恩人召喚国の救世主に

製作する黒猫

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41 終わって

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 こうして、唐突に現れた魔族・・・元人間の魔族と人間の戦争は終わった。双方失ったものは多かったが、それにお互いが文句をいうこともできず、2つの種族は完全に分断されて住む地を分けることになった。

 すべてが山本のシナリオ通りに事が進んだが、山本はこれからどうすべきかを考えなければならない。



 タングット城の応接間に、この戦争を止めた3人の高校生が集まっていた。



「住むところ、どうする?それぞれ人間側と魔族側に住むのもいいけど、分断されると厄介かもしれない・・・とりあえず、タングット城を拠点にしてはいるけど・・・3人で暮らすには広すぎるよね・・・」

「うわっ、爽やかな顔でハーレム宣言してきたよ、山本君・・・今は私とカンリの2人だけど、これからどんどん増やしていくってこと?」

「いやいや、なんでそうなるの。君と一緒にしないでよ、小沼さん?君は異世界転移ヒャッハーって感じに男を侍らせていたけど、僕にそういう趣味はないから。」

「ぐっ!?・・・別にあれは、そういうのじゃないから・・・ホント。」

「そういうのだったよね?私が傷ついた魔族を癒す!みたいな感じで、聖女っぽい光を放って、実際姫様とか言われてちやほやされていたよねー。」

 にこにこと笑いながら、小沼花菜を追い詰める山本。彼女は顔を赤くして何も言えない様子だ。

 実際、思い当たることが多すぎるのだろう。



「でも、山本君も、グラールとかいう名前を名乗っていたよね。彼女に負けず劣らず異世界を満喫していたと思うけど?」

「ぐっ!?いや、それは別にそういうことではないんだけど・・・」

「グラール?山本のやの字もない!うわっ、山本君、それはないよー。」

「うざっ。だいたい、本当に君みたいにお花畑になって、名乗っていたわけではないのだけど!?」

「お、お花畑!?ちょっと、失礼にもほどがあるんじゃない!このいじめっ子!」

「いじめ・・・こ・・・いじめられっこに言われたくないなぁ・・・」

「わ、私はいじめられっ子じゃない!あなたがいじめていただけでしょ!今までいじめなんて受けたことなかったわ!」

 言い争いを始めた2人にため息をついて、カンリはソファに深く腰を下ろした。

 この世界に来て生活を共にするうちに、山本と小沼花菜の仲がそれほど悪くないことに気づいた。それは、いじめなどをしている場合ではないので、そういうことが起こっていないからかもしれない。それとも、取り巻きがいないからか?

 とにかく、顔を合わせれば口げんかをするものの、本気でお互い嫌い合っている様子はなく、ケンカするほど仲がいいという奴かと、カンリは思っていたりする。



「ちょっと、カンリ。あなたからも何か言ってよ!」

「ツキガミさん、はっきりとこのお花畑に現実を突きつけてあげてくれるかな?」

「・・・2人共、実は付き合っている?」

「「なんでっ!?」」

 息の合った2人の答えに、カンリは自然とほほが緩んだ。



「カンリ・・・」

「・・・ふっ・・・ツキガミさん、知っているかな?君はさ、僕たちの中では特別視、神格化されていたってことを・・・」

「神格化?何それ。」

「あー、憑神って、いわれてたね。」

「・・・?」

「神がついているって意味で、呼ばれていたんだよ。だって、同じ人間だとは思えないほど、君は完璧な存在だった・・・」

「・・・そんなわけ、ないよ。だって、私は・・・」

 小沼花菜を見て目を背けるカンリ。勉強ができて、運動ができて、優等生だと呼ばれて、それでもいじめは止められなかった。そんな自分が完璧なわけがないと、カンリは今でも思っている。

 実際、カンリは制限の中で生きていたので、完ぺきではないのだ。



「何、そのお花畑がいじめられていたことを気にしているの?そんなこと、気にする必要ないのに。」

「いや、それは山本君が言うことじゃないから。いじめていた張本人が言うことじゃないから。」

 睨みつけながらはっきりと文句を言う小沼花菜を見て、カンリはどうしてこうも違うのかと疑問に思った。

 山本も小沼花菜も、ギフトが与えられた以外は何も変わらないはずなのに、カンリと違って何も変わっていないはずなのに、いたるところで前の世界との違いが現れる。



 もしも、前の世界で小沼花がいじめられている時、今のように言い返していたら・・・何かが違っただろう。



「まぁ、でも・・・いじめられていたのは、カンリのせいじゃないから。だから、気にすることなんてな」

「いや、ツキガミさんがいたから、小沼さんをいじめていたんだけどね。」

「はぁっ!?」

 きれいに終わらせようとしていた小沼花菜の笑顔に、ぴしりとひびが入ったのをカンリは見た。



 それから、得意げにカンリにかまってもらうために小沼花菜をいじめていたことを話す山本に、小沼花菜の右ストレートがさく裂・・・せず、ひょいとよけられた右ストレートは、ソファの背に埋まった。



 ぼすんっ。



「逃げないでよ!」

「ごめん、僕殴られるの嫌いなんだ。」

「私だって、殴りたくて殴っているわけじゃない!でも、ここで殴らずして、いつ殴ればいいの!」

「別に殴らなくてもいいんじゃない?」

 にこにこ笑ってからかう山本と、目がマジになっている小沼花菜。そんな2人を見て、微笑ましく感じると同時に、何か物悲しいような思いが出て、カンリは驚いた。



 薄れていった感情が、時々ぶり返してくる。それはもしかしたら、人間としての感情が戻ってきているということだろうか。







 そんなカンリたちのもとに、3人の王子と一人の王女、護衛が1人現れて仲間になるのは、そう遠くない話だった。



 これが一つの国の始まりだった。

 神に愛され、神に守られるといわれる神国のはじまりだ。







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