男だけど、聖女召喚された

製作する黒猫

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14 カンストステータス

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 マリアを狙った男の話が終わって、ついに本題の俺を誘拐した神官たちの話になった。



「まず、神殿の勢力についてお話ししたいのですが。今、神殿の勢力は2つに分かれています。一つは、教皇派。名前の通り教皇を支持する一派ですね。その対抗勢力が聖女派。今回、こちらの聖女派の神官たちが、セイト様を連れ去ったのです。」

「・・・なんでだよ!?」

 聖女派ってことは、つまり俺を支持するってことじゃないのか!なんで俺に危害を加えるんだよ、おかしいだろ!



「聖女派は、召喚した聖女様にこの地を救ってもらうという考えを至上とする者たちです。・・・聖女を神格化し、聖女に救いを求める。なので、セイト様を・・・彼らの理想の姿、つまり救う力を持つ存在にしたかったのでしょう。」

「いや、それはわかるけど、わかるけど!なんで俺を女にしたがるんだよ!頭おかしいだろ!」

「否定はしません。・・・彼らはセイト様にとって危険な存在ですが、ご安心ください。もう彼らがセイト様に危害を加えることはないでしょうから。」

「それって、終身刑になるってことか?」

 いや、異世界の定番って、強制労働か?奴隷おち?



「彼らは辺境の教会に異動になりました。もちろん徒党を組むことが無いように、それぞれ別の教会へ異動が決まりました。」

「それって、何のお咎めもなしってことじゃないのか?」

 少し、責める口調になる。それはそうだろう、俺はかなり危険な目に合ったのだ。命の危険はなかったとしても、息子は絶体絶命の危機に陥ったからな。

 それを、辺境の教会に移動とは。



「本当に、おかしくなってしまったのですよ。」

「?」

「今、彼らを地下牢に入れていますが、お互いに干渉することなく、ただ神に祈っています。どうかお救い下さい、あの化け物から・・・などと、青ざめた顔をしているようですよ。」

 ちらっと、ヘレーナは俺の背後に視線をよこした。俺は背後を確認する。後ろには、アムレットが真面目な顔をして立っていた。



 化け物・・・か。

 確かに、あの時神官たちはそんなことを言っていたな。やっぱり、あれってアムレットのことを言っていたんだよな?こいつ、何をしたんだ?



「ところでセイト様、そろそろ城の外にも出てみたいと思いませんか?」

「城の外か・・・確かに、この世界に来てから一歩も出ていないな。」

「はい。聖女様には各地を周って頂く予定でしたが、セイト様の場合は周って頂く理由もありませんので。しかし、城にこもっていても気が滅入るでしょう?」

「そうだな。せっかく異世界に来たんだ。いろいろ周って見たいな。」

 異世界といえば、旅だろ!各地の人々を救って、いずれは世界を救う・・・各地の美女が俺に惚れて、最後はハーレムができる!いいな、旅!



 そうだよ、俺。何で城にこもっていたんだよ。外にこそ、俺の夢が詰まっているはずだ!



「この国はもちろん、隣国とか・・・そういえば、この世界の地図とか見てないな。とりあえず、地図に載っている国は全部回る!それから、未踏の地に行って・・・」

「やはり、男の子ですね。」

「あぁ、男だ!正真正銘男だからな!聖女じゃねーから!」

「わかっていますよ。それで、世界一周を夢見ているようですが、流石にそこまでの自由を叶えることはできません。セイト様は、聖女として召喚されたお方ですから、この国にとって大切なお方なのです。いきなり国を出るようなことはさせられません。」

「・・・面倒だな。別に、俺がこの国にいたからって、この国の土地が潤うわけでもねーのに。俺は、何の力もないからな。」

「そうでしょうか?」

 俺に力がないことは明白だ。筋力が上がった感じもないし、魔法は使えない。

 流石に、チート能力は授けてくれなかったようだ。神様、今からおまけで付けてくれてもいいですよ!



「私は、最後まで分からないと思いますよ。もしかしたら、死なない体を持っているとか、よくある話だと思いませんか?」

「確かにありがちだけど、試したくはないな。」

「それなら良かったです。試されても困りますからね。さて、話は戻りますが、城を出て子爵領に行きませんか?」

「子爵領?」

「実は、もう話を進めていまして。セイト様を快く迎い入れてくれる、人格の優れた者を厳選した結果、子爵が選ばれました。セイト様が望めば、明日にでも城を出ることかできますよ?」

「・・・」

 あれ、これって厄介払い?

 城で問題を起こされると困るから、子爵の領地に行けってことか?



「乗り気ではありませんか?」

「いや、そういうわけじゃないけど。」

「・・・そうですね、まずは子爵領についてお話ししましょうか。かつて、肥沃な土地に恵まれていると言われた子爵領ですが、今現在は枯れ地と言われています。特にこれといった名産もなく、土地の恵みの恩恵に頼っていた子爵領の状況は厳しいです。」

 子爵領の話って、そういう話かよ!?

 温泉がありますよとか、魚がおいしいですよとか・・・あぁ、名産がないのか。つまり、PRできるものが何もないと。おい!?

 そんなところに行けと!?



「あなたに力がないとは、私は思っていません。しかし、そろそろ動かねばならない時が来ました。」

「動くって、動いてどうするんだ?」

 子爵領が危ないことは理解できた。そこに救いの手を差し伸べたいのであろうこともわかる。だが、そんなところに俺が行ってどうなる?

 ヘレーナは俺に力があると思っているようだが、もしあったとしても今の俺にその片鱗はない。まさか、ぶっつけ本番で、子爵領に魔力を流せるかもとか、甘い考えじゃねーよな?



「あなたは、ただ行けばいいのです。救いの手を待つ者たちのもとへ。」

 ヘレーナの力強い瞳が、俺を射抜いた。



「お願いします。どうか、この国のため・・・いいえ、私のために。行っていただけませんか?行くだけでいいのです。そして、起こる奇跡を、あなたの力とすることをお許しください。」

「・・・起こる奇跡?」

 奇跡が起こるという事実。そう、事実だという口調に、俺の頭の中は疑問符でいっぱいになるが、数多くの小説知識が俺を答えに導いた。



 もしかして、俺のステータス「運」がカンストしているのかもしれない!なら、行ける!





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