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邂逅逸話 暁のシジル③-3

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   クイッとアリスがオルメカの服の裾を引っ張る。

「ついて行かなくていいんですか?お兄さんを助けに行くんじゃないんですか?」

   そうアリスに話掛けられ、オルメカはハッと我に返った。
   そうだ。居なくなったソロモンがもし捕まっているのなら、助けにいかなければいけない。だが、これがただの人捜しで済まないのなら、戦力は多い方がいい。

「ねぇ、向かう前にひとつ確認したいんだけど」

   オルメカは前を歩く二人に声を掛ける。

「…何かしら?」

   メイジーは足を止めることなく聞き返す。それはシャアムも同様だった。

「あなた達の目的は事件の犯人達を捕まえることだよね?」

「ええ、そうよ」

「私達の目的はソロモンを捜し出すこと」

「せやんなぁ」

「で、ソロモンも犯人達も同じ場所にいる可能性が高いんだよね?」

「そういう話をしているつもりだけれど?」

   どうやらここまでは見解に相違がないらしい。
   では…

「じゃあ、私も犯人を捕まえるのに協力する。その代わり、ソロモンを見つけるのに協力してほしい。…ダメかな?」

   オルメカのその提案にメイジーは少し驚いた顔をした。一方、シャアムはというとにかーっと笑っている。

「ええで、もちろんや。救助も仕事のうちやしな」





   シャアムはこちらを振り返り、手招きをする。オルメカとアリスは思わず瞬きし、近寄る。近くまで行くと、ガッ!と肩を組まれた。

「ギルドは人助けが主やからな!喜んで協力するで」

   陽気なこの男は、先ほどから見せているにかーっとした笑顔で二人を連れて歩く。そんな三人の様子を先を歩きながら眺めていたメイジーは一瞬だけ笑う。

「ほら、早くなさい。シャアム、貴方が案内してくれないとアジトがの場所がわからないんだから」

   メイジーが催促し、シャアムが犬が尻尾を振るみたいに嬉しそうに前を歩いていく。その後をメイジーが続く。
   正直、会ったばかりでどこまで信用出来るかもわからないが、助けてくれた恩もある。そして今後必要になるだろう戦力には違いない。

   オルメカはアリスと一緒に前を行く二人を追い掛けたー…。
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