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18「停留地にて」
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輸送隊列は停留地で休憩してから隊列を組み直しました。私たちは最後尾となり、護衛冒険者はシルヴが付きます。大穀倉地帯は終り、周囲は森の風景になってきました。
「俺たちがしんがりかよ。護衛の報酬なんてもらってねえぞ」
「俺が働きますから、ジョルジュさんは手綱だけ握っていて下さい――。おっと、行ってきます」
シルヴは颯爽と操者席から飛び降り森に入りました。
「ねえ、ジョルジュ。一人で大丈夫なの?」
「あいつは本当に強いんだ。それに馬鹿じゃないし、強敵ならそれなりに対処するさ。たぶん騎士だな」
「そうなの? 貴族ってこと?」
「たぶんね」
そう言ってから、ジョルジュは私を振り返ります。
「そんな雰囲気はありますね。身分を隠して、他の街で冒険者修行する貴族子弟は多いと聞きます。たぶん私と同じ休学組なのでしょう」
「貴族様って、やはり大変なのねえ」
「そりゃ、そうだ。ソロの冒険者は危ないのになあ……」
ラシェルは屋敷でバシュラール家の苦境も、政争も日常として見ています。ジョルジュさんは冒険者の観点から考えるのでしょう。
夕刻も近くなり輸送隊列は村の停留地に到着いたしました。いくつかの農家と小さな旅の宿、レストランなどがあります。
第一王都までは、移動だけなら十四日ほどの日程となりますが、私にはある計画がありました。中間にある中規模の街から山岳部への迂回路に入り、ある村へと行くのです。
「ディアーヌ。宿まで御一緒しましょうか?」
「なんか、言葉遣いがバラバラですね。会話も冒険者同士にしましょう」
「はい」
「一人で大丈夫です。本当はそちらに合流したいのですが」
私だけ単独行動はやっぱり面白くありません。輸送隊列の人たちは荷を守りつつキャンプで一夜を明かします。
「それは旦那様との約束ですから」
「うん。あとで、一人で散歩してみるわ」
「注意して下さい――」
「大丈夫、大丈夫。ほんの近くよ」
心配するラシェルと分かれて短い剣を腰に差し、私一人で宿屋に向かいました。
チェックインして部屋を見てから、もう一度外に出ます。街道を戻ってから農道に入ります。そろそろ仕事仕舞いする農夫とたちを横目に見ながら森に入りました。
「やっとディアーヌを、破棄令嬢なんて呼ぶ連中がいないところに来たね」
精霊のアスモデウスさんが現われました。リスのつぶらな瞳で私を見つめます。
「あなたの好きな場所に来ましたね」
「僕は森を住処にしているわけじゃないよ」
私に背中を向けて、どこかに導くように空中を進みます。
「さて、逃げ出して、いったいどこに向かうのかな」
逃げたとは心外です。一時退避と言って欲しいですね。
「第一王都を訪ねるだけです。寄り道はしますけど」
「タンプルに行くの?」
「アスモデウスさんが教えてくれたのですよ?」
「そんなに興味を持つとはね……」
街道の迂回路、山岳部にある鉱山の街がタンプルです。
「魔獣は小物もいませんね」
【探知】を使い安全を確認しながら進みます。私だってそれなりに戦えるのですから少しは、と思っていたのですが……。
「来たね」
「え? 何がですか?」
「魔力がさ……」
私の【探知】にも接触いたしました。それは青く鋭利な、それでいて爽やかな風のような魔力。
「人です」
「君の魔力は押さえてね。相手も感じる」
「はい……」
精霊は姿を消しました。
「俺たちがしんがりかよ。護衛の報酬なんてもらってねえぞ」
「俺が働きますから、ジョルジュさんは手綱だけ握っていて下さい――。おっと、行ってきます」
シルヴは颯爽と操者席から飛び降り森に入りました。
「ねえ、ジョルジュ。一人で大丈夫なの?」
「あいつは本当に強いんだ。それに馬鹿じゃないし、強敵ならそれなりに対処するさ。たぶん騎士だな」
「そうなの? 貴族ってこと?」
「たぶんね」
そう言ってから、ジョルジュは私を振り返ります。
「そんな雰囲気はありますね。身分を隠して、他の街で冒険者修行する貴族子弟は多いと聞きます。たぶん私と同じ休学組なのでしょう」
「貴族様って、やはり大変なのねえ」
「そりゃ、そうだ。ソロの冒険者は危ないのになあ……」
ラシェルは屋敷でバシュラール家の苦境も、政争も日常として見ています。ジョルジュさんは冒険者の観点から考えるのでしょう。
夕刻も近くなり輸送隊列は村の停留地に到着いたしました。いくつかの農家と小さな旅の宿、レストランなどがあります。
第一王都までは、移動だけなら十四日ほどの日程となりますが、私にはある計画がありました。中間にある中規模の街から山岳部への迂回路に入り、ある村へと行くのです。
「ディアーヌ。宿まで御一緒しましょうか?」
「なんか、言葉遣いがバラバラですね。会話も冒険者同士にしましょう」
「はい」
「一人で大丈夫です。本当はそちらに合流したいのですが」
私だけ単独行動はやっぱり面白くありません。輸送隊列の人たちは荷を守りつつキャンプで一夜を明かします。
「それは旦那様との約束ですから」
「うん。あとで、一人で散歩してみるわ」
「注意して下さい――」
「大丈夫、大丈夫。ほんの近くよ」
心配するラシェルと分かれて短い剣を腰に差し、私一人で宿屋に向かいました。
チェックインして部屋を見てから、もう一度外に出ます。街道を戻ってから農道に入ります。そろそろ仕事仕舞いする農夫とたちを横目に見ながら森に入りました。
「やっとディアーヌを、破棄令嬢なんて呼ぶ連中がいないところに来たね」
精霊のアスモデウスさんが現われました。リスのつぶらな瞳で私を見つめます。
「あなたの好きな場所に来ましたね」
「僕は森を住処にしているわけじゃないよ」
私に背中を向けて、どこかに導くように空中を進みます。
「さて、逃げ出して、いったいどこに向かうのかな」
逃げたとは心外です。一時退避と言って欲しいですね。
「第一王都を訪ねるだけです。寄り道はしますけど」
「タンプルに行くの?」
「アスモデウスさんが教えてくれたのですよ?」
「そんなに興味を持つとはね……」
街道の迂回路、山岳部にある鉱山の街がタンプルです。
「魔獣は小物もいませんね」
【探知】を使い安全を確認しながら進みます。私だってそれなりに戦えるのですから少しは、と思っていたのですが……。
「来たね」
「え? 何がですか?」
「魔力がさ……」
私の【探知】にも接触いたしました。それは青く鋭利な、それでいて爽やかな風のような魔力。
「人です」
「君の魔力は押さえてね。相手も感じる」
「はい……」
精霊は姿を消しました。
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