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本編
秋の遠足-おまけ
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逢珠真が作ったリースはとても綺麗で、氷雨は壊れないようケースに入れてリビングに飾った。逢珠真はそれを見て恥ずかしそうにしたり、嬉しそうににまにましたり。逢珠真の仕草一つ一つが可愛くて、愛おしくて、氷雨は充実した日々を送っていた。そんなある日……
「このリース、いいですね。何処で買ったんですか?」
「あぁ。それは逢珠真が作ったリースだよ」
「逢珠真くんが!? 凄いですね」
「リボンが紫色なのもいいな」
「惚気ですか」
「仕方ないだろう? 愛しい伴侶からの初めてのプレゼントなんだから」
「それは事実ですが、逢珠真くんの年齢を考えると色々とアウトな発言ですね」
「…………」
嬉しさのあまりすっかり忘れていたが、確かに六歳の男の子相手に「愛しい伴侶」なんて言うのは色々とアウトだ。氷雨にそんな趣味はなくとも、絵面的にどうしてもそうなってしまう現状が悲しい。
「仕事の話に戻しますね。隊長、このリース、お店に飾ってみませんか?」
「は?」
「秋と冬のシーズンにぴったりですし、お店のイメージにも合ってますから」
「……確かに、言われてみれば合ってはいるが」
「『桜子さん』が飾っている姿を写真で撮れば完璧ですね!」
「…………」
正直言うと氷雨はこのリースをお店に飾りたくなかった。逢珠真が氷雨の為に作ってくれた初めてのプレゼント。似たリースを業者に頼んで作ればいいと提案したものの、それだと時間がかかってしまうと時雨は語る。衛生面も考慮して特殊な消毒を施した後ケースの中に飾り、シーズンが終われば返却すると勝手に話を進めていく時雨。仕方なく、本当に仕方なく、氷雨は時雨の提案を受け入れた。
『今日はリース作りが体験できる工房に来ています。この工房ではある出来事がきっかけでリース作り体験の予約がすぐにいっぱいになったそうなんですが、本当なんですか?』
『本当です。こんなに殺到するのは初めてで、私達も目を疑いました』
『そうですよね。急にリース作りが大人気になった理由はご存知ですか?』
『勿論知っています。桜子さんがお店にリースを飾っていたからですよね?』
『よくご存知で。リース作りが大人気になった理由、それはこの写真を見れば分かります』
テレビスタッフがパネルを用意し、工房を取材に来ていたリポーターが受け取り、大きな写真を公開する。淡黄色に赤い紅葉が描かれた着物に身を包み、丁寧に編み込まれた艶やかな黒髪には紅葉の簪。優しい笑みを浮かべてお店の入り口付近の小さな丸テーブルに紫色のリボンの付いたまつぼっくりのリースを飾る美しい女性。リースは綺麗なガラスケースの中に入れられていた。そのリースを見つめる『桜子さん』はとても優しい目をしていて、その慈愛に満ちた微笑は更に多くの男性達の心を鷲掴みにした。
「ねえ、峯滝くん。この前テレビで紹介されてたリース、峯滝くんが作ったリースにそっくりじゃない?」
「え? きのせいだとおもうよ?」
「あれ、うちでも話題になったわ。父ちゃんから『なんでリースを作らなかったんだ!』って言われて母ちゃんに怒られてた」
「テレビで公開された桜子さんの写真、すっごく綺麗だったなあ」
「あのリース、桜子さんの大切な人が作ってくれたリースなんだってよ」
「ええー!? 誰だろう!? あんな美しい女性の心を虜にするなんて! すっごく気になるぅうううううう!」
学校でも桜子さんとリースの話題で盛り上がり、逢珠真は話に付いて行けず首を傾げた。
「りーす、ない」
「逢珠真? どうしたの?」
「ひさめさん、ここにかざってあったりーす、ないです」
「あぁ。ごめんね。時雨が『どうしてもお店に飾りたい!』って言うから、少しの間だけ貸しているんだ」
「……さくらこさんがもってたりーす」
「本当にごめんね。一生懸命作ってくれたのに。時雨に言って予定より早く返してもらうから」
「さくらこさんは、ひさめさん?」
「逢珠真。桜子さんは、女性だよ?」
「…………」
おやつのどら焼きをテーブルに置いて、氷雨は逢珠真の頭をそっと撫でた。温かいお茶を淹れて氷雨と一緒にリビングで寛いでいると、テレビ番組でまた桜子さんが紹介されていた。今回は桜子さんの大切な人は誰かという話題らしい。芸能人のあの人ではないか、スポーツ選手の彼に違いない、いいや今話題の若手俳優でしょう。
『桜子さん、本当に優しい目をしていますね』
『本当に好きな人からのプレゼントだったんでしょうね。この手作りのリース』
『このリースを作った人は一体だ……』
ブツン。突然テレビが真っ黒になる。氷雨を見ると以前と同じようにチャンネルを持って電源ボタンを押していた。氷雨は桜子の話題になると何故か別の話題に変えようとしたり、今のようにテレビの電源を切ったりする。
「ひさめさん、どうして、てれびをけすんですか? さくらこさん、きらいなんですか?」
「さて、晩御飯を作ろうか。今日はナポリタンにしよう」
「……ひさめさん、また、ごまかした?」
「あれ? ナポリタンは食べたくない?」
「たべたいです!」
「一緒に作るかい?」
「つくります!」
上手いこと氷雨に誘導され、逢珠真は桜子さんのことなどすっかり忘れて氷雨と一緒にナポリタンを作り始めた。完成したナポリタンはとっても美味しくて、逢珠真は少しだけおかわりした。食べる量も増え、美味しそうにナポリタンを食べる逢珠真を、氷雨は優しい目で眺めて小さな幸せを噛み締めた。
「このリース、いいですね。何処で買ったんですか?」
「あぁ。それは逢珠真が作ったリースだよ」
「逢珠真くんが!? 凄いですね」
「リボンが紫色なのもいいな」
「惚気ですか」
「仕方ないだろう? 愛しい伴侶からの初めてのプレゼントなんだから」
「それは事実ですが、逢珠真くんの年齢を考えると色々とアウトな発言ですね」
「…………」
嬉しさのあまりすっかり忘れていたが、確かに六歳の男の子相手に「愛しい伴侶」なんて言うのは色々とアウトだ。氷雨にそんな趣味はなくとも、絵面的にどうしてもそうなってしまう現状が悲しい。
「仕事の話に戻しますね。隊長、このリース、お店に飾ってみませんか?」
「は?」
「秋と冬のシーズンにぴったりですし、お店のイメージにも合ってますから」
「……確かに、言われてみれば合ってはいるが」
「『桜子さん』が飾っている姿を写真で撮れば完璧ですね!」
「…………」
正直言うと氷雨はこのリースをお店に飾りたくなかった。逢珠真が氷雨の為に作ってくれた初めてのプレゼント。似たリースを業者に頼んで作ればいいと提案したものの、それだと時間がかかってしまうと時雨は語る。衛生面も考慮して特殊な消毒を施した後ケースの中に飾り、シーズンが終われば返却すると勝手に話を進めていく時雨。仕方なく、本当に仕方なく、氷雨は時雨の提案を受け入れた。
『今日はリース作りが体験できる工房に来ています。この工房ではある出来事がきっかけでリース作り体験の予約がすぐにいっぱいになったそうなんですが、本当なんですか?』
『本当です。こんなに殺到するのは初めてで、私達も目を疑いました』
『そうですよね。急にリース作りが大人気になった理由はご存知ですか?』
『勿論知っています。桜子さんがお店にリースを飾っていたからですよね?』
『よくご存知で。リース作りが大人気になった理由、それはこの写真を見れば分かります』
テレビスタッフがパネルを用意し、工房を取材に来ていたリポーターが受け取り、大きな写真を公開する。淡黄色に赤い紅葉が描かれた着物に身を包み、丁寧に編み込まれた艶やかな黒髪には紅葉の簪。優しい笑みを浮かべてお店の入り口付近の小さな丸テーブルに紫色のリボンの付いたまつぼっくりのリースを飾る美しい女性。リースは綺麗なガラスケースの中に入れられていた。そのリースを見つめる『桜子さん』はとても優しい目をしていて、その慈愛に満ちた微笑は更に多くの男性達の心を鷲掴みにした。
「ねえ、峯滝くん。この前テレビで紹介されてたリース、峯滝くんが作ったリースにそっくりじゃない?」
「え? きのせいだとおもうよ?」
「あれ、うちでも話題になったわ。父ちゃんから『なんでリースを作らなかったんだ!』って言われて母ちゃんに怒られてた」
「テレビで公開された桜子さんの写真、すっごく綺麗だったなあ」
「あのリース、桜子さんの大切な人が作ってくれたリースなんだってよ」
「ええー!? 誰だろう!? あんな美しい女性の心を虜にするなんて! すっごく気になるぅうううううう!」
学校でも桜子さんとリースの話題で盛り上がり、逢珠真は話に付いて行けず首を傾げた。
「りーす、ない」
「逢珠真? どうしたの?」
「ひさめさん、ここにかざってあったりーす、ないです」
「あぁ。ごめんね。時雨が『どうしてもお店に飾りたい!』って言うから、少しの間だけ貸しているんだ」
「……さくらこさんがもってたりーす」
「本当にごめんね。一生懸命作ってくれたのに。時雨に言って予定より早く返してもらうから」
「さくらこさんは、ひさめさん?」
「逢珠真。桜子さんは、女性だよ?」
「…………」
おやつのどら焼きをテーブルに置いて、氷雨は逢珠真の頭をそっと撫でた。温かいお茶を淹れて氷雨と一緒にリビングで寛いでいると、テレビ番組でまた桜子さんが紹介されていた。今回は桜子さんの大切な人は誰かという話題らしい。芸能人のあの人ではないか、スポーツ選手の彼に違いない、いいや今話題の若手俳優でしょう。
『桜子さん、本当に優しい目をしていますね』
『本当に好きな人からのプレゼントだったんでしょうね。この手作りのリース』
『このリースを作った人は一体だ……』
ブツン。突然テレビが真っ黒になる。氷雨を見ると以前と同じようにチャンネルを持って電源ボタンを押していた。氷雨は桜子の話題になると何故か別の話題に変えようとしたり、今のようにテレビの電源を切ったりする。
「ひさめさん、どうして、てれびをけすんですか? さくらこさん、きらいなんですか?」
「さて、晩御飯を作ろうか。今日はナポリタンにしよう」
「……ひさめさん、また、ごまかした?」
「あれ? ナポリタンは食べたくない?」
「たべたいです!」
「一緒に作るかい?」
「つくります!」
上手いこと氷雨に誘導され、逢珠真は桜子さんのことなどすっかり忘れて氷雨と一緒にナポリタンを作り始めた。完成したナポリタンはとっても美味しくて、逢珠真は少しだけおかわりした。食べる量も増え、美味しそうにナポリタンを食べる逢珠真を、氷雨は優しい目で眺めて小さな幸せを噛み締めた。
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