月と地球が僕らを置いてどこかへ逃げた

とさか

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タイタンにて

衛星探索Ⅵ~収穫~

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寒いというよりは冷たく、周りは氷山に囲まれてすべてが敵に見えそうな頃。
太陽が枯れることでそれをよりいっそう引き立てる。

そこには相変わらずの3人がいた。しかしいつもとは違う、ミステリアスな雰囲気で......。



大きな足跡を見たルーカスは、小さく声を漏らす。
 そしてマーシェルは驚く彼女の姿を見ると、不思議そうに尋ねた。


「どうかしたの?」


マーシェルの声でふと我に返ったルーカスは、冷静な声を取り戻そうとして自分の話を始めた。

「なんていうか......この足跡。その足の形、私どこかで見たことがあるかもしれないわ......。根拠なんてものはないけど、記憶の片隅から引っ張り出してきた感じがする。ごめんなさい......上手くは言えないわ」

彼女の顔はどこか悲しそうに、まるで姫が月を見る姿のように、そんな風に思えた。

マーシェルは少し聞いてはいけないことを聞いてしまったかのように、ファットとの言い合いとは真逆のやさしさを展開した。

「なるほど......」

ファットもその話を聞く

「どうするか?一応写真だけ取っておくことにするか?」

「わかりました」

ルーカスはこもったような声でファットに返事をした。




太陽もすっかり失い、恐怖の夜に差し掛かろうとする。
夜にこの星を探索するのは大変だ。暗闇で何がどうなっているのかが分からない。


3人はいい収穫をしたと、のっそりのっそり宇宙船へ戻る。


「............こつこつ」


「......別にそこまで静かになる必要はないんじゃない?普段通り話してくれていいわよ。」

ルーカスは2人の心を静めてしまったのかと、いつも通りの彼らを呼び起こそうとする。うるさくて負けず嫌いな......。



「あぁ。いや、なんかこの星ってとてつもないなぁって思うんだ。こんなに謎に満ちた星、他にないだろ?」

「たしかに。ここまで謎ばかりだったらその"答え"を教えて欲しい!」

ファットが感心と関心を繰り替えすと、マーシェルもそれに乗るようにしてわくわくさせた。


「少しは成長してくれたのね」


ルーカスは小声で自分へ呟きながら小さくて誰にも分らない程の笑顔を確かに見せた。


星空が広がり始めた、氷の星。
ぴかぴかと連続する、宇宙の広大さを我々に教えてくれる唯一の存在。

すこし目をやると、地球が見えたりもするのか......?


......あいにく今日は見えないらしい。




3人はこうやってまた、タイタンに足跡を残していった。
それぞれ少し変わった、まるで性格を映し出すようなその足跡。

中にはすこし変わった物もあるが、目指す方向はどれも同じであった。
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