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13 寝坊とマリーさんと仕事
しおりを挟む朝早くから賑やかな小鳥のさえずりが聞こえる。
窓に張り付いてでもいるのかと思うほど、うるさい鳴き声がなりまない。
さっき寝たばかりなんだから、もうちょっと寝かせてくれ。
「失礼します。……まだ寝ているのですか!?早く起きて下さい!」
むにゃ、この声はメイドのマリーさん、金髪で美人で胸がおっきくて素敵な人だ💗ムフフ。
「~~、寝ぼけていないで起きて下さい。ご自分で仕事をするとおっしゃったのでしょう?」
マリーさん? 仕事…?………
ああーーー、寝過ごしたーーっ!!
セプター様を起こすのが俺の仕事だーーーっ!!!
「すみません!マリーさん。おはようございます。起こしてくれて有難うございますっ!!」
ベッドから飛び起きて昨日渡された黒のベストと黒のスラックスを掴んで寝間着を脱ぐと背後でマリーさんが小さく声を上げた。
「きゃっ」
マリーさん、悲鳴を上げて背中向けてるけど出ていかないんだね。
別に男だし見られても減るもんじゃないからいいか、そんなことより早く着替えて行かなくちゃ。
昨夜は、緊張していたのか全然眠れなかったんだよね。
明け方近くまで起きていたのが寝坊の原因。
寝ないで、そのまま起きていれば良かった。
そしたら遅刻なんかしなかったのに…今更そんな後悔しても遅いけど。
うーっ、この変わったタイの結び方わかんない。
いいや、もう行っちゃお!!
タイを片手に握りしめて部屋を飛び出した。
「じゃ マリーさん、行ってきます。」
「待って下さい。走らないで下さい!」
そう言いながら少し遅れてマリーさんが俺の背中を走って追いかけて来てる。
「すみませーん。急いでセプター様を起こしますから!」
マリーさんを振り切りったのはいいが、日頃の運動不足が祟りセプター様の部屋の前に着いたときには息が上がっていた。
呼吸を整えノックすると、やや間があって「入れ」と美声が聞こえてくる。
昨日の声とは違って重々しい………これは相当怒っているぞ。
恐る恐るドアに手をかけようとしたら、マリーさんが俺の肩を掴んで顔面に濡れタオルを押し付けてゴシゴシ擦ってきた。
「わあっぷ!何するんですかっ!!」
「何するのはこっちですよ。顔も洗わず旦那様にお会いするなんて失礼です。」
「ぶぷっ!すみません。わ、わかりました。自分で拭きます。それよりタイが結べなくて、そっちお願いします。」
「駄目です。私がちゃんと拭いて差しあげます。タイはその後、結んであげますから」
「いいですって、自分で出来ますから………」
二人でタオルの取り合いをしていると背後で咳払いが聞こえ、振り向くと執事のハーマンさんがドアを開けて睨んでいた。
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