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36 早く帰ろう ーセプター・バンテールー
しおりを挟む「う、んんんーーーーー💗」
今目の前で何が起きているんだ。
俺を 貶 めるための茶番ではなく、この男が本当に神子様なのか?!
ラリー殿下は人を 貶 める茶番に付き合うようなお方ではない。
「ラリー殿下っ!!殿下はもう祝福を授かっているでしょう!!」
エイプ・フリーレル様が慌てて制す
「ハッ!バンテールがいらないと言うなら私が貰っても良いだろう。なあ」
「……」
「バンテール様、神子様は1000年に一度の凄い力を持った珍しいお方なんです。祝福を…」
「わぁっ、エイプっ!」
「あっ!!殿下、神子様をどこに連れて行くんですかっ!!」
「決まっているだろう。密契の儀式をする」
「駄目です。ラリー殿下は沢山頂いているはずです。明日から討伐に行くんですから神子様を休ませて下さい。神子様こちらへ戻って来て下さい」
神子様はラリー殿下を振り払ってフリーレル様にしがみついた。
「フリールお前は本当にうるさいな。神子こっちに来い!!」
「神子様、お役目があります。行っては駄目です」
「…わかっている」
フリーレル様の傍から動かない神子様に舌打ちをして、ラリー殿下は退室してしまった。
「さあ、バンテール様、祝福をお受け下さい」
「私の分の祝福はラリー殿下が受けてしまわれました。明日討伐に行くのですから神子様の力を温存したほうが良いのではないのですか?」
「大丈夫ですよ」
正直、神子様と祝福などしたくない。
リーフの故郷の話を聞いた後だから尚更嫌悪感を感じる。
「神子様のお身体のことが気になりますか?神子様は『聖なる乙女の儀式』をお受けになられたのでちゃんと出来ますよ。この方は私達のための舞い降りた神なんです」
「なっ!」
なんだと?! 神子様は男性でありながらそんなことが?!!
「神子様は全ての者を受け入れられる広いお心をお持ちのお方ですから大丈夫ですよ」
「遠慮しなくても良い。受け取れ」
「!」
いくらこの世界を救うためとはいえ好きでもない人とそんなことは出来ない。
祝福を回避するにはどうしたら良いんだ。
「神子様のお力を授からなければ魔物討伐は出来ません。この世界のためなんですよ。バンテール様祝福を…」
「…あ、明日討伐というのに、やはり神子様の力を使わせるわけには行きません。フリーレル様、魔物を討伐するパーティーは決まっているんですか?」
「土の魔物を討伐しに行きますので、風と木の属性です」
「そうですか、ラリー殿下のパーティーなんですね。良かった。それでは俺はみなさんが討伐に帰ってきてからで祝福をいただきます」
「バンテール様、それでいいんですか?」
「ええ、風と木属性の皆様と神子様に ご武運を」
「有難うございます。必ず魔物を倒して帰ってきます」
「………」
どうしても好意を持てない神子様とエイプ・フリーレル様に不快感を感じながら、丁寧に頭を下げて急いで退室する。
酷く気分が悪い、早くリーフの待つ屋敷に帰ろう。
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