捨てられた子が龍の化身に溺愛されるまで《完結》

トキ

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本編

迷子と旅行3

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 乗り換えの駅で降りる度に文也は逢珠真の写真を撮り時雨に教えてもらった連絡先へ送信した。待ち時間が長い時は文也がメールを送信している間に裕人が温かい飲み物を買ってきて三人で飲む。文也はコーヒー、裕人はミルクティー、逢珠真はココア。

「はあ、あったまるぅ」
「寒い時はやっぱり温かい飲み物が一番! あ、勝手に選んじゃったけど、ココアでよかった?」
「はい。ありがとうございます」
「寒くないか?」
「おにいさんたちのうわぎとまふらー、とってもあったかいです」

 夜も遅くなり、乗客の数もかなり減った。閉店時間も過ぎている為、外の明かりは道路の街灯と家の明かりがぽつぽつと点いている程度。外の風はとても冷たいが、二人が着せてくれた上着とマフラーのお陰で寒くはない。温かいココアも飲ませてくれて、逢珠真は嬉しい反面、二人の時間を奪ってしまったことに対して罪悪感も抱いていた。

「次で最後だから、もう少しだけ頑張ろうな」
「駅まで迎えに来てくれるんだっけ?」
「すっげえ丁寧な文章が送られてきてびっくりした。色々と準備があるから、暫く連絡できないって」
「準備って、何の準備?」
「晩御飯とかお風呂とか?」
「あぁ。確かに、ハンバーガーとポテトしか食べてないもんね」
「風邪ひいたら大変だしな」

 乗り場にアナウンスが流れ、二人は立ち上がる。飲み干した空き缶を裕人が集めて小さなビニール袋に入れる。逢珠真も立ち上がろうと椅子から下りると、文也に抱き上げられた。

「スーツケース頼む」
「OK! 任せとけ!」

 電車が駅に到着し、先に文也が乗車して後から裕人がスーツケースを持って乗車する。逢珠真を窓際に座らせ、向かい側の席に文也が座る。スーツケースを窓際に寄せ、通路側の席に裕人が座るとアナウンスが流れ、プシュと扉が閉まる音が聞こえた後、ゆっくりと電車が動き出した。最後の電車に乗って約一時間後、三人は漸く目的の駅に到着した。

「逢珠真!」
「逢珠真くん!」
「ひさめさん! しぐれさん!」

 電車を降りて三人が駅を出ると、二人の男性が逢珠真の名前を呼んだ。文也が逢珠真を下ろすと、彼は一直線に氷雨の元へ走り出す。走ってきた逢珠真を氷雨は強く抱きしめて「君が無事でよかった」と呟いた。保護者の元へ無事に送り届けることができ、裕人と文也も安堵の息を零す。

「さて、無事に送り届けることができたし、俺達も泊まる場所探すか」
「受付してるホテルあるかな?」
「なければ最悪ネットカフェだな」
「やっぱそうなるよな」

 逢珠真を保護者の元へ帰すことに必死だった二人は、ホテルを予約するのを完全に忘れていた。駅周辺で泊まれるホテルを検索しようと端末を手に取ると、氷雨と時雨が二人に声をかける。

「貴方達が逢珠真を保護してくれたんですね。ありがとうございます」
「何度もメッセージを送っていただいて、本当に助かりました」
「いえいえ。気にしないでください」
「困った時はお互い様ですよ。それじゃあ、俺達はこれで」

 氷雨達に挨拶を済ませ、スーツケースを手に立ち去ろうとする二人の手を逢珠真がぎゅっと握りしめる。じっと二人の顔を見上げ「あの、ひさめさんのおうち、とまってください!」と大きな声で告げた。二人は「それは申し訳ないので」とやんわりと断る。しかし、氷雨に「是非、泊まってください。逢珠真を保護してくれたお礼です」と言われ、時雨からも「貴方達は逢珠真くんの恩人ですから」と告げられてしまい、二人は顔を見合わせて「それじゃあ、お言葉に甘えて」と氷雨達の厚意に甘えることにした。
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