【完結】見世物少女の転移逆転記

製作する黒猫

文字の大きさ
31 / 39

31 雪見会

しおりを挟む






 貸しドレスの話を聞いた日、私はルーヴィス先生に協力してもらえるように頼みこみました。



「別に、嘘をついて欲しいとは頼みません。ありのまま、見たことを話していただきたいと言っているのです。」

「そのために、わざわざ目撃しに行く・・・つまり、君の担任を貶めるために、行動するということだね。」

「貶めるだなんて・・・貶められるのは、私ですよ?だって、担任の先生が私を貶めようとしなければ、ルーヴィス先生は何も目撃しないのですから。」

「それはそうだね・・・おそらく、見ようと思えば何かしら目撃すると思うけど。」

「信用がないんですね。」



 私は、ルーヴィス先生に、このあと私の担任を見張って頂きたいと頼みました。私と話した後、担任は何かしら動くと思ったのです。

 私が貸しドレスを借りたいと話せば、捨てる予定のドレスをどこからか引っ張り出してきて、私に貸すと思ったのです。



 実際は、演劇部の衣装を持ってきたのですが・・・どちらでも同じですね。



 何にしても、そのドレスを担任が持っていたという証言が欲しかったのです。私がどこからか調達してきた・・・なんて話になっては面倒ですからね。



 盗んだ・・・なんてことになるのも面倒ですが、借りたドレスはドレス用のロッカーに入れる予定なので、酷いありさまになるのは簡単に想像できます。

 盗みだけでなく、破壊・・・器物破損?そんな罪状がつけられてはたまりません。



 だからと言って、兄がプレゼントしてくれたドレスを、どうこうされたくありません。ロッカーに入れれば、酷いありさまになるでしょう。よくて水浸し、悪くて・・・着ることもできない程に裂かれたり。

 ロッカーにドレスがなければ、おそらく雪見会の会場で何かしらのことが起こるでしょう。よくて、ワインをかけられる・・・悪くてドレスを引っ張られて、破かれる。



 ちなみに、この世界では12歳から飲酒が認められています。私の世界では、16歳からでしたが・・・世界が違うと、常識が全く違うのですね。



 話がそれました。

 それで、私がしたかったのは、兄から送られたドレスを守ることだったのです。それがまさか、こんなことになるとは思いませんでしたね。



 想像しましたか?

 担任が自分が顧問を務める演劇部の舞台衣装を持ち出し、いじめられている生徒に貸ドレスだと言って、貸し出すなんて。その衣装がどうなるか、想像できなかったのでしょうか?



 しかも、その衣装が無残な姿で発見されたというのに、嬉々として私を貶めるために使うなど・・・演劇部に何か恨みでもあるのでしょうか?



 担任には、無残な姿になった衣装を赤くはらした目で抱きしめる、演劇部員の姿は見えないのでしょうね、きっと。

 ま、私にはどうでもいいことですので、かまいませんが。私は、私と私の大切な人だけが、幸せならそれでいいですから。



 それにしても、この担任はこれからどうなるのでしょうね?



 自分が受け持つクラスの生徒も、自分が顧問を務める演劇部の生徒も、担任を白い目で見ています。中には、鋭い目で睨む者も。







 騒動もいったん収束することになって、雪見会が開かれました。



 話す人は、グレットに兄、ヴィヴィなどいつものメンバーで楽しくさせていただきました。それから、おいしい食事を堪能していると、何度も授業で聞いた音楽が流れ始めます。

 ダンスの練習よくやりましたね、そして今日は本番ですか。



 練習通りに、兄が私を誘って、私はそれを受けます。



 グレットは、もちろん婚約者のマーレイフィ様を誘っていました。

 すべてが、問題なく練習通り・・・無事に雪見会は終わりました。



 兄から贈られた私のドレスは、誰にも害されることなく、美しい姿のままを保つことができました。なので、私は満足です。



 たとえ、グレットと踊れなかったとしても。



 グレットとマーレイフィ様がお似合いだと、方々から賛辞を送られていたとしても・・・



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...