第4王子は中途半端だから探偵することにした

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第6回活動報告:ハゲタカファンドと戦え

ネール・マテリアル(その1)

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(5)ネール・マテリアル

俺は内部調査部に戻ってきたルイーズとポールから、元ダウラアセットマネジメントのルーカスが話したダウラファンドの状況を聞いた。
俺は海外投資家がジャービス王国の企業を買収するためにダウラファンドに出資していると考えていたが、この推理は外れた。
ポールの話によれば、ダウラファンドが買収した会社を売却する際にはビッド(入札)方式を採用しているため、むしろファンドに出資している方が不利に働く可能性があるらしい。言われてみればその通りだ。

ダウラファンドの調査は一旦保留にして、次はネール・マテリアルへのヒアリングを行うことにした。ジャービット・エクスチェンジのホセがネール・マテリアルの社長のアナンヤを紹介してくれるらしい。ネール・マテリアルがダウラファンドからどのような提案を受けたかをアナンヤから聞くことにした。
ダウラファンドは普通のPEファンドと同じように活動しているかもしれない。
でも、重要な技術流出はジャービス王国として見過ごすわけにはいかないだろう。
今は何ができるのかを調査する段階だ。

ネール・マテリアルへは俺、ミゲル、スミス、ホセの4人で訪問した。
会社に着くと、社長のアナンヤが俺たちを会議室へ案内した。

アナンヤは派手な格好をした中年女性だ。エネルギッシュな印象を受ける。
話し出すと止まらないかもしれないから、慎重にヒアリングは進めるべきだろう。

会議室に入るとホセがアナンヤに向かって言った。

「しばらくぶりだけど、元気そうだね。それにしても、アナンヤは見た目が全然変わらないね。私なんかすっかり爺さんだけど、アナンヤは若々しくて羨ましい。」

「まあ、ホセったら。みんなにそんなこと言ってるんでしょ?」とアナンヤはホセに言った。

「いやいや。本当のことだよ。」とホセは言った。

これくらいであれば、ぎりぎりセクハラにならない会話だろう。
それに相手がおばさんだから、気にする素振りがない。

「それで、今日は私の相談を聞きに来てくれたのよね?」とアナンヤはホセに聞いた。

「そうだね。私の近況はアナンヤに説明したと思うけど、今はジャービット・エクスチェンジで雇われ社長をしているんだ。今日はうちの会社の株主と一緒に来た。」とホセは俺たちを紹介した。

話を振られたので、俺は簡単な自己紹介をする。

「はじめまして、総務省のダニエルです。私は内部調査部という部署の部長をしていて、一緒に訪問したのは内部調査部のミゲルとスミスです。」と俺は言った。

「こちらこそ。いつも『ジャービス王国カレンダー』で見てますから、お顔は存じ上げています。それにしても、実物は大きいんですね。」アナンヤは俺を見上げて言った。

どうやら俺の身長のことを言っているようだ。

「ああ、そうですね。たまに驚かれます。カレンダーだと家族が並んで写っているので、サイズ感が分かりませんよね。」

「家族写真は全員が同じくらいの背の高さだったような気がしますけど・・・。」

「そうです。家族は全員、大男と大女です。特に、兄のジェームスは横幅もあって髭を生やしているので、遠くから見たら熊ですよ。」と俺は言った。

「熊・・・。あら怖い。」とアナンヤはわざとらしく言った。

俺は雑談をここまでにして本題に入ることにした。
これでミゲルが入ってくると、話が収集しなくなってしまう。

「今日はダウラファンドから御社にどのような提案があったのかを伺いに来ました。具体的な提案はあったのでしょうか?」と俺はアナンヤに聞いた。

「はい。ダウラファンドから当社に対して、経営改善に関する提案がありました。収益性の悪い事業から撤退して、ネール・マテリアルの収益性を改善させるための提案です。それ自体はアクティビストファンドが要求してくる一般的な内容なので、当社も特に気にしていません。」

「それ以外の提案もあったのですか?」と俺は聞いた。

「正式に提案があったわけではありませんが・・・・、ダウラファンドの提案を受け入れない場合、ネール・マテリアルを買収する可能性を匂わせてきました。」とアナンヤは言った。

ダウラファンドのいつもの提案方法だ。
この後、ダウラファンドはネール・マテリアルにTOB(株式公開買付け)を仕掛けてくるかもしれない。

<続く>
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