恩人召喚国の救世主に

製作する黒猫

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 ケイレンスと話をしている間に時間は流れ、遂にカンリの待ち人が現れた。

 戦場の上空、3体のグリフォンが現れた。そのグリフォンに乗っている一人の少女に、カンリは目を奪われる。



 戦場に不釣り合いなドレス姿、お姫様のように騎士に支えられて優雅にグリフォンの背に乗っている。



「間違いない・・・かなちゃんだ・・・」

「知り合いだったようだね。任せたよ。」

「言われなくても。トカゲ、行くよ!」

 翼を地面につけて迎えるトカゲに飛び乗ったカンリは、悲しげな表情でグリフォンの背に乗る親友を見た。

 トカゲが飛び立つ。



「・・・ツキガミさん・・・」

 心配げに見つめるケイレンスに見送られて、カンリは親友の元へと向かった。







「ひどい・・・」

 戦場の惨状を見て、顔をゆがませるカナ。その言葉に頷いて、カナを抱く腕に力を籠める魔族、マツェラ。いつも笑みを絶やさない軽口ばかりの男だが、その表情は険しく口は引き結ばれている。



「場所は、ここでいいですか?」

「うん。君にしかできないことだ、みんなを救ってくれるかい?」

「もちろんです。・・・ギフト、解放。」

 両手を広げ、厳かに呟くカナ。その手から眩い光があふれだし、戦場に広がった。きらきらとした光が、傷だらけで今にも息絶えそうな魔族たちに降り注ぐ。

 血を流し、地面に倒れこむ魔族。そんな魔族の傷に光が集まった。ドクドクト流れるその血の流れが止まり、傷口がふさがった。



「これが、かなちゃんのギフト・・・傷を癒すギフト・・・か。」

空に待機する3体のグリフォンに迫るカンリを見て、2体のグリフォンが動き出した。グリフォンの上では、騎士が剣を抜きその刀身に炎をまとわせた。

 カンリは弓に矢を添えて狙いを定める。向上した身体能力は視力にまで影響を及ぼし、グリフォンにまたがる魔族の頭をとらえた。



 引き延ばした矢を放つ。ひゅんという音が聞こえ、次に敵がグリフォンから落ちる光景が目に入った。すぐに別のグリフォンに乗る魔族へと標的を変える。



 ひゅんっと、魔族の頭に向かって放たれた矢だが、間に現れたグリフォンがその矢を受けたため、魔族には届かなかった。



「さっきの、落ちた魔族のグリフォンか・・・一応仲間意識があるんだね。」

「ぎゃうっ!ぐるるるる・・・っ!」

 矢を受けたグリフォンが迫ってきて、それをトカゲが最小威力に抑えたブレスで反撃し退ける。矢を受けたグリフォンが退いたことで視界が広がったが、目の前にいたはずのグリフォンに乗った魔族がいなくなっていた。



「どこにっ!うあっ!」

 見失った敵を探していたカンリだが、唐突にトカゲがスピードを上げて前進したため、慌ててトカゲにしがみついた。

 敵は、カンリの上にいた。カンリたちがいた場所に、上から火の玉が降る。トカゲがスピードを上げていなければ命中していただろう。



「上・・・う、まぶしい・・・」

 敵を視認しようとしたが、太陽の光にさえぎられて確認のできないカンリに、再び火の玉が放たれる。



「うわっ!」

 さらにスピードを上げたトカゲ。炎の玉が放たれた後、上昇し始めるトカゲに向かって連続して火の玉が放たれる。

 熱い風が何度か近くに感じられたカンリだったが、状況を確認する余裕はなくトカゲに振り落とされないようにしがみつく。ほぼ直角に空へと向かっている状態で、かなり無理のある体勢だった。



「きつい・・・」

「ぎゃうっ」

「うぅ・・・」

 弱音を吐くカンリに、もう少しだと慰めるように鳴くトカゲ。そして、緩やかにスピードを緩めて、体勢を立て直した。



 平衡感覚がおかしくなったのを立て直したカンリは、目の前の光景を見ていきを飲む



「きれい・・・トカゲ、すごいね。こんなに高く上がれるんだ。」

「きゃうっ!」

 青い空の下、あるのは茶色地面でも、血に汚れた戦場でもなく、白い綿あめのような雲。

 ドラゴンであるトカゲと、身体強化のギフトを持っているカンリだからこそみられる景色がそこにはあった。



 グリフォンではここまで上空に来れないし、普通の人間にこの高度はきついものがある。



「・・・トカゲ、あのグリフォンたちは、トカゲに任せるよ。私では全然刃が立たなかったから・・・信じているよ、トカゲ。」

「ぎゃう!」

「何?あ、餌の要求?」

「きゃうっ!」

「わかったよ。ランズに頼んで、いいお肉を用意してもらうから・・・いい仕事、期待しているよ。」

 その言葉に目を光らせて、トカゲは急降下した。



 下では、3体のグリフォンが争っていた。どうやら、2対1で誰か戦っているらしく、こちらに気づいた2体のグリフォンの内一体が迫ってきた。誰も乗っていない、矢を受けたグリフォンだ。

 右へ左へと、微妙に進路変更をして迫るグリフォン。トカゲはブレスを放つが、なかなか命中せず、一発がグリフォンの羽の先をかすっただけだ。

 鋭い爪をこちらに向けたグリフォンが迫るが、それをトカゲは難なく避け、しっぽでグリフォンの目を叩き潰した。



「ぎあぁあああああっ!」

「ぐるるるる・・・っ!」

 ばたばたと、混乱したように飛ぶグリフォンに向けて、トカゲがブレスを放つ。今度は命中し、ブレスを受けたグリフォンは落ちて行った。



「あとは、2体・・・」

 味方らしきグリフォンと戦う魔族の乗ったグリフォンと、親友とその護衛らしき男が乗ったグリフォンだ。

 カンリは改めて味方らしきグリフォンの背を見て、驚いた。



「どこから現れたの、ランズ・・・」

 魔族と斬り合っているのは、カンリの専属執事ランズだった。





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