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15 使用人の仕事じゃない
しおりを挟む上品なノックの後、ドアが開いてハーマンさんとマリーさんが食事を運んで来た。
「失礼します。朝食をお持ちしました。」
ワゴンの皿の上には銀色の丸い蓋がたくさん並んでいる。
テーブルに置かれるたびに開けられて、部屋中に料理の良い香りが広がり喉が鳴る。
昨日食べた美味しいパン、マッシュポテト、ハムエッグ、サラダ、スープが2人分テーブル置かれた。
「さ、早く食べよう。二人で食事するのは楽しいな。そうだ、お前の仕事に俺と一緒に食事を取ることを増やそう。一人で食べるのが寂しいと思っていたから丁度いい。」
だーかーらーそれは使用人の仕事じゃないですよぉ。セプター様ぁーーーっ!!
***
朝食は………多分美味しかったんだと思う。
きっと凄く美味しかったんだと思う。
けど! 給仕するハーマンさん達の視線が怖くて味なんかわかんなかったよぉ。
あ! 食後の紅茶が運ばれて来た。
やったあ、これで最後だ。これを飲み干したら、この部屋から開放される。
ハーマンさんの目から冷凍光線でも出すんじゃないかと思うほど冷たい視線でずっとこっち見てるよー。
めちゃくちゃ怖くて心も体が萎縮しまくりだよ。
早く飲んでマリーさんに仕事教わりたいのに………この紅茶めちゃくちゃ熱そう。
すすったり、ふーふーして飲むのは………マナー違反だよね。
このまま冷めるまで待つしかないのか。
ハーマンさんの冷凍光線で冷めればいいのに…。
「そうそう、お前の呼び名なんだが」
「はい」
「『リーフ』というのはどうだろう?」
「リーフですか?」
「お前を見つけたとき、頭に木の葉を乗せていたからなんだが。」
リーフ………俺の名前坂井公彦に全く被っていない。良い名前だ。
「はい、素敵な名前で嬉しいです。」
「ん、気に入ったようで良かった。あとは、目立つ容姿をなんとかしないとだな。その色の髪と目は珍しいから人拐いに狙われたんだ。ここにいる間だけでも髪の色を変えたほうが良い。」
「俺の髪を染めてもらえるんですか?」
「そうだ、その方がお前も安心だろう。今日は買い物をするから一緒に町に行こう。」
「はい、生まれてはじめて髪の毛を染めるからとても嬉しいです。有難うございます。」
髪も染められるし、町にも連れてってもらえる。
町っていったら、あの『ハピラキ』の町だよね。わー楽しみだなー♪
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