巻き添えで異世界召喚させられた?!世界を救うのは主人公にまかせてモブの俺は全力で逃げたいと思います!

yao

文字の大きさ
15 / 55

14 冗談と執事

しおりを挟む
 
 
 


「ノックしてからいつまでも入ってこないで、一体何をしている。旦那様をお待たせするな。」


硬い声に二人で急いで深くお辞儀する。


「お、おはようございます。遅くなって申し訳ありません」

「お前はマリーと何をしていたんだ。」

「あの、すみません。俺、寝坊してマリーさんに起こしてもらって そのまま来ちゃったんです。身なりがちゃんとしてないのにセプター様にお会いするのは駄目と顔を拭かれてました。すみません。」

「本当か、マリー」

「はい、おまたせして申し訳ありません。彼が顔も洗わず、飛び出して行くものですから」

「そんなことはノックする前に………」

「ハーマン、もう良いから、早く中に入りなさい。」

「失礼します。セプター様、おはようございます。遅くなって申し訳ありません。」


マリーさんも俺と一緒に深々と頭を下げた。


「ハーマン、今日の朝食はこの部屋でとる。彼の分もここに持ってきてくれ。一緒に食べることにしよう。」


ひいっ、なんて冗談を言うんですか。


「承知しました。」


ダメダメ!!ハーマンさん、それセプター様の冗談ですよ。


俺はプルプルと小刻みに首を振って拒否したのに、ハーマンさんは俺達を睨らんで出ていった。


怖い…昨日あったときからハーマンさんにはよく思われてないって思ってたけど、今ので完璧に嫌われちゃった。


「慣れていないから仕方ないかもしれないが、明日からはもう少し早く起きなさい。」

「はい、すみません。あの…、冗談ですよね。」

「冗談?何のことだ。」

「朝食のことです。」


昨日マリーさんから聞いたここの使用人の食事の時間は、主人であるセプター様が食事が終わった後、順番にグループ分けされた従業員が専用の食堂で食べる事になっている。

それは主人にいつ呼ばれても良いように必ず誰かが傍で控えているためだ。

それなのに高貴な貴族と使用人が一緒に食べるなんて絶対ありえないですけどー。

しかも俺は新参者だから食べるのは使用人の中では一番最後のはずですよね。ね、マリーさん…ってハーマンさんと行っちゃったのぉっ?!


「使用人は食べる場所と時間が決まっているって昨日聞きました。俺が貴族の方と食事をとるなんて…」

「そうか?俺は貴族といっても下の方だからな。別に気にしなくても良いと思うぞ。俺が一緒に食べたいんだ。いいだろう?」


セプター様ぁ、爵位が下でも上でも絶対に駄目だと思います。

それに他の使用人たちに虐められちゃう。ときまほ💗に来てまでイジメられるのは嫌ですよっ!!


「ん?タイはどうした?」

「すみません。結び方がわからなくて…あ、」

「じっとしてなさい。」


俺の手の中のタイを取って綺麗な長い指が襟元を優しく触れる。


「これでいい。これも早く覚えるようにな。」

「はい。結んでいただいて有難うございます。」



とほほほ、セプター様に結んで貰っちゃったよ。


絶対ハーマンさんに怒られる。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ
ファンタジー
「ここわぁ、地獄かぁ――!?」  悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、気がつきゃ金糸のような髪の小娘に!? 「えっ、ファンタジーかと思ったぁ? 残っ念っ、ハイ坊主ハラペコSFファンタジーでしたぁ――ウケケケッケッ♪」  やかましぃやぁ。  ※小説家になろうさんにも投稿しています。投稿時は初稿そのまま。順次整えます。よろしくお願いします。

異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~

たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。 たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。 薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。 仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。 剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。 ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...