25 / 66
本編
迷子と旅行3
しおりを挟む
乗り換えの駅で降りる度に文也は逢珠真の写真を撮り時雨に教えてもらった連絡先へ送信した。待ち時間が長い時は文也がメールを送信している間に裕人が温かい飲み物を買ってきて三人で飲む。文也はコーヒー、裕人はミルクティー、逢珠真はココア。
「はあ、あったまるぅ」
「寒い時はやっぱり温かい飲み物が一番! あ、勝手に選んじゃったけど、ココアでよかった?」
「はい。ありがとうございます」
「寒くないか?」
「おにいさんたちのうわぎとまふらー、とってもあったかいです」
夜も遅くなり、乗客の数もかなり減った。閉店時間も過ぎている為、外の明かりは道路の街灯と家の明かりがぽつぽつと点いている程度。外の風はとても冷たいが、二人が着せてくれた上着とマフラーのお陰で寒くはない。温かいココアも飲ませてくれて、逢珠真は嬉しい反面、二人の時間を奪ってしまったことに対して罪悪感も抱いていた。
「次で最後だから、もう少しだけ頑張ろうな」
「駅まで迎えに来てくれるんだっけ?」
「すっげえ丁寧な文章が送られてきてびっくりした。色々と準備があるから、暫く連絡できないって」
「準備って、何の準備?」
「晩御飯とかお風呂とか?」
「あぁ。確かに、ハンバーガーとポテトしか食べてないもんね」
「風邪ひいたら大変だしな」
乗り場にアナウンスが流れ、二人は立ち上がる。飲み干した空き缶を裕人が集めて小さなビニール袋に入れる。逢珠真も立ち上がろうと椅子から下りると、文也に抱き上げられた。
「スーツケース頼む」
「OK! 任せとけ!」
電車が駅に到着し、先に文也が乗車して後から裕人がスーツケースを持って乗車する。逢珠真を窓際に座らせ、向かい側の席に文也が座る。スーツケースを窓際に寄せ、通路側の席に裕人が座るとアナウンスが流れ、プシュと扉が閉まる音が聞こえた後、ゆっくりと電車が動き出した。最後の電車に乗って約一時間後、三人は漸く目的の駅に到着した。
「逢珠真!」
「逢珠真くん!」
「ひさめさん! しぐれさん!」
電車を降りて三人が駅を出ると、二人の男性が逢珠真の名前を呼んだ。文也が逢珠真を下ろすと、彼は一直線に氷雨の元へ走り出す。走ってきた逢珠真を氷雨は強く抱きしめて「君が無事でよかった」と呟いた。保護者の元へ無事に送り届けることができ、裕人と文也も安堵の息を零す。
「さて、無事に送り届けることができたし、俺達も泊まる場所探すか」
「受付してるホテルあるかな?」
「なければ最悪ネットカフェだな」
「やっぱそうなるよな」
逢珠真を保護者の元へ帰すことに必死だった二人は、ホテルを予約するのを完全に忘れていた。駅周辺で泊まれるホテルを検索しようと端末を手に取ると、氷雨と時雨が二人に声をかける。
「貴方達が逢珠真を保護してくれたんですね。ありがとうございます」
「何度もメッセージを送っていただいて、本当に助かりました」
「いえいえ。気にしないでください」
「困った時はお互い様ですよ。それじゃあ、俺達はこれで」
氷雨達に挨拶を済ませ、スーツケースを手に立ち去ろうとする二人の手を逢珠真がぎゅっと握りしめる。じっと二人の顔を見上げ「あの、ひさめさんのおうち、とまってください!」と大きな声で告げた。二人は「それは申し訳ないので」とやんわりと断る。しかし、氷雨に「是非、泊まってください。逢珠真を保護してくれたお礼です」と言われ、時雨からも「貴方達は逢珠真くんの恩人ですから」と告げられてしまい、二人は顔を見合わせて「それじゃあ、お言葉に甘えて」と氷雨達の厚意に甘えることにした。
「はあ、あったまるぅ」
「寒い時はやっぱり温かい飲み物が一番! あ、勝手に選んじゃったけど、ココアでよかった?」
「はい。ありがとうございます」
「寒くないか?」
「おにいさんたちのうわぎとまふらー、とってもあったかいです」
夜も遅くなり、乗客の数もかなり減った。閉店時間も過ぎている為、外の明かりは道路の街灯と家の明かりがぽつぽつと点いている程度。外の風はとても冷たいが、二人が着せてくれた上着とマフラーのお陰で寒くはない。温かいココアも飲ませてくれて、逢珠真は嬉しい反面、二人の時間を奪ってしまったことに対して罪悪感も抱いていた。
「次で最後だから、もう少しだけ頑張ろうな」
「駅まで迎えに来てくれるんだっけ?」
「すっげえ丁寧な文章が送られてきてびっくりした。色々と準備があるから、暫く連絡できないって」
「準備って、何の準備?」
「晩御飯とかお風呂とか?」
「あぁ。確かに、ハンバーガーとポテトしか食べてないもんね」
「風邪ひいたら大変だしな」
乗り場にアナウンスが流れ、二人は立ち上がる。飲み干した空き缶を裕人が集めて小さなビニール袋に入れる。逢珠真も立ち上がろうと椅子から下りると、文也に抱き上げられた。
「スーツケース頼む」
「OK! 任せとけ!」
電車が駅に到着し、先に文也が乗車して後から裕人がスーツケースを持って乗車する。逢珠真を窓際に座らせ、向かい側の席に文也が座る。スーツケースを窓際に寄せ、通路側の席に裕人が座るとアナウンスが流れ、プシュと扉が閉まる音が聞こえた後、ゆっくりと電車が動き出した。最後の電車に乗って約一時間後、三人は漸く目的の駅に到着した。
「逢珠真!」
「逢珠真くん!」
「ひさめさん! しぐれさん!」
電車を降りて三人が駅を出ると、二人の男性が逢珠真の名前を呼んだ。文也が逢珠真を下ろすと、彼は一直線に氷雨の元へ走り出す。走ってきた逢珠真を氷雨は強く抱きしめて「君が無事でよかった」と呟いた。保護者の元へ無事に送り届けることができ、裕人と文也も安堵の息を零す。
「さて、無事に送り届けることができたし、俺達も泊まる場所探すか」
「受付してるホテルあるかな?」
「なければ最悪ネットカフェだな」
「やっぱそうなるよな」
逢珠真を保護者の元へ帰すことに必死だった二人は、ホテルを予約するのを完全に忘れていた。駅周辺で泊まれるホテルを検索しようと端末を手に取ると、氷雨と時雨が二人に声をかける。
「貴方達が逢珠真を保護してくれたんですね。ありがとうございます」
「何度もメッセージを送っていただいて、本当に助かりました」
「いえいえ。気にしないでください」
「困った時はお互い様ですよ。それじゃあ、俺達はこれで」
氷雨達に挨拶を済ませ、スーツケースを手に立ち去ろうとする二人の手を逢珠真がぎゅっと握りしめる。じっと二人の顔を見上げ「あの、ひさめさんのおうち、とまってください!」と大きな声で告げた。二人は「それは申し訳ないので」とやんわりと断る。しかし、氷雨に「是非、泊まってください。逢珠真を保護してくれたお礼です」と言われ、時雨からも「貴方達は逢珠真くんの恩人ですから」と告げられてしまい、二人は顔を見合わせて「それじゃあ、お言葉に甘えて」と氷雨達の厚意に甘えることにした。
194
あなたにおすすめの小説
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる