46 / 49
46、悪役令嬢の悪行3
しおりを挟む最も最悪なタイミングで姿を表したのはジニア王太子殿下とゼフィランサスとそれからロベリアだった。
男達がカルミアが首謀者なのだと叫んでいた、まさにその時だった。
(な、なんでここに……!?)
ばっ!と、カルミアがローダンセの方を見ると、視線に気づいたローダンセは首を振った。どうやら彼が呼んだわけでも無さそうだが、ふと、視線をロベリアの方に移すと彼女の後ろに紫の髪色が見えてカルミアはなんとなく察した。
(ああ、ブルーベルがここまで連れてきたのね)
精霊達は主だけではなく、見知った人間であれば魔力を使って捜索することが出来る。おそらくロベリアかジニア辺りがブルーベルに頼んで捜してもらったとかなのだろうが、今のカルミアにとってはありがた迷惑でしかない。
「ねぇ、カルミア。さっきの話はどう言うことなんだい?男達を仕向けたって……」
不安げに声を震わせるジニアから視線が外せないカルミアはこの状況をどう打開するかを必死に考えた。
(ど、どうすればいいの!?なんでこんな……!!)
嵌められた。
直感でそう思った。
男達の言葉をそのまま真に受けるほど愚かじゃないとは思うが、疑念が生まれるのは確かだ。
「カルミア。説明してくれないかい?」
幾度となくジニアは言葉を繰り返す。きっと否定して欲しいのだとわかってはいても、男達を黙らせる方法が見つからない。
だから、否定したところで証明にはならないのだ。無実の証明には。
カルミアが答えられずにいれば、檻の中の男達は言葉を繰り返す。
「俺達はそこの令嬢に頼まれたんだ!!俺達を罰するってんなら、こいつもだろ!!!」
カルミアを指差しそう言いながら大声をあげる。
「いいえ!!わたくしじゃありませんわ!」
咄嗟に反論した。男達の好き勝手には言わせておけない。それでは、きっと思う壷だろうから。
「王太子殿下様の前じゃ本当のことは言えないってか!?よく言うぜ!邪魔な女消そうとしてるくせによ」
「それも自らの手は汚さずだしな」
「これだから貴族は嫌いなんだよ」
反論すれば男達に好き勝手言われてしまう 。それも全ての首謀者は悪役令嬢だと言わんばかりに。
ジニアもゼフィランサスも、阻止てローダンセも、皆、カルミアに疑惑を向け始める。それでも、嘘であって欲しい、と微かな希望も瞳に宿している。
「だから、わたくしではないんですのよ!」
カルミアがそう言えば、檻の中の男のひとりがおもむろに封書を取り出した。
「こんなこともあろうかと取っておいて良かったぜ」
くしゃくしゃになった封書には封蝋が施されていたらしい。男はその蝋印を見えやすいように持つと「ほら、よーく見てみろよ」と封蝋を見せつけてくる。
渋々とカルミアとジニアがその封蝋を確認して、驚愕した。
「なっ……!?ど、どういうことですの!?」
驚き後ずさったカルミアと、封蝋を凝視するジニア。
それはフローライト侯爵家を象徴する薔薇の紋様と宝石の紋様が刻まれた蝋印の後だった。
ーー フローライト公爵家が正式に送ったと証明する蝋印 ーー
カルミアは血の気が引く思いを味わった。
(どうしてこれが……)
決定的だった。
フローライト公爵家が男達と関係があるとするには充分すぎる証拠だ。
これにはジニアも何も言えなかった。
と言うよりも、信じたかったのに裏切られたと感じる方が上かもしれない。カルミアを見る瞳が大きく揺れ動く。
言葉を無くしたジニアとカルミア。ゼフィランサスも唖然とした様子でただただ事態を見守っている。そんな中、
「待ってください」
このやり取りに見かねたロベリアがふらつく足取りでゆっくりとカルミアの方に歩み寄り、口を挟んだ。
「確か、私を犯人に仕立て上げるっていう筋書きだったと、先程言っていましたよね?」
銀色の髪型ふわりと揺れる。その銀色の髪を見た男達の表情が一瞬にして強ばった。
「その封書は、本当に、カルミアからあなた達へと渡されたものだったのですか?」
今のロベリアは普段身につけているヴェールがない状態だ。それはつまりカーディナリスの目の力を最大限に利用出来る状態でもあるということ。
ロベリアは男達に問いかけながら、その目の力を使う。
左右色の違う瞳に映し出された男達の周りには何体もの亡者が彼らを取り巻くように取り憑いていた。
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。
しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。
断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。
【完結】第一王子と侍従令嬢の将来の夢
かずえ
恋愛
第一王子は、常に毒を盛られ、すっかり生きることに疲れていた。子爵令嬢は目が悪く、日常生活にも支障が出るほどであったが、育児放棄され、とにかく日々を送ることに必死だった。
12歳で出会った二人は、大人になることを目標に、協力しあう契約を交わす。
虜囚の王女は言葉が通じぬ元敵国の騎士団長に嫁ぐ
あねもね
恋愛
グランテーレ国の第一王女、クリスタルは公に姿を見せないことで様々な噂が飛び交っていた。
その王女が和平のため、元敵国の騎士団長レイヴァンの元へ嫁ぐことになる。
敗戦国の宿命か、葬列かと見紛うくらいの重々しさの中、民に見守られながら到着した先は、言葉が通じない国だった。
言葉と文化、思いの違いで互いに戸惑いながらも交流を深めていく。
妹のために愛の無い結婚をすることになりました
バンブー竹田
恋愛
「エミリー、君との婚約は破棄することに決まった」
愛するラルフからの唐突な通告に私は言葉を失ってしまった。
婚約が破棄されたことはもちろんショックだけど、それだけじゃない。
私とラルフの結婚は妹のシエルの命がかかったものでもあったから・・・。
落ちこむ私のもとに『アレン』という大金持ちの平民からの縁談が舞い込んできた。
思い悩んだ末、私は会ったこともない殿方と結婚することに決めた。
公爵令嬢クラリスの矜持
福嶋莉佳
恋愛
王太子に「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄された公爵令嬢クラリス。
だがその瞬間、第二王子ルシアンが彼女の手を取る。
嘲笑渦巻く宮廷で、クラリスは“自分に相応しい未来”を選び抜いていく物語。
離宮に隠されるお妃様
agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか?
侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。
「何故呼ばれたか・・・わかるな?」
「何故・・・理由は存じませんが」
「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」
ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。
『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』
愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる