第4王子は中途半端だから探偵することにした

kkkkk

文字の大きさ
26 / 197
第2回活動報告:カルテルを潰せ

カルテルを疑え(その8)

しおりを挟む
(5)カルテルを疑え <続き>

俺は具体的に銅価格を引き下げる仕組みを、内部調査部のメンバーに説明することにした。


「『カルテル潰し作戦』の具体的な内容は、こんな感じだ(図表2-6)。」そう言って俺は、ホワイトボードに取引の流れを書いた。

【図表2-6:銅の輸入・国内販売の流れ】


「まず、ジャービス王国が出資して、秘密裏に会社を設立する。会社名は内部調査部を英語にすると『internal investigation』だから、仮に『i2』としよう。」

「なぜ2からスタート?」とルイーズが言った。

「本当は英語の最初のアルファベットのiを2個にして、『ii』とかの方がいんだろうけど。『アイアイ』って、母音が4個も続くから言いにくいでしょ。それに、お猿さんみたいだ。」と俺は答えた。

※アイアイとは、哺乳綱霊長目アイアイ科アイアイ属に分類される霊長類。リスとコウモリとサルを寄せ集めたような姿で、悪魔の使いとも言われる。

「『ii』ってiが2個続いているから、正しくは『i×i』又は『i^2(iの2乗:i squared)』でしょ。
『i2』は『i+i』又は『i×2』じゃないと変だよ。」とルイーズが言った。
いつものように、変なところに拘りがあるようだが、今回はとにかく、2が気に入らないようだ。

「『i squared(アイ・スクエアード)』って、言いにくくない?『i2(アイ・ツ―)』の方が言いやすいと思うよ。」と俺は反論する。

「じゃあ、ダニエルは『アイ・ツ―』って呼べばいいじゃない。私は『アイ・スクエアード』って呼ぶから。」とルイーズは言った。

どうやら交渉は決裂したようだ。
こういう時、他のメンバーは話に入ってこない。ミゲルでさえ、下を見ている。

俺は気を取り直して、説明を続けることにした。

「まず、i2が銅を仕入れる外国の会社または鉱山会社は、外務省に手配してもらおうと思う。外交関係で銅産出国とも付き合いがあるから、どこか紹介してくれるだろう。」俺はホワイトボード(図表2-6)を指して言った。

「次に、銅の輸入に使うタンカーと港は、国内商社に知られないように、軍船と軍港を利用しよう。国内商社が利用している船舶会社や港を使うと、銅の輸入がバレる可能性がある。
さらに、仕入れてきた銅は、政府系鉱山会社のジャービス鋼業を経由して市場で売却しようと思う。ジャービス鋼業が販売すれば、他の商社は、輸入によって供給量が増えたのではなく、ジャービス国内の鉱山会社の生産量が増えたと思うはずだ。」と俺は言った。

「さすが部長!その後は、カルテルが崩れて銅価格が下落していくわけですね。」と太鼓持ちのミゲルが続いた。

「いかにもダニエルらしい、卑怯な手口だね。」と俺の説明を聞いたルイーズがボソッと言った。今日は、いちいち突っかかってくる。

「それにしても、やりすぎじゃない?民業圧迫と言われそう。」とルイーズは話を続けた。

「いや、そんなことない。カルテルを結んで自由競争を阻害している方が悪い。
カルテルを摘発できないのであれば、『カルテル潰し作戦』に移行した方が、時間も手間も省略できる。それに、国家権力に喧嘩を売ったことを、後悔させてやらないといけない。」

「誰も喧嘩を売ってない。アンタが勝手に逆恨みしているだけ。」とルイーズは投げやりに言った。

俺は気を取り直して、話を続ける。

「それで、新しく設立する会社(i2)は銅を6か月間輸入・販売した後は清算するつもりだ。俺が社長になるわけにいかないから、施設長をしていた経験から、ミゲルが就任してくれないかな?経歴、年齢、見た目がちょうどいいと思うんだ。」と俺はミゲルに聞いた。

俺に急に社長就任を打診されたミゲルは困惑している。いろんなことを考えているのだろう。

少し考えた後、ミゲルは俺に「一つ確認したいのですが」と言った。

「何かな?」

「私が社長に就任しても、銅の輸入取引の保証人になったり、運転資金の借入の保証人になったりしなくても大丈夫ですか?」とミゲルは遠慮がちに俺に質問した。

ミゲルはロイの件があったから、保証人にはなりたくないと思っているようだ。
銅の輸入取引となると、規模は小さくない。もし保証人になって何かあったら大変だと思うのは当然だろう。

「もちろん。保証人になる必要はない。資金は全てジャービス政府が出すからリスクはゼロ。6カ月の短期派遣だ。さらに、社長手当も付けよう。」と俺は言った。

「そういうことであれば、社長就任の件、お受けします。」とミゲルは納得した。

「じゃあ、『カルテル潰し作戦』の準備に取り掛かろう!」

「ところで、役割分担はどうするの?」とルイーズが俺に言った。

「ミゲル、ガブリエル、ロイ、ポールは手分けして、新会社の設立、銀行口座の開設、銅の輸入に必要な許認可等の申請をお願いしたい。それと、ルイーズとスミスは、俺に着いてきてくれるかな。銅の輸入取引を進めるためには根回しが必要だから、説明に行かないといけない。」

会議はそういう流れで散会した。

『カルテル潰し作戦』の決行だ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

「役立たず」と追放されたが、俺のスキルは【経験値委託】だ。解除した瞬間、勇者パーティーはレベル1に戻り、俺だけレベル9999になった

たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ、アレン。お前のような戦闘スキルのない寄生虫は、魔王討伐の旅には連れていけない」 幼馴染の勇者と、恋人だった聖女からそう告げられ、俺は極寒の雪山に捨てられた。 だが、彼らは勘違いしている。 俺のスキルは、単なる【魔力譲渡】じゃない。 パーティメンバーが得た経験値を管理・分配し、底上げする【経験値委託(キックバック)】という神スキルだったのだ。 俺をパーティから外すということは、契約解除を意味する。 つまり――今まで彼らが俺のおかげで得ていた「かさ増しステータス」が消え、俺が預けていた膨大な「累積経験値」が全て俺に返還されるということだ。 「スキル解除。……さて、長年の利子も含めて、たっぷり返してもらおうか」 その瞬間、俺のレベルは15から9999へ。 一方、勇者たちはレベル70から初期レベルの1へと転落した。 これは、最強の力を取り戻した俺が、雪山の守り神である銀狼(美少女)や、封印されし魔神(美少女)を従えて無双し、新たな国を作る物語。 そして、レベル1に戻ってゴブリンにも勝てなくなった元勇者たちが、絶望のどん底へ落ちていく「ざまぁ」の記録である。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

崖からポイ捨てされた不運令嬢ですが、銀髪イケメン竜王に『最愛の伴侶』としてスカウトされました!

有賀冬馬
恋愛
不作も天災も、全部わたしのせい!? 「不運な女」と虐げられ、生贄として崖から捨てられたわたし、ミラ。 でも、落ちた先で待っていたのは、まぶしいほど綺麗な銀髪の竜王・アルベルト様でした! 「君がいたから、この国は守られていたんだよ」 えっ、わたしって実はすごい聖女だったの!? 竜宮城で贅沢三昧&溺愛生活スタート! そんな中、わたしを捨てて大ピンチになった元婚約者が「ミラ、戻ってきて!」と泣きついてきて……。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

処理中です...