って、それを2^10回繋げているの」

「じゃあ、水を出すのはprint?」

「そうよ。無詠唱の魔法みたいでしょー」お菊さんは得意そうに言った。

「分かるよ。分かるんだけど、ファンタジーのイメージが崩れていくなー」

武は少しショックを受けている。
お菊さんはガッカリした武を見かねて言った。

「試しに、これで水を出してみようか?」

― これで水がでるの?

武の科学者のクローンだ。一気に機嫌が直った。

「うん!」武は勢いよくお菊さんに言った。

「いくよー」お菊さんはそう言うと、手を上げた。

“じわっ”

お菊さんの手が湿った。
2^10個の水分子ではこれくらいだろう・・・

「手が湿ったね!」武はテンションが上がっている。

「回数を増やせばもっと水が出るんだけど、ここだと危ないから・・・」
お菊さんは申し訳なさそうに言った。

「別にいいよ。原子操作のイメージが分かったし。原子の情報とプログラムかー」

「原子を構成している陽子・電子・中性子も同じ理屈で操作できるわ。でも、処理する内容が原子よりも複雑になるから、処理速度が速くないと使い物にならないね」

「パソコンのCPUみたいだな。じゃあ、扱える原子量はパソコンのメモリみたいなもの?」武はお菊さんに聞いた。

「いい例えね。その通りよ。実行するまでの間、作成した原子量を保持しないといけないから。スペックが重要なのよね」とお菊さんは説明した。

スペックか・・・
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