月と地球が僕らを置いてどこかへ逃げた

とさか

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タイタンにて

衛生探索Ⅲ〜その先に〜

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 こつり...こつりこつりこつり。

 二人は氷上を歩く............ファットという男を放っていきながら。

「マーシェル!!! 助けて!! ごめんって!!!」

 彼はどうやら、マーシェルをカンカンに怒らせてしまって氷のクレバスに突き落とされたらしい。

 彼の宇宙服から異常を検知したせいで、他の2人の服にもアラームが煩くブーブーと鳴きやまない。

「うるさいわね....この音は。 さすがにもう助けてあげたら?」
 
 怒りを足音に表現するマーシェルへ説得しようとするが、さすがに無理があった。
 
 マーシェルは氷の上をどしどしという音に変え歩いて行った。そしてブーッブーッと鳴き止まないアラームの音。


「............帰ったら宇宙船でお菓子あげるわよ」


 ルーカスは耳に聞こえるブーブー音がウザくなったのもあり、お菓子で釣ろうとして彼女を甘い誘惑へ陥れた。
 
 すると餌に魚が寄ってきた。マーシェルはその言葉を聞いては即座に

「本当に?! ......分かった、ファットさんを助けるよ......」

 彼女はお菓子で釣られるほどの年齢だったかは知らないが、これで探検に集中できる。
 

 ルーカスはこれも必要な嘘だと自分に言い訳して、何も音が聞こえないことをひそかに喜んだ。


 マーシェルは黙ったまま、宇宙服に付属していた折り畳み式の棒を取り出しファットに差し出した。


「......はい」

 ファットも十分反省はしている。すこし震えてもいるのか......。


 ファットが無事にその裂け目から脱出すると、マーシェルへ抱き着くようにして謝罪をした。
 

 まあ、そうなるだろう。クレバスは底なしと言っていいほど奥が深いから。下手したら死んでいたかもしれない。
 

 軽く殺人をしようとしたマーシェルは三人の先頭を行き、本題である鳥のような足跡の先を追った。
 
 それはひだりみぎ、ひだりみぎと。そして外を向くようにして映されていた。



 こつこつこつと、何十分も氷上を歩いた彼ら。始めに疲れが出たのはやっぱり彼、ファットだった。

「いつまで歩くのだ? 結構な距離歩いたぞ......」

 それとは逆なマーシェルは体力の消費を知らずに、他の二人はヘトヘトでも先をずっと歩いた。

「マーシェル。 それ以上歩くと帰れなくなるわよ......」

 ルーカスもファットより体力はあるが、ほぼ限界に達していた。


 しかしずうっと歩き続けるマーシェル。すさましい集中力だ。

 そしてもう数分歩き続けると、ついに足跡はだんだん消えていった。


 二人に追いつくようにして走ってくるとファットが喋った

「消えたな......。この足跡はどういうことだ?」

 その後、足跡が消えたことでやる気をなくしたファットは、そのまま帰るそぶりをした。
 しかし、それと同時にその足跡が何なのかがはっきりと分かった。




「......これは、何の鳥............?」


 マーシェルは初めて目にしたその足跡を付けた鳥をみて、首を傾げた。
 その鳥は、七色に輝く羽を持つとともに、嫌みなほど目が大きくて、地球の鳥よりも何倍も巨大な......。

 フラットなこの星に輝く、違和感のある鳥。


 三人は土星を見たときとはまた違った、どちらかというと謎に包まれる雰囲気で、その七色鳥をじいっと見るのであった。
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