僕と猫と明珍火箸 ー 勝手に他人の半生を書いてみた

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私、死んでないし・・・

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(9)私、死んでないし・・・

社殿の中には武と猫2匹、そしてお菊さんがいる。
青山家の猫アオヤマは、お菊さんの実物を見て恐怖に震えている。

一方、武と猫ムハンマドは、米沢戦争でもいろいろあったから、こういう状況には慣れている。取り乱してはいない。

武はお菊さんが本当にいたことよりも、お菊さんの体の色が急に変わったことに驚いている。武は我慢できずに、お菊さんに質問した。

「さっきまで、僕にはお菊さんが白っぽく見えてたんだ。だけど、今はお菊さんの体や服の色がはっきり見える。さっき何かしたの?」と武はお菊さんに聞いた。

「ああ、これね。武くんが普通に見えるように光の屈折率を変えたのよ。」

「どういうこと?」

「人間や猫の目は光を見ているのは分かる?」とお菊さんは武に聞いた。

「分かるよ。」

「私はさっきまで水蒸気の膜を体の周りに配置してたんだ。」

「水蒸気の膜?」

「その膜を使って光を屈折させると、膜の中にいる私が見えなくなるの。さっき、膜を取り払ったから、普通に見えるようになったわけ。」とお菊さんはさっきまで見えなかった原理を説明した。

「屈折率を操作しているのかー。お菊さん、凄いね。」

「そうかな?」
お菊さんは小学生に褒められて嬉しそうだ。

「僕が白く見えてたのは光の屈折のせいか・・・」と武は小さく言った。

「それなんだけど、なんで武くんには私が見えたの?普通の人間は膜の中にいる私のことを見えないわよ。だって、猫も私が見えてなかったんでしょ?」

「ああ、猫2匹はお菊さんが見えてなかった。僕の目が変なのかな?」

「武くん、ちょっと目を見せて。」

お菊さんはそう言うと武に近づいて目を見つめた。
武はお菊さんの吐息を感じながら、お菊さんの目を真っすぐに見た。

お菊さんからいい匂いがする・・・

幽霊も女性の匂いがするのだろうか?

変なことを言うと怒られそうだから、武は静かに待った。
しばらく武の目を観察したお菊さんは、何か発見したようだ。

「あー、これかー。」とお菊さんは言った。

「なに?何かあった?」

「武くんの目、薄い金属の何かが入ってるね。」

「え?僕の目、改造されているの?」

「みたいだね。改造人間だ。だから私のことが見えたんだよ。」と菊さんは言った。

僕の目を改造・・・・

武には心当たりがある。

マッドサイエンティスト竹村の仕業だ!

「多分だけど・・・、僕の父親が目を改造したと思うんだ。何か埋め込んだんだ。」

「どういうこと?」お菊さんは心配そうに武に尋ねた。

「僕、クローン人間なんだ。」

「へー、武くん凄いなー。改造人間のクローン人間かー。」

武は褒められているのか貶(けな)されているのか分からない。
武は直ぐ近くにいるお菊さんに緊張しながら言った。

「それにしても・・・、お菊さんが幽霊だなんて・・・。僕にはお菊さんが生きてるようにしか見えないよ。」

「ああ、それね。武くんは私のことを幽霊だと思ってるよね?」

「思ってるよ。違うの?」

「違う違う。私は幽霊じゃない。生きてる。と言うか、死んでないし・・・。」とお菊さんは言った。

「え?死んでないの?」

その瞬間、武が立てたお菊さんに関する仮説とその仮説に基づいた除霊方法は、音を立てて崩れ落ちた。

お菊さんは幽霊ではない・・・。
お菊さんは死んでいない・・・。
お菊さんは生きている・・・。

じゃあ、お菊さんは何なんだ?
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