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第5回活動報告:仮想通貨の詐欺集団を捕まえろ
投資計画を説明しよう(その3)
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(11)投資計画を説明しよう <続き>
私はチャールズに渡した資料をもとに説明を始めた。チャールズの方から、ねっとりとした視線を感じる。さっさと説明してしまおう。
「まず、ジャービット・エクスチェンジの経営陣は、顧客からのジャービット・コインの買取価格を2万JDにしたいようです。理由は、顧客のジャービット・コインの平均取得単価が約2万JDなので、買取価格を2万JDにすれば問題になりにくいと考えているためです。何度か2万JDよりも低い価格で買取りするように促したのですが、『顧客に迷惑を掛けるのは避けたい』と言って、2万JDでの買取りを強く主張しています。2万JDよりも低い買取価格を前提に会社の支援を提案しても、現経営陣は反対するでしょう。」
「『顧客に迷惑を掛けたくない』か。それで、ジャービット・コインを2万JDで買取った場合に必要な金額は?」とチャールズは私に質問した。
「顧客が保有しているジャービット・コインは10万個、2万JDで買取る場合、総額で20億JD必要です。それに対して、現在会社が保有している資金は15億JDです。全てのジャービット・コインを買取る場合、最大で5億JD不足します。なので、5億JDがジャービットに必要な出資額と言えます。」
「スポンサーとしての出資額は5億JDか。暗号資産の発行会社と交換業者を買収するのに5億JDであれば、高くないね。」とチャールズは興味を持っている。
「会社への提案はこの2つにしました。2案を提示して、どちらがいいかを現経営陣に選んでもらおうと思っています。」と言って、書類の該当箇所を指し示した。少し前屈みになったら、チャールズが私の胸元を見ているような気がするが、説明を続ける。
==============
提案1:ジャービットの株式を既存株主からi5が1JDで買取る。その後、i5はジャービットに5億JDを出資する。
提案2:ジャービットの株式を既存株主から1億JDで買取る。その後、ジャービットは投資有価証券を既存株主(現経営陣)に1億JDで売却する。i5はジャービットに4億JDを出資する。
==============
「2案の違いは、ジャービットが保有している投資有価証券を継続保有するか、経営陣に引き取ってもらうかです。」
「投資有価証券がそんなに価値があるものなのか?」とチャールズが言った。
「価値があると言えばあります。ジャービットは過去5年間に約100社、10億JDのベンチャー企業への投資を行なっています。このベンチャー投資によって、既に20億JDを回収しています。非上場株式の投資は成功していると言えます。会社が投資した約100社のうち、まだ60社を保有しているので、更に投資回収できるかもしれません。」
「提案2の書きぶりからすると、投資有価証券は1億JDで評価しているということか。」
「そうです。今回の投資は、民事再生法の適用を前提としているため、投資有価証券を投資先の簿価純資産額で評価し、1億JDとしています。ただ、過去の回収実績は悪くないため、我々が簿価純資産額で評価した1億JDでは、現経営陣は低すぎると思うかも知れません。」
「それはそうかもね。」
「我々の投資目的は、あくまで暗号資産の発行会社と交換業者の買収です。譲渡対象に投資有価証券を含めても、含めなくても、どちらでも構わないと考えています。
このため、投資有価証券をジャービットで継続保有するケース、現経営陣に売却するケースに分けて、現経営陣に選んでもらおうと思っています。」
「そうか。それにしても、ベンチャー企業が60社。モニタリングが大変そうだな。」とチャールズはボソッと言った。
やはり、チャールズはベンチャー投資に興味がなさそうだ。ベンチャー投資に興味があったらどうしようかと考えていたが、興味がなくて良かった。
とは言え、投資有価証券が投資対象に含まれるかもしれないので、モニタリングについて説明しておこう。
「確かにモニタリングは60社必要ですが、出資比率は低いので、積極的に関わる必要はありません。もし投資有価証券を継続保有することになっても、それほど手間が掛かるわけではないと思っています。」
「そうか。まあ、現経営陣が引き取る可能性が高そうだし、ジャービットが継続保有するのは20~30%くらいか。分かった。それで、ジャービットへの出資額は5億JDで大丈夫なのか?」
「当面は、5億JDあれば足りると思います。もし発行済のジャービット・コインを全てジャービットが購入した場合、現預金がゼロになりますが、現実的に全顧客が売却することはないでしょう。運転資金として追加資金が必要な場合は、『不足が生じたら追加で出資又は貸付する』と説明しておけばいいでしょう。」
「5億JD+αか。新規で設立しても、営業開始までに5億JDは掛かるだろうから、金額的には問題ない。」
チャールズは私たちの説明に概ね納得したようだ。
<続く>
私はチャールズに渡した資料をもとに説明を始めた。チャールズの方から、ねっとりとした視線を感じる。さっさと説明してしまおう。
「まず、ジャービット・エクスチェンジの経営陣は、顧客からのジャービット・コインの買取価格を2万JDにしたいようです。理由は、顧客のジャービット・コインの平均取得単価が約2万JDなので、買取価格を2万JDにすれば問題になりにくいと考えているためです。何度か2万JDよりも低い価格で買取りするように促したのですが、『顧客に迷惑を掛けるのは避けたい』と言って、2万JDでの買取りを強く主張しています。2万JDよりも低い買取価格を前提に会社の支援を提案しても、現経営陣は反対するでしょう。」
「『顧客に迷惑を掛けたくない』か。それで、ジャービット・コインを2万JDで買取った場合に必要な金額は?」とチャールズは私に質問した。
「顧客が保有しているジャービット・コインは10万個、2万JDで買取る場合、総額で20億JD必要です。それに対して、現在会社が保有している資金は15億JDです。全てのジャービット・コインを買取る場合、最大で5億JD不足します。なので、5億JDがジャービットに必要な出資額と言えます。」
「スポンサーとしての出資額は5億JDか。暗号資産の発行会社と交換業者を買収するのに5億JDであれば、高くないね。」とチャールズは興味を持っている。
「会社への提案はこの2つにしました。2案を提示して、どちらがいいかを現経営陣に選んでもらおうと思っています。」と言って、書類の該当箇所を指し示した。少し前屈みになったら、チャールズが私の胸元を見ているような気がするが、説明を続ける。
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提案1:ジャービットの株式を既存株主からi5が1JDで買取る。その後、i5はジャービットに5億JDを出資する。
提案2:ジャービットの株式を既存株主から1億JDで買取る。その後、ジャービットは投資有価証券を既存株主(現経営陣)に1億JDで売却する。i5はジャービットに4億JDを出資する。
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「2案の違いは、ジャービットが保有している投資有価証券を継続保有するか、経営陣に引き取ってもらうかです。」
「投資有価証券がそんなに価値があるものなのか?」とチャールズが言った。
「価値があると言えばあります。ジャービットは過去5年間に約100社、10億JDのベンチャー企業への投資を行なっています。このベンチャー投資によって、既に20億JDを回収しています。非上場株式の投資は成功していると言えます。会社が投資した約100社のうち、まだ60社を保有しているので、更に投資回収できるかもしれません。」
「提案2の書きぶりからすると、投資有価証券は1億JDで評価しているということか。」
「そうです。今回の投資は、民事再生法の適用を前提としているため、投資有価証券を投資先の簿価純資産額で評価し、1億JDとしています。ただ、過去の回収実績は悪くないため、我々が簿価純資産額で評価した1億JDでは、現経営陣は低すぎると思うかも知れません。」
「それはそうかもね。」
「我々の投資目的は、あくまで暗号資産の発行会社と交換業者の買収です。譲渡対象に投資有価証券を含めても、含めなくても、どちらでも構わないと考えています。
このため、投資有価証券をジャービットで継続保有するケース、現経営陣に売却するケースに分けて、現経営陣に選んでもらおうと思っています。」
「そうか。それにしても、ベンチャー企業が60社。モニタリングが大変そうだな。」とチャールズはボソッと言った。
やはり、チャールズはベンチャー投資に興味がなさそうだ。ベンチャー投資に興味があったらどうしようかと考えていたが、興味がなくて良かった。
とは言え、投資有価証券が投資対象に含まれるかもしれないので、モニタリングについて説明しておこう。
「確かにモニタリングは60社必要ですが、出資比率は低いので、積極的に関わる必要はありません。もし投資有価証券を継続保有することになっても、それほど手間が掛かるわけではないと思っています。」
「そうか。まあ、現経営陣が引き取る可能性が高そうだし、ジャービットが継続保有するのは20~30%くらいか。分かった。それで、ジャービットへの出資額は5億JDで大丈夫なのか?」
「当面は、5億JDあれば足りると思います。もし発行済のジャービット・コインを全てジャービットが購入した場合、現預金がゼロになりますが、現実的に全顧客が売却することはないでしょう。運転資金として追加資金が必要な場合は、『不足が生じたら追加で出資又は貸付する』と説明しておけばいいでしょう。」
「5億JD+αか。新規で設立しても、営業開始までに5億JDは掛かるだろうから、金額的には問題ない。」
チャールズは私たちの説明に概ね納得したようだ。
<続く>
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