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おまじない2
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俺が泣き止んだのを見て、フォティアさんは話を再開した。王女様達は自滅して命を落としたけど、魂はまだこの世にしがみ付いていた。けれど、それは魂とは言えないくらい削れていて思念体の残滓と言った方が正しい。それらは何故か俺に対して凄まじい憎悪を抱いており、どんな方法を使ったのかは分からないが、俺の夢の中へ侵入することに成功した。
「そこからはミツちゃんが見た夢の通り。本当に最低だよね」
「あのさ、なんで僕が兄さんを嫌うの? 兄さんが落ちこぼれ? 兄さんだと思ったことなんて一度もない? はあ?」
「えっと、満帆?」
「そんなこと、思う訳ないじゃん! 僕が兄さんを罵るなんて、それで兄さんを傷付けるなんて! 彼奴ら、やっぱり僕の手で殺しておけば良かった!」
「お、落ち着け! 満帆! 俺は無事だったんだから、な?」
「ライコウの言う通りだ。ミツル殿の気持ちも理解できるが、態々俺達にミツル殿を殺させようとするとはな……」
「もし、奴らが生きていたなら、私もこの手で殺していたかもしれませんね」
「い、いや。あの……」
俺、そんなに詳しく夢のことは話してないんだけど。まさか、無意識にメリに言っていたのだろうか。それとも、フォティアさん?
「居なくなった連中を憎んでも仕方ないだろう。冷静になれ」
「貴方は何時も落ち着いていますね」
「確かに。ミツルを傷付けられて悔しくねえのか? お前は」
「もう終わったことだからな」
「……はあ。これだから執着心の強いヤンデレは」
「満帆?」
「ううん! なんでもないよ! 兄さん!」
みんなの言う通り、メリが一番怒ってもいい筈なのに、彼は始終落ち着いていた。その冷静さが逆に怖くて、俺は恐る恐る名前を呼ぶ。メリは俺を見て優しく微笑んで「ミツが無事ならそれでいい」と言って口付けてきた。メリが納得してるなら、これ以上聞く必要もないだろう。フィスィさんとギルバートさんとフォティアさんは「え? こわ」と怯えているけど、翠嵐さんと満帆はお互いに目を見合わせて深いため息を吐いた。二人は何か知っているのだろうか。知っていても、俺に教えてくれないだろう。そう思って、俺は敢えて聞かないことにした。
フォティアさんが王女様達を焼き尽くしたから、もうこの世には魂すらも存在しないと断言した。
「あの穢れた土地も無くなったし、奴らの魂も消失した。だから怯えなくていいよ。ミツちゃん」
「はい。ありがとうございます。フォティアさん」
「これが俺の本業だからね。でも、間に合って良かったあ。アレでミツちゃんが殺された後だったら、俺、メリに殺されちゃうもん」
「そ、そんなことは……」
「殺しはしないが、殴り飛ばすくらいはしたかもしれない」
「メリ!?」
「私も、一発殴っていたと思います」
「フィスィさんも!?」
「俺も、一発殴っていただろうな」
「え? 翠嵐さん?」
「いやいや物騒! 俺、一番頑張ったじゃん!」
「冗談ですよ」
「冗談だ。真に受けるな。フォティア」
「冗談に聞こえない! こっわ! この人達!」
うん。確かに冗談に聞こえない。今回頑張ったのはフォティアさんなのに、どうしてみんな扱いが酷いのか。フィスィさん曰く、日頃の行いと言動が原因らしい。そう言えば、旅をしている時もフォティアさんはちょっと発言がアレだったって聞いたなあ。
「念の為にもう一度聞くが、ミツルはもう大丈夫なんだな?」
「勿論! 奴らの魂は完全に消えたから、二度とミツちゃんに干渉できないよ!」
「それ、信じていいの?」
「言ったでしょ? 俺は呪術のプロだって。プロの俺が『大丈夫』って言ってるんだから信じてよ」
ギルバートさんと満帆はまだ納得していないようだったけど、フォティアさんが「大丈夫」と断言するので渋々納得した。俺が見た悪夢に関する話はこれで終わりと告げて、フォティアさんはフルーツタルトを堪能した。言われた通り、タルトの半分をお皿に乗せたけど食べきれるのだろうか。そんな不安を抱いていたが、フォティアさんはペロリと平らげてしまった。凄い。どうなっているんだ? フォティアさんの胃袋。
「やはり、ミツル様の作るお菓子は美味しいですね」
「あぁ。今迄の疲れが一瞬で吹っ飛ぶくらい美味しい」
「兄さんのフルーツタルト! あぁ。僕は世界一幸せな弟だよ! 兄さん!」
「え? うん」
満帆は相変わらずブラコンだ。目を輝かせてフルーツタルトを口にして満面の笑みを浮かべている。その表情は年相応で、昔のように仲が良かった頃を思い出して思わず笑ってしまう。
「どうしたの? 兄さん」
「ううん。なんでもない。満帆は満帆だなあって、思っただけだよ」
「なにそれ?」
「俺の大切な、自慢の弟だよって意味だ」
「に、にににに、兄さぁあああああああん! 僕も! 僕も兄さんが一番だよ! 僕の自慢の兄さんだよ! 兄さん大好き! 結婚して!」
「それは無理」
きっぱり断るのと、メリが俺を抱き寄せて牽制するのは同時だった。またメリと満帆は喧嘩して、フィスィさん達は呆れ顔。今まで大人しくしていたサクはギルバートさんに捕まって全身を撫で回されている。何時の間にかトキワ様もやって来て、リビングの中はごちゃごちゃしていた。賑やかで、慌ただしくて、笑ったり怒ったり。そんな光景を見て、俺は可笑しくなって声を出して笑った。
「そこからはミツちゃんが見た夢の通り。本当に最低だよね」
「あのさ、なんで僕が兄さんを嫌うの? 兄さんが落ちこぼれ? 兄さんだと思ったことなんて一度もない? はあ?」
「えっと、満帆?」
「そんなこと、思う訳ないじゃん! 僕が兄さんを罵るなんて、それで兄さんを傷付けるなんて! 彼奴ら、やっぱり僕の手で殺しておけば良かった!」
「お、落ち着け! 満帆! 俺は無事だったんだから、な?」
「ライコウの言う通りだ。ミツル殿の気持ちも理解できるが、態々俺達にミツル殿を殺させようとするとはな……」
「もし、奴らが生きていたなら、私もこの手で殺していたかもしれませんね」
「い、いや。あの……」
俺、そんなに詳しく夢のことは話してないんだけど。まさか、無意識にメリに言っていたのだろうか。それとも、フォティアさん?
「居なくなった連中を憎んでも仕方ないだろう。冷静になれ」
「貴方は何時も落ち着いていますね」
「確かに。ミツルを傷付けられて悔しくねえのか? お前は」
「もう終わったことだからな」
「……はあ。これだから執着心の強いヤンデレは」
「満帆?」
「ううん! なんでもないよ! 兄さん!」
みんなの言う通り、メリが一番怒ってもいい筈なのに、彼は始終落ち着いていた。その冷静さが逆に怖くて、俺は恐る恐る名前を呼ぶ。メリは俺を見て優しく微笑んで「ミツが無事ならそれでいい」と言って口付けてきた。メリが納得してるなら、これ以上聞く必要もないだろう。フィスィさんとギルバートさんとフォティアさんは「え? こわ」と怯えているけど、翠嵐さんと満帆はお互いに目を見合わせて深いため息を吐いた。二人は何か知っているのだろうか。知っていても、俺に教えてくれないだろう。そう思って、俺は敢えて聞かないことにした。
フォティアさんが王女様達を焼き尽くしたから、もうこの世には魂すらも存在しないと断言した。
「あの穢れた土地も無くなったし、奴らの魂も消失した。だから怯えなくていいよ。ミツちゃん」
「はい。ありがとうございます。フォティアさん」
「これが俺の本業だからね。でも、間に合って良かったあ。アレでミツちゃんが殺された後だったら、俺、メリに殺されちゃうもん」
「そ、そんなことは……」
「殺しはしないが、殴り飛ばすくらいはしたかもしれない」
「メリ!?」
「私も、一発殴っていたと思います」
「フィスィさんも!?」
「俺も、一発殴っていただろうな」
「え? 翠嵐さん?」
「いやいや物騒! 俺、一番頑張ったじゃん!」
「冗談ですよ」
「冗談だ。真に受けるな。フォティア」
「冗談に聞こえない! こっわ! この人達!」
うん。確かに冗談に聞こえない。今回頑張ったのはフォティアさんなのに、どうしてみんな扱いが酷いのか。フィスィさん曰く、日頃の行いと言動が原因らしい。そう言えば、旅をしている時もフォティアさんはちょっと発言がアレだったって聞いたなあ。
「念の為にもう一度聞くが、ミツルはもう大丈夫なんだな?」
「勿論! 奴らの魂は完全に消えたから、二度とミツちゃんに干渉できないよ!」
「それ、信じていいの?」
「言ったでしょ? 俺は呪術のプロだって。プロの俺が『大丈夫』って言ってるんだから信じてよ」
ギルバートさんと満帆はまだ納得していないようだったけど、フォティアさんが「大丈夫」と断言するので渋々納得した。俺が見た悪夢に関する話はこれで終わりと告げて、フォティアさんはフルーツタルトを堪能した。言われた通り、タルトの半分をお皿に乗せたけど食べきれるのだろうか。そんな不安を抱いていたが、フォティアさんはペロリと平らげてしまった。凄い。どうなっているんだ? フォティアさんの胃袋。
「やはり、ミツル様の作るお菓子は美味しいですね」
「あぁ。今迄の疲れが一瞬で吹っ飛ぶくらい美味しい」
「兄さんのフルーツタルト! あぁ。僕は世界一幸せな弟だよ! 兄さん!」
「え? うん」
満帆は相変わらずブラコンだ。目を輝かせてフルーツタルトを口にして満面の笑みを浮かべている。その表情は年相応で、昔のように仲が良かった頃を思い出して思わず笑ってしまう。
「どうしたの? 兄さん」
「ううん。なんでもない。満帆は満帆だなあって、思っただけだよ」
「なにそれ?」
「俺の大切な、自慢の弟だよって意味だ」
「に、にににに、兄さぁあああああああん! 僕も! 僕も兄さんが一番だよ! 僕の自慢の兄さんだよ! 兄さん大好き! 結婚して!」
「それは無理」
きっぱり断るのと、メリが俺を抱き寄せて牽制するのは同時だった。またメリと満帆は喧嘩して、フィスィさん達は呆れ顔。今まで大人しくしていたサクはギルバートさんに捕まって全身を撫で回されている。何時の間にかトキワ様もやって来て、リビングの中はごちゃごちゃしていた。賑やかで、慌ただしくて、笑ったり怒ったり。そんな光景を見て、俺は可笑しくなって声を出して笑った。
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