こちら国家戦略特別室

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第3章 国債を償還しろ!

国債をデフォルトさせよう!(その2)

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※この物語はフィクションです。登場する人物・団体は架空であり、実在のものとは関係ありません。

<その1からの続き>

 日本政府は国債の債務不履行(デフォルト)を宣言した。

 このニュースは瞬時に世界中を駆け巡った。世界中のテレビ、インターネット、ソーシャルメディアは連日、日本国債のデフォルトを報道した。
 日本政府は国債を償還できなくなった経緯を説明したのだが、レポーターはしつこく関係者を追い回した。

「償還できる見込みを検討しましたが、残念ながらこのような結果になりました。大変申し訳ございません!」
「国債をデフォルトさせるなんて、恥ずかしくないのですか?」
「これは恥ずかしい、恥ずかしくないの問題ではありません。我々は国の行く末を案じて、恥を承知で決断しました」
「総理、『泥棒メガネ』と言われているようです。お金を返さないのは泥棒だと。何かコメントありますか?」
「まぁ、メガネしてますからね……間違いではないですね」
「じゃあ、認めるんですか?」
「何をですか?」
「『泥棒メガネ』です」
「えぇ、結構ですよ。これから私のことは『泥棒メガネ』と呼んでください」
「それでは泥棒メガネにお伺いします。内閣は総辞職するんでしょうか?」
「これから話し合って決めます。会見は以上です」
「泥棒メガネ、まだ質問は終わってませんよ! 泥棒メガネーーー!」

 他の国会議員も「ない袖は振れん!」と言っていたそうだ。

 国債がデフォルトしたからといっても、借金がチャラになったわけではない。あくまで国債が償還できないと宣言しただけだ。
 債権者(国債保有者)と合意ができてはじめて、日本が返済できる金額まで国債残高はカットされる。

 さて、2022年12月末の日本国債の保有者は図表18の通りだ。

【図表18:日本国債の保有者別内訳(2022年12月末時点)】

  

出所:財務省『債務管理リポート 2023』
https://www.mof.go.jp/jgbs/publication/debt_management_report/2023/saimu2023-1-3.pdf

 所有者のうち、日本銀行が46.3%、銀行等が14.6%、生損保等が17.0%、この3つで77.9%を占めている。他には公的年金3.7%、年金基金2.5%と続く。ただ、これらの保有者は日本政府が何とか説得できるだろう。

 一方、海外投資家13.8%、個人1.1%については日本政府の言いなりにはならない。とすると、この2つだけを何とかすれば国債の大幅カットは可能となる。

 一度に債権者集会を開催することはできないから、まず、政府は個人と海外投資家に対して説得を開始することにした。

 個人との債権者集会では、多数の個人投資家が参加した。
 銀行や証券会社が主に高齢者を対象に個人向け国債を販売しまくったからだ。
 小口の国債を保有している高齢者たちが債権者集会の会場で叫んでいる。

「老後の資金を返せーー!」
「私たちに死ねと言うのかーーー!」

 個人は1.1%しか保有していないものの、さすがに数が多すぎた。
 高齢者の怒りは収まりそうになかったから、日本政府は国債の保有金額1,000万円までは保証することにした。すると、個人の国債保有者のほとんどは保証対象に入り、騒ぎは沈静化していった。

 次に、海外投資家との債権者集会は、結論からいえば決裂した。
 債権者集会の後、海外投資家は次々と日本政府を相手取って訴訟を起こし始めた。連日の訴訟で疲弊する日本政府は日本以外の居住者が保有する日本国債は保証することにした。

 その他の投資家は泣寝入りである。こうして、日本政府は発行する国債の85%の圧縮に成功し、発行残高は約200兆円となった。

 内閣は国債デフォルトの責任を取って総辞職した。さすがに世論が許さなかったようだ。

 国債のデフォルトにより日本円の価値が急激に下落し、日本は急激なインフレに見舞われた。具体的には半年間で50%の物価上昇が起こった。

 日本円の下落に備えるために、富裕層は現物資産を買い漁った。具体的には不動産と株式だ。
 さらに、円安によって割安になった日本の不動産と株式は、海外投資家に非常に魅力的に映った。海外投資家も不動産と株式を買い漁った。
 この結果、日本の不動産、上場株式は国債デフォルトから値上がりを続けた。

 日本企業は割高になった海外の生産拠点を閉鎖し、生産拠点を日本国内に移し始めた。日本企業が一気に生産拠点を拡大したことから、地域の雇用が創出され、さらに人不足によって大幅に賃金が上がった。

 物価は上がったものの、賃金上昇によってインフレのマイナスは相殺され、実質賃金上昇率(名目賃金上昇率-インフレ率)はややプラスとなった。

 海外旅行や輸入品は高くなったが、日本国内の国民生活は安定したと言える。
 さらに、インフレや賃金上昇によって日本の税収は増加した。
 2023年度の税収は約79兆円であったが、消費者物価や賃金が50%上昇したことによって、税額は118兆円(79兆円×1.5)に増加した。

 さらに、日本円の価値が下がっているのであるから、国債の発行残高200兆円の価値は、今の133兆円(200兆円÷1.5)と同じ価値になる。つまり国債の価値が相対的に下落した。

 垓のシミュレーションにおいて、小さな問題の発生はあったものの、概ね日本の財政問題は解決されているようだった。
 日本の再生は上手くいきそうな気がする。

「なかなか、いいシミュレーションじゃない」と新居室長は言った。

「そうですね。想像以上にいい結果です。これを提案しましょうよ!」と僕のテンションは上がる。

「賛成――!」と茜。

***

 次の日、国債をデフォルトさせる案を内閣に提案した新居室長が国家戦略特別室に戻ってきた。

「どうでした?」僕は胸を躍らせて新居室長に尋ねた。

「ダメだって……」新居室長は小さく言った。

 僕たちの提案は却下されたようだ。僕は理由を尋ねる。

「なんでですか?」
「辞めたく……ないって……」新居室長は小さく言った。

「え? なんていいました?」
「だから、辞めたくないって!」

 この国にはろくな政治家がいない……

 さて、次の案を考えるか。
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