恩人召喚国の救世主に

製作する黒猫

文字の大きさ
3 / 41

3 召喚されし者

しおりを挟む




 ケイレンスとアスレーンの2人だけで話が進み、全くついていけないカンリ。そんな様子の部屋を訪れたのは、ケイレンスとアスレーンの妹だった。



「ごきげんよう。プレイナ・パグラントですわ。ツキガミ様、これからよろしくお願いいたします。女性同士仲良くしましょう?」

「・・・カンリでいいよ、プレイナ。」

「あ・・・はい、カンリ。」

 プレイナは頬をバラ色に染めて、そっと顔をそらした。



「あの、私の時と態度が違い過ぎだと思うのですが、気のせいでしょうか?」

「僕なんて、蹴り飛ばされたのに・・・」

 そんな2人に冷たい目を一瞬だけ向けて、プレイナを自分の隣へと案内するカンリ。どうやらプレイナのことを気に入ったらしく、2人に作るような壁があまり感じられない。



 プレイナは、金の髪にうるんだ青い瞳の美少女で、姫を体現したかのような・・・実際姫なのだが、これぞお姫様と言った容姿をしている。そして、気が強い方ではないらしく、まだあって間もないカンリに対して緊張した様子だったが、表情はほぼ無表情だが気さくに話し出すカンリに緊張も解けて、愛らしい微笑みを浮かべるようになった。



「カンリがこんなにも話しやすい人だとは思いませんでした。実は、あなたを召喚したのは、私のギフトなのです・・・もしも私のギフトで、この国に不幸をもたらすような悪人が召喚されてしまったら・・・・耐えられませんでした。だから、召喚されたのがカンリでよかったです。」

「お前、そんなことを考えていたのかい、プレイナ・・・」

「もし、そうなったと・・・しても、プレイナは・・・言うことを聞いただけだ。だから、そんなこと、心配しなくてもいいのに・・・」

 プレイナの兄たち2人が驚きながら言うが、プレイナは頭を振って兄たちの言葉を否定した。



「私のギフトがなければ、国は召喚を行おうとは思いませんでした。それに、最終的にギフトを使って召喚を行うかどうか決めたのは私です。すべては、私の責任なんです。」

「プレイナ・・・」

「だから、カンリ・・・もしも、何かあったら言ってください。私は、あなたの生活を全面的にサポートするつもりです。王女ですから、民を第一に考えなければなりませんし、特に権力のない私にできることは少ないでしょうが、それでもできる限りあなたの望みを叶えるつもりです。」

「・・・ありがとう、プレイナ。なら、色々と聞きたいことがあるんだけど?」

「聞きたいことですか?私に答えられる範囲ならば、何でもお聞きください。」

 胸に手を当てて、真摯にカンリの質問に答えようとするプレイナを見て、カンリは一番聞きたい、重要な質問をした。答えによっては、カンリはすぐに行動を起こすつもりだ。



「私の他に、召喚された人はいる?」

「カンリの他にですか・・・?私が召喚したのは、カンリだけです。ただ、大昔にこの国に召喚された方もいますし・・・他の国にも召喚のギフトを持った者が確認されていますので、召喚されたものはカンリの他にいると思います。」

「・・・そっか。」

 ふっと、表情を緩めたカンリ。ケイレンスはその様子を見て、話題に入った。



「誰か、カンリの知り合いがこの世界に来ている可能性があるのかな?」

「・・・そうだね。私・・・死体を見たわけじゃないから・・・もしかしたら、あの子が死んだって勘違いしただけかも・・・希望はある・・・か。」

 カンリは、他に召喚された者の情報が入ってきたら、すぐに教えて欲しいと頼んで、次の話題に移った。



「それで・・・ケイレンスたちは、なんで私を召喚したの?何か理由があるんでしょ?」

 カンリの問いに、3人は一瞬固まってから、アスレーンとプレイナはケイレンスの方を見た。ケイレンスは頷いて、口を開く。



「私たちは、君が儚く散るのは忍びないと思って、命を助けるつもりで召喚した・・・と言っても、君は信じないだろうね。」

「だとしたら、私しかプレイナが召喚していないってことに疑問を持つよ。私を特定して助けたかったわけでもないようだし、無差別に助けているなら、他にも召喚された人がいてもいいと思うな・・・まぁ、一生に一人しか召喚できないのかもしれないけど?」

「・・・君が、命を助けてくれた恩人だと、こちらを盲目的に信用するような人物だったなら、最初の説明で終えるつもりだった。だけど、君は違ったからね・・・話すとしよう。」

 アスレーンとプレイナの背筋がすっと伸びて、表情が硬くなる。



 これから何を話すのだろうか?

 2人の表情を見て、おそらくろくではないことを確信しながらも、カンリはケイレンスを止めずに続きを促した。

 この世界で生きていくなら、彼らにある程度使われることは許容するべきだ。

 一人で生きていくのは面倒だし、この世界についてカンリは知識がなさすぎる。これが最善だと納得し、耳を傾けた。



「今、パグラント王国は危機に直面している。いや、人類の危機と言っても過言ではないね。そんな危機がなぜ起こったのか・・・始まりは、小さな国だった。」

 そうして語られるのは真実か?これもまた嘘なのか?

 カンリにはわからなかったが、それでも聞くしか選択肢はない。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)

スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」 唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。 四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。 絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。 「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」 明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは? 虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...