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第2章 《煌帝剣戟》煌華学園予選 編
第1話 宣言と試験
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――煌華学園 第1アリーナ――
5月。既に入学して1ヶ月近く経っていた。《煌帝剣戟》の煌華学園予選は今月下旬に迫っている。
俺はクラスで組むことになったチームの仲間と、自らを磨く日々を送っていた。
「ユリ、もっと身体全体を使って流れるように!」
「はい!」
城崎 百合。炎を操る能力の持ち主で、俺のこの学校で初めてできた友達だ。《創現武装》は刀型の武器、紅桜だ。
「よし、ユリはこんなもんでいいだろう。
リンシン、次やるぞ!」
「……了解。」
白 林杏。風を操る能力を持っている、普段は無表情な女子生徒だ。《創現武装》は風牙という、中国の柳葉刀を模した武器だ。
「リンシンー、僕みたいにこてんぱんにされないようにねー。」
「……ダサ。」
「うわ、ひっでぇー。」
アラム・カシヤノフは、近く俺の最高のライバルになりそうな人物だ。炎を操り、ナザロートというサーベル型の《創現武装》を使う……一言で言えばお調子者だ。
リンシンとの訓練を始めようとすると午後の訓練終了のチャイムが鳴った。どうやらアラムとユリに時間を取らせすぎたらしい。
「あー、ごめんリンシン。明日はリンシンから訓練しよう?」
「……分かった。」
毎日欠かさず練習をしているのだが、実を言うと体力の限界がきていた。
能力を使うと、代償として食事で得たエネルギーを消耗していく。3人分の特訓の相手をしていると肉体的な疲労がかなり来てしまう。
「リョーヤ、大丈夫なの? 最近少し顔色が悪い気がするよ?」
「あ、ああ。大丈夫。ありがとなユリ。」
疲れが顔に出ているのか……とりあえず寮の部屋に帰ったら新技の練習をして、それから寝よう。
そう思ってアリーナを出ると、全員の生徒手帳に学校からの一斉メールが届いた。
『新入生の校内ランク格付けのおしらせ。
本日午後6時より第2アリーナにて希望者のみ、擬似対人戦形式による校内ランクの格付け試験を行います。
非希望者は後日、全員90位に割り振ります。
希望者は時間までに第2アリーナへ集合してください。』
そういえば、まだ俺たち新入生の正式なランキングはされてなかったな。この際だ、行っておこう。
「みんなはどうする? 俺は行きたいんだけど。」
「僕は行くよ。キミと僕のどちらが上か数字で分かるなんていい機会じゃないか。
お互いに汗を流してこの戦いに終止符を――」
「……行く。」
「私も行こうかな。今後の訓練の目安になると思うし!」
3人ともやっぱり行くらしい。俺たちは一旦部屋に帰ってから、また集合することにした。
――煌華学園 学生寮――
「よし、できた!」
部屋のベランダで密かに練習していた新しい技が、ついに完成した。これで戦い方のバリエーションが増えること間違いない!
俺はさっそくアキにメールで報告した。
アキこと藤ヶ峰 秋代は俺の幼なじみだ。都内の高校に通っている、ごく普通の女子高生をしている。
最近アキは、メールで『そっちはどんな感じなの?』『新しい技できた?』『女の子泣かせてない?』とか色々と訊いてくる。どうやら訊かれる前に先に言ってしまおうという理屈のようだ。
俺はメールを送信し、時計を見た。時刻は午後5時を回っている。そろそろアリーナに行かないとな。
ピロリン、ピロリン♪
まだメールを送って数分も経ってないのに、もうアキから返事が来た。が、それは返事ではなかった。
『テレビつけてる? 大変なことになってるよ!?』
大変なことってなんだ? 俺は部屋のテレビをオンにして、初めてその意味が分かった。
『我々は《希望の闇》である。
我々は7月に大規模な攻撃を実行するつもりだ。今回はその予告に来た。いわゆる犯行予告というものになるな。
我々の主張はただ1つ。
お前らの抱く希望は幻想だ。それを撃ち砕くのが我々の使命である。
我々を邪魔する者は、せいぜい希望に抱かれて死ぬがいい。』
白い仮面の女性が高らかにテロの宣言をする様子が全放送局で取り上げられていた。
「ま、マジかよ。」
ロンドンで起こったテロから1ヶ月ほど経つ。あの時破壊された建造物の修復のめどは、実は未だにたっていない。
そのような状況でこんな宣言をされたら、各国はロンドンの二の舞を踏まないように万全の対策をしてくるのは明白だ。
「何考えてるのか全然分からない。」
テロは攻撃宣言をすれば、目的である社会の混乱を招くことは難しくなる。政府などが警察組織などを配備、もしくは住民の避難によって最悪の事態を防ごうとするからだ。それは軍事・警察オタクではない俺ですら分かる。
ということは何かしらの用意をしていると考えるのが妥当だ。
「ま、こればかりは俺がいくら考えても何も出来ないからな。」
せめて俺に出来るのは、電車内で不審物を見つけたら駅員に知らせることぐらいだろう。
俺はテレビを消して、第2アリーナへと向かった。
――煌華学園 第2アリーナ――
午後6時、アリーナには新入生が大体20人近く集まっていた。スピーカーから毎度お馴染み俺たちのクラスの担任、船付 柿音先生の声がアリーナに響く。
「それではこれから新入生の校内ランク格付け試験を行います。
試合は技術科の制作した練習アンドロイドを用いた、疑似対人戦で行います。
難易度はランキング90位を設定しています。10分間の試合の中でどれだけ早く撃破できるかでランキングを決定しますので、全力で破壊しにいってください。」
あ、破壊していいんだ。無駄な気遣いをしなくて済むことが分かり、少し気が楽になった。
「また、試験の順番はモニターに映されている通りです。」
アリーナの天井から下げられたモニターに順番が表示される。
「俺は―――
お、6番目か。」
ユリは4番目、リンシンは10番目、アラムは18番目だった。
「さてと、本気出しますか!」
5月。既に入学して1ヶ月近く経っていた。《煌帝剣戟》の煌華学園予選は今月下旬に迫っている。
俺はクラスで組むことになったチームの仲間と、自らを磨く日々を送っていた。
「ユリ、もっと身体全体を使って流れるように!」
「はい!」
城崎 百合。炎を操る能力の持ち主で、俺のこの学校で初めてできた友達だ。《創現武装》は刀型の武器、紅桜だ。
「よし、ユリはこんなもんでいいだろう。
リンシン、次やるぞ!」
「……了解。」
白 林杏。風を操る能力を持っている、普段は無表情な女子生徒だ。《創現武装》は風牙という、中国の柳葉刀を模した武器だ。
「リンシンー、僕みたいにこてんぱんにされないようにねー。」
「……ダサ。」
「うわ、ひっでぇー。」
アラム・カシヤノフは、近く俺の最高のライバルになりそうな人物だ。炎を操り、ナザロートというサーベル型の《創現武装》を使う……一言で言えばお調子者だ。
リンシンとの訓練を始めようとすると午後の訓練終了のチャイムが鳴った。どうやらアラムとユリに時間を取らせすぎたらしい。
「あー、ごめんリンシン。明日はリンシンから訓練しよう?」
「……分かった。」
毎日欠かさず練習をしているのだが、実を言うと体力の限界がきていた。
能力を使うと、代償として食事で得たエネルギーを消耗していく。3人分の特訓の相手をしていると肉体的な疲労がかなり来てしまう。
「リョーヤ、大丈夫なの? 最近少し顔色が悪い気がするよ?」
「あ、ああ。大丈夫。ありがとなユリ。」
疲れが顔に出ているのか……とりあえず寮の部屋に帰ったら新技の練習をして、それから寝よう。
そう思ってアリーナを出ると、全員の生徒手帳に学校からの一斉メールが届いた。
『新入生の校内ランク格付けのおしらせ。
本日午後6時より第2アリーナにて希望者のみ、擬似対人戦形式による校内ランクの格付け試験を行います。
非希望者は後日、全員90位に割り振ります。
希望者は時間までに第2アリーナへ集合してください。』
そういえば、まだ俺たち新入生の正式なランキングはされてなかったな。この際だ、行っておこう。
「みんなはどうする? 俺は行きたいんだけど。」
「僕は行くよ。キミと僕のどちらが上か数字で分かるなんていい機会じゃないか。
お互いに汗を流してこの戦いに終止符を――」
「……行く。」
「私も行こうかな。今後の訓練の目安になると思うし!」
3人ともやっぱり行くらしい。俺たちは一旦部屋に帰ってから、また集合することにした。
――煌華学園 学生寮――
「よし、できた!」
部屋のベランダで密かに練習していた新しい技が、ついに完成した。これで戦い方のバリエーションが増えること間違いない!
俺はさっそくアキにメールで報告した。
アキこと藤ヶ峰 秋代は俺の幼なじみだ。都内の高校に通っている、ごく普通の女子高生をしている。
最近アキは、メールで『そっちはどんな感じなの?』『新しい技できた?』『女の子泣かせてない?』とか色々と訊いてくる。どうやら訊かれる前に先に言ってしまおうという理屈のようだ。
俺はメールを送信し、時計を見た。時刻は午後5時を回っている。そろそろアリーナに行かないとな。
ピロリン、ピロリン♪
まだメールを送って数分も経ってないのに、もうアキから返事が来た。が、それは返事ではなかった。
『テレビつけてる? 大変なことになってるよ!?』
大変なことってなんだ? 俺は部屋のテレビをオンにして、初めてその意味が分かった。
『我々は《希望の闇》である。
我々は7月に大規模な攻撃を実行するつもりだ。今回はその予告に来た。いわゆる犯行予告というものになるな。
我々の主張はただ1つ。
お前らの抱く希望は幻想だ。それを撃ち砕くのが我々の使命である。
我々を邪魔する者は、せいぜい希望に抱かれて死ぬがいい。』
白い仮面の女性が高らかにテロの宣言をする様子が全放送局で取り上げられていた。
「ま、マジかよ。」
ロンドンで起こったテロから1ヶ月ほど経つ。あの時破壊された建造物の修復のめどは、実は未だにたっていない。
そのような状況でこんな宣言をされたら、各国はロンドンの二の舞を踏まないように万全の対策をしてくるのは明白だ。
「何考えてるのか全然分からない。」
テロは攻撃宣言をすれば、目的である社会の混乱を招くことは難しくなる。政府などが警察組織などを配備、もしくは住民の避難によって最悪の事態を防ごうとするからだ。それは軍事・警察オタクではない俺ですら分かる。
ということは何かしらの用意をしていると考えるのが妥当だ。
「ま、こればかりは俺がいくら考えても何も出来ないからな。」
せめて俺に出来るのは、電車内で不審物を見つけたら駅員に知らせることぐらいだろう。
俺はテレビを消して、第2アリーナへと向かった。
――煌華学園 第2アリーナ――
午後6時、アリーナには新入生が大体20人近く集まっていた。スピーカーから毎度お馴染み俺たちのクラスの担任、船付 柿音先生の声がアリーナに響く。
「それではこれから新入生の校内ランク格付け試験を行います。
試合は技術科の制作した練習アンドロイドを用いた、疑似対人戦で行います。
難易度はランキング90位を設定しています。10分間の試合の中でどれだけ早く撃破できるかでランキングを決定しますので、全力で破壊しにいってください。」
あ、破壊していいんだ。無駄な気遣いをしなくて済むことが分かり、少し気が楽になった。
「また、試験の順番はモニターに映されている通りです。」
アリーナの天井から下げられたモニターに順番が表示される。
「俺は―――
お、6番目か。」
ユリは4番目、リンシンは10番目、アラムは18番目だった。
「さてと、本気出しますか!」
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