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16「これからの私は……」
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これで何もかも決着した、ということになるのでしょうか? 世間はバシュラール家の完全敗北だと、認識していることでしょう。
ヒキコモリは中止と思っていますが、さすがにほとぼりが冷めるまでと、屋敷で数日静かに過ごしました。
そんな時、リュシーとマリエルからお誘いがありました。絶妙のタイミングです。やは親友の二人です。
◆
「驚いたわ、ディアーヌ。本当にこれで良かったの?」
「ええ、これで良かったのです」
貴族街にある有名カフェの席でリュシーは言いました。ここのスイーツは絶品なのですよ~。
「でも悔しいわあ。私たち女子にとっては他人事じゃないもの。女性たちの味方は大勢いたのに、やっぱり男の人たちの意見に引きずられちゃうのよね……」
リュシーの不満は分かります。
白銀の聖騎士様は、自分なりにそんな問題に決着を付けたのかもしれません。家族も何もかも捨てて冒険の旅に出た女性。いったい彼女の身に何が起こったのでしょうか。
「はい。私たちは一人で生きている訳ではないのですから」
「そうよねえ。私だって家の問題で婚約話が持ち上がったら断れないわ……」
なんだか暗い話になってしまいました。婚約や結婚は女子にとっては重大問題なのです。
「今回の一件、皆が悩んでいるわ。もしも、自分がそうなったらって、やっぱり考えてしまいますから――」
マリエルが続きました。婚約を申し込まれたら喜びに浸る間もなく破棄が頭をよぎるなんて、確かにちょっと可哀相です。
「――でも、私はもっと別の心配をしていたわ。この第三王都の乗っ取りよ」
「突然何を言うのですか?」
マリエルはいきなり話を飛躍させます。西方の辺境伯がこの地を自由にするなどあり得ません。
「まさか……。他の王都が黙っていないわ」
リュシーはすぐに否定します。連合王国が、他の二家が絶対に許しはしません。伯爵令嬢を捨てる程度とは、比べるのもおこがましい大問題です。
「それにしても西の人たちって、ちょっと図々しいっていうか横暴よねえ」
「そうそう。いくらあちらの令嬢が婚約者になるからって、正式発表はまだなのよ。それなのにもう、すっかりその気になってるの。商売も強気よ」
リュシーのように商業主体の貴族は、戦々恐々としていることでしょう。
ルフェーヴル連合王国は東が発祥であり、西の小貴族たちを保護下におきました。それが今や強力なヴォルチエ辺境伯家の元に集結し、東に圧力をかけてきております。
静かに第三王都に進出して来た時は、もう終わったのです。
「次は第三王都から王様が選ばれるのに、これで良いのかしら?」
東方が成り立ちの連合が、成り行きで庇護してきた西を重用する。新しい世界の扉を開くような方針転換です。この変革を不安に思う者がほとんどでしょう。ですがこの不安は口に出来ません。不平不満など言えばどうなってしまうのか? 見せしめにされたのが、私のバシュラール家なのかもしれません。
「学院が始まれば、皆に話が聞けるわ」
「もうすぐ夏期休暇も終りだものね」
リュシーとマリエルは他の女子たちの感想が気になっているようです。
「それで二人に相談が――。休学届を出そうかと思っています」
「え? いえ、それもそうよね。興味本位で色々言う人たちもいるでしょうし……」
「それで、どうするの?」
「せっかくだから他の別館に行って、色々と見て回ろうかと思っています」
バシュラール家はこの第三王都周辺だけではなく、第一王都アングレットの近郊にも領地があります。元々そちらが発祥の貴族なのですが、西方開拓事業の一環でアジャクシオ周辺にも拝領されたのです。
「それがいいわ。気晴らしにもなるし」
「でも、寂しいわ。早く戻って来てね」
「はい」
リュシー、マリエル共に賛成し送り出してくれます。問題は父上と、特に兄上の説得でした。どのように言われるのでしょうか?
ヒキコモリは中止と思っていますが、さすがにほとぼりが冷めるまでと、屋敷で数日静かに過ごしました。
そんな時、リュシーとマリエルからお誘いがありました。絶妙のタイミングです。やは親友の二人です。
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「驚いたわ、ディアーヌ。本当にこれで良かったの?」
「ええ、これで良かったのです」
貴族街にある有名カフェの席でリュシーは言いました。ここのスイーツは絶品なのですよ~。
「でも悔しいわあ。私たち女子にとっては他人事じゃないもの。女性たちの味方は大勢いたのに、やっぱり男の人たちの意見に引きずられちゃうのよね……」
リュシーの不満は分かります。
白銀の聖騎士様は、自分なりにそんな問題に決着を付けたのかもしれません。家族も何もかも捨てて冒険の旅に出た女性。いったい彼女の身に何が起こったのでしょうか。
「はい。私たちは一人で生きている訳ではないのですから」
「そうよねえ。私だって家の問題で婚約話が持ち上がったら断れないわ……」
なんだか暗い話になってしまいました。婚約や結婚は女子にとっては重大問題なのです。
「今回の一件、皆が悩んでいるわ。もしも、自分がそうなったらって、やっぱり考えてしまいますから――」
マリエルが続きました。婚約を申し込まれたら喜びに浸る間もなく破棄が頭をよぎるなんて、確かにちょっと可哀相です。
「――でも、私はもっと別の心配をしていたわ。この第三王都の乗っ取りよ」
「突然何を言うのですか?」
マリエルはいきなり話を飛躍させます。西方の辺境伯がこの地を自由にするなどあり得ません。
「まさか……。他の王都が黙っていないわ」
リュシーはすぐに否定します。連合王国が、他の二家が絶対に許しはしません。伯爵令嬢を捨てる程度とは、比べるのもおこがましい大問題です。
「それにしても西の人たちって、ちょっと図々しいっていうか横暴よねえ」
「そうそう。いくらあちらの令嬢が婚約者になるからって、正式発表はまだなのよ。それなのにもう、すっかりその気になってるの。商売も強気よ」
リュシーのように商業主体の貴族は、戦々恐々としていることでしょう。
ルフェーヴル連合王国は東が発祥であり、西の小貴族たちを保護下におきました。それが今や強力なヴォルチエ辺境伯家の元に集結し、東に圧力をかけてきております。
静かに第三王都に進出して来た時は、もう終わったのです。
「次は第三王都から王様が選ばれるのに、これで良いのかしら?」
東方が成り立ちの連合が、成り行きで庇護してきた西を重用する。新しい世界の扉を開くような方針転換です。この変革を不安に思う者がほとんどでしょう。ですがこの不安は口に出来ません。不平不満など言えばどうなってしまうのか? 見せしめにされたのが、私のバシュラール家なのかもしれません。
「学院が始まれば、皆に話が聞けるわ」
「もうすぐ夏期休暇も終りだものね」
リュシーとマリエルは他の女子たちの感想が気になっているようです。
「それで二人に相談が――。休学届を出そうかと思っています」
「え? いえ、それもそうよね。興味本位で色々言う人たちもいるでしょうし……」
「それで、どうするの?」
「せっかくだから他の別館に行って、色々と見て回ろうかと思っています」
バシュラール家はこの第三王都周辺だけではなく、第一王都アングレットの近郊にも領地があります。元々そちらが発祥の貴族なのですが、西方開拓事業の一環でアジャクシオ周辺にも拝領されたのです。
「それがいいわ。気晴らしにもなるし」
「でも、寂しいわ。早く戻って来てね」
「はい」
リュシー、マリエル共に賛成し送り出してくれます。問題は父上と、特に兄上の説得でした。どのように言われるのでしょうか?
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