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第2話
しおりを挟む遡る事一年前 俺たちが高校2年生の頃
異常気象で先月まで茹だる様な暑さだったが、十月に入ると、ようやく涼しくなってきた。
それとは正反対に我が校の二年生達は一ヶ月後の文化祭に向けてヒートアップしている。
それもそのはず、文化祭最終日に催されるクラウンゲームに参加出来る唯一の学年だからだ。
王様になればどんな事でも何でも三つ叶えてくれる。
学校のどこに居ても話題はクラウンゲームの話で持ちきりだ。
全く……その前に中間テストがあるというのに、どうなっても知らないぞ。
当然俺も二年生だからクラウンゲームに参加する資格はある。だが、そんなゲームなどに浮かれず、進学に影響する中間テストに好成績を残すために一生懸命勉強している。
俺がクラウンゲームに興味がないのは叶える願い事がないからだ。欲しいものは全て実力でこの手に収めてきた。
け、決して…運動音痴だとか、体力に自信がないからとかじゃないんだぞ。どうせ運動部との体力の差は歴然だから参加するだけ無駄だと判断したからなんだ!怪我とかしたら大変だし、勉強に差し障る様な疲れることをしたくないだけなんだ俺は!
そんなことを自分に言い聞かせていると、背中にドーンという衝撃と共に重いものがのしかかって来た。
「わっ!」
「リュー!会いたかったよ~~ん!」
俺の背中に乗っかってきたのは中等部から仲のいい東條麗矢だ。
大きな身体で思いきり懐かれると大変なので、いつもは上手くかわすのだが、今日は考え事をしていたため回避出来なかった。
麗矢の黒髪に映える様に銀色のピアスやネックレスが複数飾られているのが一番に目に入る。
うちの学校は勉強が出来れば制服以外は自由にして良いという緩い校則だ。
「やめろっ、重い!」
すぐに麗矢を振り払うと、ここ最近いつものパターンの愚痴が始まる。
「リュー、冷たいよぉ。クラスが別々で会えなくなって寂しいのに~~。」
「何、言ってるんだ。毎日休み時間のたびに会いに来ているくせに。」
「今までずっと一緒だったから寂しいんだよ~!なんで俺達同じクラスじゃないの~?」
「今までクラスが一緒だったのは、日本語喋れないお前のために学校が配慮してくれていたんだろ?」
「それなら卒業するまでずっと配慮してくれても良いじゃんかぁ~。」
「あのなぁ、それだけ喋ることが出来れば、もう俺がいなくても大丈夫だろ?」
こうやって半年も前のクラス編成の事を未だに文句を言いに来ている。
麗矢と初めてあったのは五年前、桜が舞い散る入学式の朝だった。
気まぐれに吹く春風が花びらを巻き上げると新入生が嬉しそうにはしゃいでいる。
その中でただ一人金色の髪が乱されるのが嫌なのか、それとも学校に来たくなかったのか、校門の前で校舎を睨みつけている男子生徒が目に飛び込んできた。
うわ、不良かな?同じクラスになりませんように。
心の中で祈らずにはいられなかった。
幾ら自由な校風とはいえ、入学式の日から金髪で学校に来るなんて馬鹿か度胸がある奴かどっちかだ。
俺の名前は「渡辺」だから、あいうえお順で並ぶといつも一番後ろの方になる。
さっきの不良はどこにいるんだろう?あの目立つ髪なら前を見ていればどこにいるかすぐにわかるよな。なるべく関わり合いにならない様にしなくちゃ。どうか一緒の苦楽じゃありませんように。
各列を見回すと先程の祈りも虚しく、あの不良は自分のクラスの中にいた。
なんだよ。最悪じゃないか。
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