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節約とケチは違う

節約とケチは違う4 電気代もったいないオバサンに起きた悲劇

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 あるとき、こんな話を聞いた。

 電気をいつも消し忘れるご主人様がいたそう。

 そのおうちの奥様は、子どもの教育資金の貯蓄のために、日々安いスーパーを梯子し、節約に頑張っていたそう。

 私がこんなに頑張っているのに、どうしてこの人は節約に協力的でないのかしら?

 子どもじゃないんだから、電気を消すくらいの協力が出来ないものなのかしら?

 トイレに行ったら、トイレの電気をつけっぱなし!

 お風呂に入ったら、お風呂の電気をつけっぱなし!

 仕事の帰りが遅いときは、自分がお風呂に入るのは最後だって明らかに分かっているはずなのに、電気を消し忘れる夫に心底ムカつき、毎日「もうっ、電気消してよね!」、「またつけっぱなし!」、「何回言ったら分かるの?」と責めていたそう。

 だんだん夫の帰りが遅くなってきた。

 最近、残業が増えたのかしら?

 夫の帰りが遅くて、ガミガミ言わなくて済むから平和だわ、そう思っていたそう。

 しかし、しばらくして、夫が浮気をしていることに気が付いたそう。

 浮気の理由は「いつも家でガミガミ言う妻がいるから、家にいるのがちっとも楽しくなくて、居心地が悪かったから」だそう。

 その男性、妻には節約で誕生日や結婚記念日に安いお菓子しか買ってこないくせに、職場の浮気相手の女性には高級ブランドのバッグを買っていたそうな。

 結婚という責任がとれないから、せめてもの罪滅ぼしに高級ブランドのバッグを妻ではなく、愛人の女にプレゼント。

 その女性が魅力的に見えたのは、妻と違って、ガミガミ言わない女性だったから。

 これ、客観的に見たら、浮気している夫のほうが法律上の罪はかなり重いと思う。

 でも奥様が「電気消して!」って毎日ガミガミ言わなかったら、こんなことにはなっていなかったかもしれない

 どう考えても、数時間つけっぱなしの電気代よりも、ブランドもののバッグの購入や浮気相手の女性との交際費のほうが高くつきそうだ。

 ちなみに、なぜ浮気がバレたのかというと、その愛人の女性が妻に別れてほしくて、堂々と暴露したかららしい。

 夫は大慌て。

 電気を消さない夫に呆れていたものの、夫はそこそこ高給取り。

 専業主婦で夫と別れる気などなかった彼女はビックリ!

 悔しいやら、腹が立つやらで泣き喚いたそう。

 結局、夫も子どもがいるから離婚までは考えていなかったようで、その愛人の女には慰謝料を払って決着。

 だが、愛人の匂わせ行動が大きく、職場で不倫が大きな噂となり、職場で仕事がしづらくなった夫に人事部長がとった救済措置は田舎への転勤。

 愛人だった女性は体裁が悪くなり退職。

 夫は左遷のような形で、給料減で田舎に引っ越し。

 彼女にとっては全く良いことがなかったらしい。

 そもそも節約していたのは、私立中学に息子を入れたかったから。

 田舎だと、良い進学塾もない。

 単身赴任も考えたが、専業主婦の彼女が夫に単身赴任をさせるのは、さすがに金銭面での効率があまりにも悪すぎた。

 電気を消し忘れている夫がいたら、何も言わずにそっと自分が消すだけでいい。

 きっとブランドもののバッグを買ったり、よその女と食事やホテルに行く金額よりも、ちょっとつけっぱなしにしている電気代のほうがはるかに安いと思うし、不倫されて給料減になることもないだろう。

 ちょっと電気代を節約しようとしただけで、こんなことになるなんてホラーだな、と思った。
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