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肩が重いのは、勇者という肩書のせいか?
しおりを挟む「ポメ」
「話しかけてこないでっ!あんたは、さっさとソーセージでもウィンナーでも作ってきなさいよっ!」
「いや、ウィンナーは作らないが・・・」
俺の言葉も聞かず、ポメラは自分の部屋へと戻ってしまった。
今いるのは食堂で、朝食の時間なので人が多くいる。その多くの人が、何事かとこちらの様子をうかがっているようだった。
だが、俺はそんな周りの様子より、ポメラの言葉が気になって仕方がなかった。いくら俺でも、今はポメラをそっとしておくべきだとはわかるが、それでも気になって仕方がない。
俺はポメラの部屋に前にきて、扉をたたいた。
「ポメラ・・・まさか、ウィンナーはソーセージの種類だということを知らないのか!?呼び方が違うだけで同じものだと思っているのか!?」
「え、違いなんてあるの!?いや、そうじゃないわっ!話しかけてこないでって、言ってるでしょ!」
「これは重要なことだ!お前、恥をかきたくないのなら、俺の説明を」
「あんたは私の話を聞けっ!あーあーあーあー聞こえないー!」
「子供じみたことをしないで聞けよ!」
「きーこえーないーあーあーあーあーあーあ!」
「くそっ!・・・わかった。俺はもう行くから、その音痴をやめろ。宿の迷惑だ。」
「歌ってたわけじゃないからっ!」
「いいか、宿から出るなよ。俺が戻ってくるまで、この部屋にいろ。」
俺はそれだけ言い残して、ソーセージ屋に向かった。
「ということがあってな。」
「あのお嬢さん、子供っぽいところがあるんだ・・・可愛いですね。」
「まー・・・ちょっと恥ずかしいけどな。にしても疲れたな。」
ソーセージ屋の作業場で、俺は竜の肉を加工していた。数日ソーセージから離れたせいか、いつもやっていた作業だというのに、もう肩が重くなって疲れた。
「ん?なぁ、俺の肩に何か乗ってるか?」
「いえ、何も?」
「そうか。何か、肉の塊でも乗ってるのかって程、重いんだよな。」
「なら、少し休憩しましょうか。ウチのソーセージでも、試食してみませんか?」
「おぉ!ぜひそうしたいな!」
作業を中断し、俺はソーセージの試食をした。スタンダードのものから色物まで、一本一本味わって食べる。どれもうまいが、やはりスタンダードのものが一番だな。
「それにしても、竜のソーセージが食べられるとは、夢のようです。昔話で、一度市場に出回ったという話は聞きましたが、それをウチで再現できるなんて・・・僕、寝てませんよね?」
「大丈夫だ、現実だからな。実は、俺は食べたことがあるんだ、竜のソーセージ。」
「え・・・あなた、おいくつですか?」
「昔話じゃねーよ!俺の親父が、借金までして竜の肉を手に入れて作ったんだ。ま、できた数が少なすぎて、販売はできなかったんだがな。」
「その熱意、尊敬します。それで、おいしかったですか?」
「それは・・・食べてみればいい話だ。」
「ははっ!そうですね。何も今から楽しみを減らすことはないですね。自分の舌で確かめてみます。」
「それがいい。」
実は、竜のソーセージを祀っていたら、腐ったんだよな。おいしく・・・はなかったけど、食べたには食べた。今度は、腐っていないものを食べたいな。きっと、おいしいはずだ!
「さて、そろそろ再開しましょうか!」
「そうだな。」
それにしても、肩が重いな。
「よし、これで後は火を通すだけだな。」
「すごいですね、ハムさんの魔法!まさに、ソーセージを作るための魔法ですね!」
「あぁ。ま、そのための魔法だしな。本当は手作りでやりたかったが・・・なんか胸騒ぎがしてな、早く帰りたくなったんだ。肩も重いし。」
「マッサージしましょうか?」
「いや、遠慮しておく。色々とありがとうな。あともうひと頑張り、よろしく頼む。」
「お任せください!ハムさんのソーセージは、明日知人に頼んでおきますので、明後日位に取りに来てください。」
「わかった。それにしても、保存魔法か・・・俺も覚えたいな。」
「特殊な魔法ですから、才能が無ければ難しいでしょう。でも、使えれば食品を販売する者としては、最高に使える魔法ですね。」
保存魔法とは、物の状態を保つ魔法で、食品で言えば、腐ることやカビが生えることなどを抑えて、おいしい状態に保つ魔法だ。ただ、魔法を使う者によって、保てる期間は違うようだ。
今回、ソーセージ屋の知人にその魔法の使い手がいるという事なので、俺は新しい相棒に魔法をかけてもらうことにした。だいたい1か月は持つそうだ。
「おいしく食べるなら1カ月のうちにか・・・もう、あんな思いはごめんだからな。」
腐った、竜のソーセージを思い出し、俺は遠い目をした。
ポメラ
「?なんか言ったか?」
「いえ、何も。」
「そうか、気のせいか。」
女の声がポメラと言った気がした。女の声なので、確かにソーセージ屋ではないだろう。なら、誰だ?
キケン
「!?」
「どうしました?」
「悪い、俺はもう帰る。」
行かなければ、後悔すると思った。ポメラに危険が迫っていると、何かが教えてくれた。
「あ、ハムさん!?」
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