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17 後悔先に立たず
しおりを挟むさて、俺の目の前には、屈強な男に囲まれた女がいる。どうやら食事に誘われているそうだが、女にその気はなく涙まで流している。
運が悪かったな。
俺は、ちらりとその状況を確認して、その場を後にした。特に何かしようと思わなかったからだ。
まず、食事に誘っているだけの男をどうやったって悪者にできないし、口がうまいわけではないので、男に女を諦めさせることは出来ないだろう。
そして、俺が介入した場合事態が悪化する可能性がある。そのとき暴力で訴えられるかもしれないし、それは俺にとって危険だ。
剣を習いたての俺が、誰かを守りながら複数の者と戦うなんて、できるはずがない。
別に知り合いでもないし、助ける義理もないだろ。
「いっ痛い!離して!」
女の声が聞こえた。何をされたのだろうか?
だが、あの様子なら腕を掴まれたくらいだろう。
下手に助けるべきでない。ああやって、俺に近づこうとする女もいたし、そうでなくても俺に惚れることがあったら面倒・・・
惚れる?
「はっ・・・」
笑ってしまう。今の俺はただの男。かっこよくもない、こんな俺に惚れる?ただちょっと助けられただけで?ありえないだろ。
「なぁ、その女より、もっといい楽しみ方を教えてやるよ。」
俺は、目の前の屈強な男たちに声をかけた。
「あ?何だ、坊主。しっし。俺たちゃそういう趣味はねーんだよ。」
「俺もそういう趣味はねーよ。それよりさ、そんな財布にもならなそうな女と飯を食うより、人の金でパーッと自分たちで飯を食った方がうまいぜ。」
俺は、金貨を数枚男たちの方へ放り投げた。
「はっ、そんなはした金・・・お?金貨か!?ずいぶん太っ腹じゃねーか。」
「ひい、ふう、みー・・・マジかよ。5枚もある・・・」
「確かにこれだけあれば、こんな女いらねーな。もっと上玉と遊べるし、危険もないし。よし、坊主に免じてこの女は見逃してやらぁ。行くぞ、お前たち。」
「ありがとな―坊主!」
「懐がマジであったかいぜー。」
男たちは、ほくほく顔で去っていく。意外とあっさり引いてくれたので、少し拍子抜けした。
ま、これで問題は解決だな。
俺は、宿に帰る道へと戻った。
「ちょっと待ってよ!」
「ん?」
女は座り込んだまま、気の強そうな目で俺を見ていた。いや、睨んでいると言った方がいいだろう。
「なんだよ?」
「なんだよ・・・じゃないわよ!助け起こしてよ!なんで、こっちに一瞥もくれないわけ!?おかしいでしょ!助けに来てくれたんじゃないの!?」
なぜだろう。助けたことをものすごく後悔した。もうこれ以上後悔したくないので、今すぐその口を閉じてもらいたいのだが、女はペラペラとしゃべりだす。
「見て分かんないの!?腰が抜けてるの!お姫様抱っこでもして、宿屋に連れて行きなさいよ!私、すぐそこの宿屋に泊まってるから、連れてって。男なんだから、それくらいできるでしょ!」
「・・・無理。人なんて重いから持てない。」
人を持つってことがどれだけ大変なことか、考えればわかる。だから、俺はやらない。
「失礼しちゃう!私、そんなに重くないわ!」
確かに、見た目は軽そうだ。腰も折れてしまいそうなほど細いし、身長だってそこまでない。腕も足も、栄養失調を疑うほど細い。いや、栄養失調か?
「えーと。」
まず、この女の対応をどうするか。猫をかぶった方が女受けはいいが、この女に受けたいとも思わない。関わりなんて今後ないだろうし、素でいいか?
「ごめん。僕、そんなに力がなくて・・・連れの人とかいるの?いるなら、僕がここにいるってことを伝えに行くよ。」
だが、どこで関わるかもわからないし、猫をかぶるのはそこまで大変なことではないので、一応かぶっておいた。
「ふざけないで!ここに、私一人でいろっていうの!?また襲われたら、どうすんのよ!」
襲われてないだろ。
てか、本当に面倒だ。助けなければよかった。
ちょっと、昔のことを思い出したのが悪かったな。あと、勇者っぽいことしてみれば勇者の力が備わるかもしれないとか、アホなこと考えたのもいけなかった。
「じゃ、どうすればいい?」
「お姫様抱っこ。」
「・・・」
お姫様抱っこに何か憧れでもあるのか?だったら、騎士とか好きそうだな。サウスを連れてきて、お姫様抱っこしてあげれば、こいつ大満足じゃねーのか。
だが、サウスの居場所を知らないし、ここから離れることもできない。なら、するしかないのか?
お姫様抱っこ。
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