第4王子は中途半端だから探偵することにした

kkkkk

文字の大きさ
27 / 197
第2回活動報告:カルテルを潰せ

根回しをしよう(その1)

しおりを挟む
(6)根回しをしよう

今回の『カルテル潰し作戦』を実行するためには、外務省、国軍、内務省の協力が必要だ。外務省には銅の仕入先を紹介してもらわないといけないし、国軍には銅の輸送をお願いしないといけない。内務省の管轄しているジャービス鉱業には、銅の販売を依頼しないといけない。
円滑に『カルテル潰し作戦』を進めるためには、関係者に根回しをする必要があるのだ。

まず、俺、ルイーズ、スミスの3人は国王の了解を取り付けるために、王宮を訪問することにした。
王宮に向かう途中、スミスが深刻な顔をしている。

「どうしたの?深刻な顔をして。」と俺がスミスに聞いた。

「それは、国王に会うんですから、緊張しますよね。」とスミスはさも当然のように答えた。

一般的な感覚としては、そんなものだろうか?ただの偏屈な爺(じじい)なんだが。

「別に緊張しなくてもいいよ。例えるなら、『カールじいさん』かな。カールじいさんって、知ってる?」と俺はスミスに聞いた。

「家に風船を付けて飛ばそうとする、老人ですよね?」

「そう。妻に先立たれ、家に一人で暮らす偏屈な爺さんだ。まさにそんな感じだよ。」と俺はスミスに言った。

※カールじいさんは、その後、少年ラッセルと出会い冒険を繰り広げます。

「はあ。ところで、急に呼ばれたので、正装に着替える時間がありませんでした。こんな格好で国王に会うのは、失礼に当たらないでしょうか?」実に真面目なスミスらしい質問だ。

「そんなの気にしなくていいよ。だって、俺、Tシャツだし。スミスはポロシャツだから襟あるじゃない。俺よりも正装に近いよ。」

「はあ。」スミスはまだ不安なようだ。

俺が横を見るとルイーズが履いていたのは、スリッパだった。サンダルでもミュールでもない。室内用のスリッパだ。スミスを勇気付けようと言った。

「ルイーズなんか、スリッパのままだ。靴さえ履いていない。」

「私のことは、いいじゃない。私はシャツ着てるから、ダニエルよりも正装に近いと思うよ。」とルイーズが言い返してきた。そもそも、女性は正装でもシャツを着る必要はないのだが。

「俺はTシャツだけど、靴は履いてる。高級レストランにも入れるよ。高級レストランは足元を見るからね。でも、ルイーズはスリッパだから、高級レストランに入れないよ。」

「私も高級レストランに行くときは、靴履くわよ。」とルイーズが言い返してきた。

「じゃあ、王宮は高級レストランよりも下ですか?」とスミスがルイーズに聞いた。

「TPO(時と場所、場合に応じた方法・態度・服装等の使い分け)という意味では、高級レストランの方が上でしょう。役所の敷地外にあるから。
今から行くのは、役所の隅っこにある『王宮』という名前が付いている建物。公務員にとっては、食堂に行くのと変わらない。」とルイーズはスミスの質問に答えた。

「そういう認識なんですね。」スミスは納得したようだ。

「まあ、服装は気にしなくていいんだよ。それに、スミスは襟付きで靴を履いてるから、もう正装と言っても差し障りないだろう。」と俺はスミスに言った。

スミスが本当に納得したか分からないが、TPOを気にする必要が無いことは、実際に国王に会えば分かるだろう。
今日は暑いから、短パンにサンダルで出てくるはずだ。

俺たちが王宮に向かう途中に売店がある。役所の職員が買い物する場所だ。
売店からアイスを銜(くわ)えた短パンにサンダルの初老の男性が出てきた。
俺に気付いた初老の男性は、俺に話しかけてきた。

「やあ、ダニー。今日も暑いね。」

「今日も暑いですね。今日のアイスはガリガリ君ですか?」

国王はガリガリ君が大好きだ。夏場は毎日食べている。
だから本当は、『今日のアイスはガリガリ君ですか?』ではなく『今日もガリガリ君ですか?』と言った方が正確だろう。

「どなたですか?」とスミスが俺に小声で聞いてきた。

「さっきまで話してたじゃない。俺の父親。国王だよ。」と俺はスミスに言った。

「わしの話か?どんな内容だ?」ガリガリ君を食べながらジャービス国王は聞いてきた。人一倍、自分の噂話に敏感だ。エゴサーチは毎日欠かさない。

「大した話じゃないんです。一緒に来たスミスが、国王に会うのにこの格好で大丈夫かと心配していまして。国王は気にしないから大丈夫、と話していたのです。」と俺は国王に説明した。

「そうか。わしも短パン・サンダルだしな。気にしなくていい。ジャービス王国の夏は暑いから。クール・ビズ(Cool Biz)は勤務環境の改善のためにも重要だ。」と国王はスミスに言った。

国王の恰好は、ビジネス・カジュアルというよりも完全にカジュアルだが、本人の認識ではスーツ以外はどれも同じに見えるようだ。

「恐れ入ります。」とスミスは国王に言った。何に恐れ入ったのか分からないが、きっと国王を見て緊張しているのだろう。

<続く>
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

エレンディア王国記

火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、 「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。 導かれるように辿り着いたのは、 魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。 王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り―― だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。 「なんとかなるさ。生きてればな」 手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。 教師として、王子として、そして何者かとして。 これは、“教える者”が世界を変えていく物語。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

処理中です...