僕と猫と明珍火箸 ー 勝手に他人の半生を書いてみた

kkkkk

文字の大きさ
1 / 21

明珍火箸の音色が聞こえる

しおりを挟む
<第1章のあらすじ>

山形県米沢市で暮らす10歳の山田武(たけし)は、同級生の家で殺人事件に巻き込まれた。事件の帰り道に白い猫(ムハンマド)と出会い、武は猫と話ができることを知る。

その後、同級生の家で起こった殺人事件が原因となり、北部勢力:米沢派と南部勢力:シン米沢派の抗争が始まる。シン米沢派が米沢狩り(米沢派のスパイあぶり出し)を開始したことにより米沢派とシン米沢派の抗争激化。米沢市を二分する米沢戦争へと発展した。

武はシン米沢派の米沢南警察署に殺人事件の情報を伝えたものの、武自身が米沢派に狙われることになる。シン米沢派に保護された武は、警察署の地下にシン米沢牛の関連施設があることを知る。

武は米沢戦争の原因を、黒毛和牛:米沢牛を独占する米沢派に対抗してシン米沢派がシン米沢牛を作ったことだと思っていた。でも、武は地下施設で米沢戦争の原因はクローン技術であることを知る。また、地下施設で武は本当の両親に再開し、自らの出生の秘密を知る。

米沢戦争は自衛隊の介入で終結したものの、クローン研究者の父を脅す材料として武は米沢派の残党から狙われることになった。武を米沢派から守るため、母:信子は武と猫を連れて実家のある兵庫県姫路市に避難した。


第2章は武と猫と信子が姫路に到着したところから始まる。


(1)明珍火箸の音色が聞こえる

武は母の信子、猫とともに陸上自衛隊の姫路駐屯地に到着した。神町駐屯地から輸送機で送ってもらったので、約1時間のフライトだった。当日の天気は快晴だったから、輸送機は大きく揺れることなくフライトを終えた。

輸送機を降りた武はハイテンションで猫に言った。

「輸送機って、凄いなー。あんな不細工な形なのに飛ぶんだな。」

「まあな。スーパーグッピーって貨物機はもっと不細工だぞ。頭の部分が取れるらしい。頭取れるんだぞ?」と猫は自慢げに言った。

「スーパーグッピーって変な飛行機があるんだ。お前、物知りだな。」

「まあな。」

「飛行機に詳しいお前は、飛行機に何回乗ったことあるんだ?」

「飛行機は多くない。3回目だ。」

「え?3回だけ?200年も生きてるのに、3回しかないの?」

※この物語では猫の寿命は500年に設定しています。この猫の年齢は200歳です。

「うるせーな。つい最近まで飛行機なんか無かったんだよ。つい最近まで移動と言えば、船だ、船。」

「へー、船旅かー。楽しそうだな。」

「全然楽しくない!船酔いがえぐいぞ。」

「そうなの?」

「お前、勝海舟を知ってるか?」と猫は武に聞いた。

「知ってるよ。坂本龍馬の師匠でしょ。」

「そう、その勝海舟。遣米使節としてアメリカに船で向かったんだけどな、船酔いが酷くて部屋から一歩も出てこなかったらしいぞ。当時は日本~アメリカは船で片道1カ月以上掛った。船酔いが1カ月以上も続くって悲惨だろ。」

「悲惨だなー。みんな船酔いになるのか?」

「クルー以外はみんな船酔いになるなー。徐々に船酔いに慣れていくんだけど、それまでゲロまみれだ。」

「汚ねー。」

武と猫が騒いでいると、猫語が分からない信子が話しかけてきた。

「何の話してたの?」

「ああ、ムハンマドが船酔いでゲロまみれになった話だよ。」と武は答えた。

「汚い話ねー。」

信子が言った瞬間、「チーン」という風鈴のような音が聞こえた。
ただ、武が聞いたことがある風鈴とは音色が違う。

「母さん、この音なに?」と武は信子に聞いた。

「あー、この音?明珍火箸(みょうちんひばし)って言うの。懐かしいなー。」

※明珍火箸とは、播磨国姫路藩(現在の兵庫県姫路市)において、19世紀頃、姫路藩主である酒井家などに仕えていた明珍家(甲冑師の一族として名高い)がその技術を活かして作り始めた火箸。兵庫県指定伝統工芸品に指定されている。
出所:Wikipedia

「明珍火箸?」

「食べるときに使うお箸は知ってるでしょ?」

「当たり前でしょ。日本人だもん。」

「明珍火箸は、金属製のお箸を重ねたもので、風が吹いたときに金属の箸が当たって音が鳴るの。」

「へー。」

「音色が綺麗だから人気あるわよ。ただ、風鈴と比べると値段がそれなりね。」

「高いの?」

「高いわよー。母さんが子供の時はもう少し安かったけどね。」

武たちは明珍火箸を聞きながら、姫路駐屯地の事務所へ向かった。


【ご参考】
明珍火箸の風鈴は1万円くらいから販売しています。興味のある人はこちらのサイトをご覧下さい。
https://myochinhonpo.jp/

なお、明珍火箸の時計メーカー「セイコー」とのコラボ商品<クレドール>ノード スプリングドライブ ミニッツリピーターは2011年に3,465万円で発売されました。現在ミニッツリピーターGBLS998は4,510万円で販売されています。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...