【魅了の令嬢】婚約者を簒奪された私。父も兄も激怒し徹底抗戦。我が家は連戦連敗。でも大逆転。王太子殿下は土下座いたしました。そして私は……。

川嶋マサヒロ

文字の大きさ
16 / 33

16「これからの私は……」

しおりを挟む
 これで何もかも決着した、ということになるのでしょうか? 世間はバシュラール家の完全敗北だと、認識していることでしょう。
 ヒキコモリは中止と思っていますが、さすがにほとぼりが冷めるまでと、屋敷で数日静かに過ごしました。

 そんな時、リュシーとマリエルからお誘いがありました。絶妙のタイミングです。やは親友の二人です。

  ◆

「驚いたわ、ディアーヌ。本当にこれで良かったの?」
「ええ、これで良かったのです」
 貴族街にある有名カフェの席でリュシーは言いました。ここのスイーツは絶品なのですよ~。
「でも悔しいわあ。私たち女子にとっては他人事じゃないもの。女性たちの味方は大勢いたのに、やっぱり男の人たちの意見に引きずられちゃうのよね……」
 リュシーの不満は分かります。
 白銀の聖騎士様は、自分なりにそんな問題に決着を付けたのかもしれません。家族も何もかも捨てて冒険の旅に出た女性。いったい彼女の身に何が起こったのでしょうか。
「はい。私たちは一人で生きている訳ではないのですから」
「そうよねえ。私だって家の問題で婚約話が持ち上がったら断れないわ……」
 なんだか暗い話になってしまいました。婚約や結婚は女子にとっては重大問題なのです。
「今回の一件、皆が悩んでいるわ。もしも、自分がそうなったらって、やっぱり考えてしまいますから――」
 マリエルが続きました。婚約を申し込まれたら喜びに浸る間もなく破棄が頭をよぎるなんて、確かにちょっと可哀相です。
「――でも、私はもっと別の心配をしていたわ。この第三王都の乗っ取りよ」
「突然何を言うのですか?」
 マリエルはいきなり話を飛躍させます。西方の辺境伯がこの地を自由にするなどあり得ません。
「まさか……。他の王都が黙っていないわ」
 リュシーはすぐに否定します。連合王国が、他の二家が絶対に許しはしません。伯爵令嬢を捨てる程度とは、比べるのもおこがましい大問題です。
「それにしても西の人たちって、ちょっと図々しいっていうか横暴よねえ」
「そうそう。いくらあちらの令嬢が婚約者になるからって、正式発表はまだなのよ。それなのにもう、すっかりその気になってるの。商売も強気よ」
 リュシーのように商業主体の貴族は、戦々恐々としていることでしょう。
 ルフェーヴル連合王国は東が発祥であり、西の小貴族たちを保護下におきました。それが今や強力なヴォルチエ辺境伯家の元に集結し、東に圧力をかけてきております。
 静かに第三王都に進出して来た時は、もう終わったのです。
「次は第三王都から王様が選ばれるのに、これで良いのかしら?」
 東方が成り立ちの連合が、成り行きで庇護してきた西を重用ちょうようする。新しい世界の扉を開くような方針転換です。この変革を不安に思う者がほとんどでしょう。ですがこの不安は口に出来ません。不平不満など言えばどうなってしまうのか? 見せしめにされたのが、私のバシュラール家なのかもしれません。
「学院が始まれば、皆に話が聞けるわ」
「もうすぐ夏期休暇も終りだものね」
 リュシーとマリエルは他の女子たちの感想が気になっているようです。
「それで二人に相談が――。休学届を出そうかと思っています」
「え? いえ、それもそうよね。興味本位で色々言う人たちもいるでしょうし……」
「それで、どうするの?」
「せっかくだから他の別館に行って、色々と見て回ろうかと思っています」
 バシュラール家はこの第三王都周辺だけではなく、第一王都アングレットの近郊にも領地があります。元々そちらが発祥の貴族なのですが、西方開拓事業の一環でアジャクシオ周辺にも拝領されたのです。
「それがいいわ。気晴らしにもなるし」
「でも、寂しいわ。早く戻って来てね」
「はい」
 リュシー、マリエル共に賛成し送り出してくれます。問題は父上と、特に兄上の説得でした。どのように言われるのでしょうか?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~

ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。 そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。 自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。 マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――   ※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。    ※第二章まで完結してます。現在、最終章をゆっくり更新中です。書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m    ※小説家になろう様にも投稿しています。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

婚約破棄されたので契約を終了しただけですが? ~王国が崩壊したのは私のせいではありません~

しおしお
恋愛
王立学園の卒業舞踏会。 王太子レオナードは突然、婚約者である公爵令嬢アデリーナとの婚約破棄を宣言する。 隣に立つのは、涙を流す義妹ミレイナ。 「お姉様に虐げられてきました」と訴える彼女の言葉を、貴族たちは信じてしまう。 悪女として断罪され、追放を宣告されるアデリーナ。 だが彼女は怒りも悲しみも見せず、ただ静かに微笑んだ。 「承知いたしました。では――契約を終了いたします」 その一言が、すべての始まりだった。 公爵家による融資、貿易、軍需支援。 王国を支えていたすべてが、静かに停止する。 財務は崩壊し、軍は止まり、商人は離反。 王都は混乱に包まれていく。 やがて明らかになる義妹の嘘。 そして王太子の責任。 すべてが暴かれたとき、二人を待っていたのは―― 完全な破滅だった。 一方アデリーナは、隣国で静かな紅茶の時間を過ごしていた。 これは、 婚約破棄された公爵令嬢が“何もしなかった”ことで始まる、 王国崩壊と地獄のざまぁの物語。 ――その報告書を、彼女が読むことは一度もなかった。

処理中です...