僕と猫と明珍火箸 ー 勝手に他人の半生を書いてみた

kkkkk

文字の大きさ
18 / 21

皿を完璧にコピーしろ

しおりを挟む
(18)皿を完璧にコピーしろ

皿屋敷の儀式は終了し、無事に『お菊の皿』を入手することができた。
武は儀式が終わったお菊さんに駆け寄った。

「良かったよ。芸術的だった!」と武はお菊さんに言った。

「本当? 嬉しい。400年も演じた甲斐があったわね」
お菊さんは褒められて喜んでいる。

「それにしても、僕にはお菊さんが『あらうれしや~』の後に成仏したように見えたよ。やっぱり、成仏したことにはできないの?」

「今まで成仏しなかったのに『今回は成仏した』って誰も信じないでしょ。それに、確かに成仏したエビデンスがないと、姫路市役所も納得しないと思うのよ」

「そんなもんかな?」

「そうよ。『お菊さん対応費』を受取っているのだから、青山家には説明責任があるわ」

「じゃあ『お菊さんは幽霊じゃない』って言ったら?」

「だめよ。私と青山家が共謀して『お菊さん対応費』を受取っていたことになる。もし、私が幽霊じゃないって姫路市役所に知られたら、青山家が詐欺罪で訴えられることになる」

「ふーん。まあいいよ。成仏したエビデンスが必要なんだね。用意するよ」

武はそう言うとお菊さんから『お菊の皿』を受取って、母の信子との待ち合わせ場所に向かった。

***

『お菊の皿』を受取った武は母の信子と合流し、姫路工業大学(現在の兵庫県立大学)に向かった。
信子の大学時代の後輩の村田に会うためだ。
村田は姫路工業大学で教授をしている。

ちなみに、今の信子(クローン)は、オリジナルの信子の娘という設定になっているから、父の英雄から一文字取って『英子』と名乗ることにした。

※詳しくは『第2話 年齢を偽る母、出生を偽る息子』をご覧下さい。

午後9時に姫路工業大学に到着すると、武と信子は村田の研究室に向かった。

『英子』を名乗る信子が研究室のドアをノックすると、中からおじさんが出てきた。
武の父の竹村英世と同い年のようだが、村田の方が老けているような気がする。

信子は自己紹介もほどほどに、さっそく村田に『お菊の皿』の構成成分の分析、コピーを10枚作る予定であることを伝えた。村田は作業内容を事前に電話で聞いていたから、特に問題はなさそうだ。

村田は成分分析器の使用許可をとってくれていたので、武たちは村田に分析器が設置されている部屋に案内された。

信子は成分分析器の使用方法を知っているはずだ。でも、測定を自分でやるのが面倒くさいからやりたくないのだろう。
部屋に入ると、信子は村田を上目遣いで見つめながら言った。

「ねえ、村田さん・・・。手伝ってくれないかな?」

見つめられた村田は信子を直視できずにいる。

― あ、落ちた!

武は呆れた。こうやって、父の英世も信子にいいように使われていたのだろうか?

しばらく信子は村田の横で分析を一緒にしていたが、次第に村田を自分の部下のように使い始めた。

「じゃあ、次はその配合で主素材と副素材と作って!」

「こうかな?」

「だから・・・、それだと成分が1%違うでしょ。やり直し!」

信子と村田のやり取りがしばらく続いた後、信子は言った。

「ホントにとろいわねー。朝取りに来るから、それまでに10枚作っときなさいよ!」

信子はそう言うと部屋を出て行った。
武は慌てて信子の後を追って部屋を出た。

「あんな言い方、酷くない?」と武は信子に言った。

「いいのよ。村田はMだから、罵倒されるのが快感なのよ。」

「手伝わなくていいの?」

「そういうプレイなのよ。本当は縛った方が喜ぶんだけど、それだとお皿を作れないでしょ」

― 放置プレイ・・・

武は一つ大人の世界を学んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...