妻が自称ユーチューバーになった話

kkkkk

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ライブ配信したらええんとちゃう?

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「分かったーーーーーー!!」

今日も妻が叫んでいる。何かを思い付いたのだろう。
私は妻に尋ねた。

「何が分かったん?」
「ビデオの再生時間を伸ばす方法!」
「へー」

この前少し触れたが、プロチューバーになるためには基準は幾つかある。
これが最も低い基準だ。

-------------------------------------------------------------------
1.チャンネル登録者数:500人以上
2.ビデオを3つアップロードする

さらに以下のどちらかを充たす。

・過去365日間のビデオの動画再生時間が3,000時間以上
・過去90日間のショートの動画再生回数が300万回以上
--------------------------------------------------------------------

1と2は何とかなりそうなのだが、問題はその次だ。難関を満たさないといけない。

そして、妻はプロチューバーになるために「過去365日間のビデオの動画再生時間が3,000時間以上」の対策を考えているようだ。
私は妻に確認する。

「どういう方法?」
「昨日、マリコ(※)がライブ配信してたやろ?」
「あー、やってたなー」

※ヨガインストラクターのB-lifeのマリコさんのことです。

昨日、妻はマリコさんのライブ配信を見ながらヨガをしていた。その話をしている。

「ライブ配信って、結構みんな見てんねん」
「有名やからな。ハラミちゃんもライブ配信してるし」
「だからな、私もライブ配信したらええんとちゃう?」

――えぇっ? ライブ配信?

私は耳を疑った。
正気だろうか?

本当にやるのかを妻に確認する。

「うちの書道動画をライブ配信するとして、何を配信するん?」
「書いてるところやな」
「顔出しNGやろ?」
「そうやで。書きながら喋ればいい」
「書いてる人は外国人って設定なんやけど、覚えてる?」
「……」

妻は忘れている。「書道しているのは外国人」という設定を……
そして、逆ギレする妻。

「あんたが横から英語で解説すればいいやん!」
「書いてる手は女の人やのに、声がオッサンやったら気持ち悪くない?」
「まぁな……そうかもしれん」

妻は少し落ち込んでいる。
せっかくライブ配信しようと思っていたのに……出鼻を挫かれた妻は別室へ去っていった。

**

その次の日。

「これやーーーーー!!」

妻が叫んでいる。何か見つけたようだ。
猫動画かもしれないし、美容法かもしれない。

「どうしたん?」
「ライブで写経すればいいんや!」

妻はYouTubeのライブ動画のことを言っている。
写経とは経典を書き写すこと。小さい字でチマチマ書くアレだ。

「写経って、あの写経?」
「そうやで。無言で字を書き続けんねん!」
「斬新やなー」
「調べてみたら、写経の動画はあんまり無いねん。そして、写経動画は再生回数がそれなりにある」
「へー、再生時間も長そうやし、いいんとちゃう」
「そやろ、そう思ってん!」

こうして、妻のプロチューバーへの難関である「過去365日間のビデオの動画再生時間が3,000時間以上」は、写経によって糸口が見えてくるかもしれない。

書道チューバーとして写経が正解なのかは分からない。
でも、弱小ユーチューバーには何でもチャレンジすることが必要なのだ!

***

写経用の筆をアマゾンで購入した妻は写経を始めることにした。
いきなりライブ配信は危険だ。まずは、動画を撮影してビデオで配信することになった。

ビデオをセットした私は妻に確認する。

「じゃあ、録画するでー」
「うん、ええで」
「終わりそうになったら教えて」
「了解――!」

妻の準備が整ったようなので私は録画ボタンを押した。

“ピロリン”

私は妻が写経をする間、横のソファーに座りながら仕事することにした。
妻の方を見ると、やや前かがみになっている。頭のてっぺんがビデオに映りこんでいる気がする。

「頭、ビデオに入ってない?」

私に指摘された妻は頭を後ろに引く。
またしばらく時間が経った。また、妻が前かがみになる。

「あたまーー!」

妻は頭を後ろに引いた。
これが何度か続き、妻が「そろそろ」と私に言った。
写経が終わるようだ。

「その行で終わり?」と私は確認する。

「そやな。今日はここまでや」と妻が言うから私は録画を終了した。

時間にして55分。写経はかなり時間が掛かる。
私はお手本の般若心経と妻が書いた写経を見比べる。

「3行足りんなー」
「そやな。でも、もう疲れた」

ラスト3行を残して力尽きた妻。
55分写経をしていたのだからしんどいのだろう。
私は妻に念のために確認した。

「やり直す?」
「もういい。ここから3行入らへんわー」

ちなみに、3行残して力尽きた写経がこれだ。

 




今回は最後まで書けなかった写経を編集して配信しようと思う。

「終わってないやんけーー!」というコメントがくるかもしれないから、最後に「I'm beat……to be continued」と字幕を入れておくことにする。

我が家の戦いは今日も続く……

<つづく>

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