巻き添えで異世界召喚させられた?!世界を救うのは主人公にまかせてモブの俺は全力で逃げたいと思います!

yao

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やっぱり浜中が最後の勇者だったんだな。

きっとどこかで欠員が出たのかな?

もしかしたら俺達と入れ違いに攻略対象の誰かが現実世界に召喚されたのかもしれない。

そんなことを考えて歩いていたらドーナツ屋さんにたどり着いた。

馬車の窓から見たドーナツ屋さんは思っていたより近くにあって助かった。

これなら迷子にならずに戻ることができる。


ドーナツは いくらなんだろう?

ときまほ💗ではセプター様が買ってくれてたから値段知らないんだよー。


みんな支払いに使っているお金は銅貨で1枚でドーナツ3つ買っている。

屋敷の人達の分もお土産に買いたいなと思ってたら、もう並んでいるうちにドンドン売れてしまって俺の順番が来たときには6つしか残ってなかった。

救いなのはセプター様の好きなチョコレートのかかったドーナツが一つ残ってたことだ。


良かった。


「いらっしゃい。どれにする?」


愛想のいいお兄さんが声をかけてくれた。


「残っているの全部下さい。人にあげたいので1つずつ包めますか?」

「んー、普段はしねえけど、今日は全部売れて店じまいだから良いよ。やってやる。銅貨2枚だ。」

銀貨を差し出すとお釣りが銅3枚になった。

へー、銀貨は銅貨5枚分なんだ。


「はいよ。おまちどう。」

「有難う。」


屋敷の人達のお土産には数が足りないなぁ。

キャンディ屋さんに行こ、ドーナツ屋さんと割と近かったと思ったんだけどなー。


キョロキョロ見回すと隅の方にこじんまりとした店にキラキラと七色の光があふれている。


「あ、あった!」


ドーナツ屋とは違って列は出来てなかった。

本当にこの店か不安だけど、店頭にはゲームで見たあの七色のキャンディだ。

袋に小分けにされて並んでいる。

凄く美味しいってセプター様がプレゼントしてくれたんだよね。

数も沢山あるから屋敷の人達全員分買える。


「すみません。キャンディ下さい。」

「いらっしゃい」


店の奥から強面で無愛想で筋肉質な男性が出てきた。


「こちらのキャンディを8個下さい。」

「………銅貨4枚だ。」


ごっつい見た目とは違ってキャンディを丁寧に袋に詰めて渡してくれた。



念願のドーナツとキャンディを買うことが出来てめちゃくちゃ幸せ💗

ふふ、みんな喜んでくれると良いな。


ウキウキしながらセプター様の馬車を探しながら歩いているとハーマンさんが少し前の方にいる。

ちょっと迷ったけど声をかけることにした。


「ハーマンさん。」


俺の方に振り向いたと思ったらすぐに前を向いて速歩きで行ってしまう。


ちょっとちょっとー!


追いかけて隣を歩くと嫌そうな顔をして目も合わせない。


「もう用事は済んだんですか?」

「なんでそんな事、お前に話さなくちゃならん。気安く話しかけるな。」

「馬車に戻るなら一緒に行こうと思って」

「図々しいやつだ。ついてくるな。」


手荷物が殆どないハーマンさんは人混みを縫って行く。


「ま、待ってください。ハーマンさーん。」


えー、うそー、置いてかれたよ。

はあー、話しかけるんじゃなかった。

いいよ。どうせ馬車は逃げないんだから。

 
 
………馬車、大丈夫だよね?



俺を置いて行かないよね?

 

不安にかられて急いで馬車に戻るとハーマンさんがドアを開いて、オークト様を丁寧にお見送りするところだった。

 
 
 
 
 
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