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四、黄泉下り―其の参―
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決して振り向かないように、というのは須佐之男の事なのだろうか。
この黄泉平坂で自分以外に頼れるのは、須佐之男たけなので、若菜は不安を覚えたが、ここは禍津日神の神域だ。
廃神社のような佇まいの本殿の扉を開けると、長い廊下が遥か彼方まで続いている。赤い焔が目の前を歩く、禍津日神の姿を映し出していた。
若菜は、彼の神域を不気味に感じてしまった事に、申し訳なさを覚えながら、怖くなって声を掛ける。
「ま、禍津日神様、このお社に一人で住まわれているのですか? ここは……あの、寂しくはありませんか」
「ええ。高天原より遥かに暗く、夜の世界よりも闇が深いでしょう。ふふふ、若菜殿にとってここは、恐ろしい場所に思われるでしょうが……案外生者の世界と変わらず、賑やかなんですよ。世話をする神使もおりますし」
「……あ、あのお気に障ったのなら、ごめんなさい。黄泉平坂は初めての場所なので、私、凄く緊張してしまって。ここは、禍津日神様にとって住み慣れた故郷なのに……」
若菜は、当然ながら黄泉平坂の事を知らない。
死者と生者の狭間、黄泉の国の入口と聞けば、つい身構えてしまうけれど、彼にとってはここは安住の地であり、高天原より落ち着くのだろう。
素直に若菜が謝罪すると、肩越しに振り返った、禍津日神の瞳が、さらに細められ黄金色に鈍く輝いた。
すると、若菜の記憶が途切れたかのように、一瞬にして彼が背後に立っていた。禍津日神は若菜の腰を抱くと、顎を掴み、自分の方に顔を向ける。
「あっ……ま、禍津日神様?」
「お優しい方ですねぇ、若菜殿。なるほど……貴女は慈愛の女神ですか。別け隔てなく愛と優しさを他者に振りまく……厄介なお姫様。ここに足を踏み入れた時に感じた物は、高天原の香りかと思っていましたが……、この華の香りは、貴女の体から薫るようです」
そう、彼が囁くと屋敷の両壁が目にも止まらない早さで、若菜の横を通り過ぎて行く。それとも、彼女にはそのように錯覚して見えてしまったのだろうか。いつの間にか若菜は祭壇のある洞窟へと、導かれた。
祭壇の上には禍々しい小さな黒い社が安置され、油を入れた燈盞に、ぼんやりと灯火が宿る。
その前方には、大きな四角に切り取られた畳があり、そこは赤黒い布が斜めに敷かれていた。よくよく見ると呪詛のような文字が書かれており、なんらかの呪術の儀式を、連想させる。
若菜はまるで、金縛りにでもあったかのように、体が動かず、禍津日神を見つめた。
「無自覚の魅了と博愛精神で、神や人、妖魔を虜にする。貴女は知らないうちに、周りの者を不幸にしてしまうのですねぇ。貴女は罪深いお姫様だ。……ふふっ、気に入りました」
「あ、あの……禍津日神様、これから……何をするの……ですか」
ゾクゾクと、若菜の背筋を何か恐ろしい物が這い上がってくるような感覚がする。禍津日神の青白い腕に、まるで呪詛のような梵字の入墨が、次々と浮かび上がってきた。
「なにって、貴女に私の穢れを差し上げるのですよ。私の穢れを授ければ貴女は、その美しさのまま、人間の死者として偽れるのです。それにしても……、生きた女とするのは何百年ぶりだろう。私の相手は、死にたての者ばかりですからね」
そう言うと、禍津日神は背後から口付けた。冷たい感触がして、驚いた若菜の口腔内に、舌がぬるりと挿入される。
そんな事は説明されていない、と彼から逃れようとした若菜だが、許されるはずもない。
「はっ……ゃ、やめっ……いやぁ!」
冷たい舌の感触を拒否するように、彼から離れると、禍津日神は、若菜の目の前から瞬時にして消え去る。背後を振り向き彼を探してみても、禍津日神の姿はどこにもなく、嘲笑うような声が聞こえた。
「嫌なら仕方ありませんねぇ。無理やりするのは、頂けませんから。けれど、生きた女神なんて亡者にとって、最高の餌です。そのまま黄泉国に行くのもよし、愛する夫を捨てて高天原に帰るのもよし、貴女の人生ですから若菜殿のお好きになさい」
若菜は、肩を震わせる。
そして、胸の前で両手を組むと瞳を閉じた。このまま晴明を見捨てて、逃げ帰る事など出来ない。
穢れを受け入れる儀式とはいえ、朔や晴明への罪悪感で潰されそうになる若菜だが、自分が犠牲になれば良いだけだ。今はここにいない最愛の朔や、大事な式神達の顔が浮かび、恋しくなってしまうが、一人で来た以上自分が、道を切り開くしかない。
腹を括ったように、若菜は顔を上げた。
「わ、分かりました……。禍津日神様。私、あの……動揺してしまってごめんなさい……本当に無礼でした。禍津日神様、どうか私にお力添え下さい」
「ふふふ。そのようなお顔をされては、つい意地悪をしたくなりますよ。そうですね……では若菜殿、ご自分で巫女服をお脱ぎ下さい。可愛らしい幼妻が、夫以外の男の前で天鈿女命のように一糸纏わぬ姿になるのは……最高に屈辱的でしょう?」
再び、目の前に禍津日神が現れると若菜は赤面した。まだ出逢って間もない彼に、全裸を見られるだなんて羞恥で体が震える。禍津日神は自分の顎を掴みながら、首を傾げ煽るように笑っていた。
若菜は、須佐之男が彼を悪神だと言っていた事を思い出して目を瞑る。
禍津日神は、掴み所がなく、常に他人に対して、からかうような素振りをするので、その評価は正しいように思う。
「は、はい……」
若菜は、緊張しながら巫女服に手を掛けると帯を緩め、緋袴をストンと下に降ろした。そして、白衣を腕まで脱ぐと、彼はその姿を見て愉快そうに笑った。
「ん……綺麗ですねぇ、若菜殿。乳房も女陰も、細い首も、丸みのあるなだらかな腰も……生者の生命力に満ち溢れていて、瑞々しい。あ、白衣だけは少し羽織って下さい。その方が興奮しますから」
若菜は白衣を手繰り寄せると、禍津日神が再び彼女の顎を掴んで、口付けた。冷たい蛇のような舌が口腔内に侵入し、若菜の舌に絡み付いてくる。ぬらぬらとお互いが絡まると、禍津日神に熱が宿った。舌の表面を擽られ、ねっとりと愛撫されると、感じたくなくとも、意志とは関係なく、若菜の敏感な体が反応してしまう。
「ふっ……んっ……はっ……んぅ………はっ……んっ! ふっ……はっ、ぁ、はぁ……ん、んん」
「ん、甘いな。唾液が美味い女は初めてですよ。柔らかい品のある乳房だ……貴女、そうやって感じないように我慢していますが……敏感でしょう?」
立ったまま、貪り食うように若菜の首筋に口付け、腰を抱くと白衣の中で乳房を揉む。冷たい禍津日神の掌に揉まれ、目を伏せた若菜は、快感を我慢するように吐息を漏らした。
若菜の肌から薫る、清々しくそれでいて、優しさを感じる甘い香りに、禍津日神は興奮した。指の腹で薄桃色の綺麗な乳輪をなぞられると、若菜は彼の着物を握った。
「はっ……んっ、い、いや……意地悪しないでくだ……ぁ、や……そんな、そんな事ない……はぁっ……や、や、んっ……んぅ……ひぁ」
「愛する夫の前でも、そんなふうに嘘をつくのですか? それに……どうやら、貴女は須佐之男殿とも関係が深いようで。抱かれたんでしょう、彼に」
耳障りな笑い声に、若菜は頭を振って涙を零す。すると、彼はおもむろに彼女を抱き上げ、血のように赤黒い布に横たえた。
若菜の両手首に、どこからともなく現れた黒い紐が、しゅるしゅると纏わりつく。そして、その紐を打ちつけるようにして、杭が打たれた。
まるで、罪人にでもなったような気分だ。
「っ……禍津日神様、酷い事はしないで……」
「勿論ですよ、若菜殿。私に敬語はいりません。私は、普段通りの貴女の痴態を見たいので。……それで、抱かれたんですよね?」
「そ、それは……。須佐之男様が無理やり私を……だ、だから、お妾さんになるとか、妻になるだなんて、そんな……違うの。誤解だよ」
禍津日神は、胡座を組み若菜を見下ろすと、なだらかな乳房を撫でる。彼は、若菜に不貞の告白をさせる事に、興奮を感じているようだ。冷たい指先で乳輪をなぞって、先端の薄桃色の蕾を撫でる。
若菜は、縛られたまま敏感に体を震わせた。
「へぇ……? 手籠めにされ共に行動しなければいけないだなんて、災難ですね。だけど貴女を犯したくなる気持ちは分かりますよ。だって、こんなにも若菜殿は敏感ですし」
他人事のように嘲笑う禍津日神は、若菜の乳頭の先端に舌を絡める。意地悪な言動とは真逆で、ねっとりとした愛撫は丁寧だ。彼は、若菜の敏感な乳頭を擽った。梵字の入墨が浮かび上がる、禍津日神の青白い掌が、豊かな白い乳房を揉む。
「あっ……んんっ、はぁっ……ふっ、やぁっ……んっ……はっ、んんっ! ゃ、だ、だめ……あっ……んんっ、はぁ……ふぁ……ぁん! ふぁっ……いやぁ、あっ……お耳だめっ……んぅっ」
薄桃色の蕾を円を描くように舌で愛撫し、唇で吸い付き、執拗にそれを舐めていた禍津日神は、舌先を首筋から敏感な耳朶まで這わせて、甘く噛み付く。
耳を責められる度に、若菜の口から鈴の音のような、甘い上擦った嬌声が聞こえると、禍津日神が喉の奥で笑った。
「堪え性のないお姫様。夫を探しながら他の男の愛撫で善がるなんてね。本当に、敏感な場所が分かりやすくて面白い……可愛いですよ、若菜殿。たっぷり私の穢れを注いで、黄泉国へとご招待しましょう」
禍津日神は、若菜の甘い耳を舌先で擽りながら、滑らかな肌に指で触れる。臍まで辿ると周辺をゆっくりと撫でられ、頬を紅潮させて、若菜は目を伏せた。
「はっ……は、ぁ、早く終わらせて……こ、こんな事、だめ、だめなの、あっ……ひゃあんっ、あっあっ……あんんっ……禍津日神さっ……あっ、あんんっ、ゃっ……はぁぁっ」
禍津日神の指が、閉じた足を割り敏感な陰裂に触れる。彼は、若菜に対して死人の女にはないぬくもりに興奮し、無毛の花の感触を楽しむと、上下にそこを擦った。
早く終わらせてくれと懇願する、若菜の声に耳を傾ける様子もなく、禍津日神は、薄桃色の花弁がしっとりと自分の指に吸い付くのを楽しみながら、撫で回し、揉んだ。
「早く終わらせるのはもったいないですよ。どうせなら楽しみましょう。ほら、少し触れただけで、愛液が糸を引く。もっと情けなくいやらしい蜜を垂らして下さい。その方が、犯し甲斐があるんだから」
禍津日神はそう囁くと、桃色に充血する花弁全体をさらに揉みほぐし、小さな花芽を中指で擦った。若菜は、快感に息を呑むと、蜜色の瞳から涙を弾け飛ばして、ガクガクと震えた。
「やぁぁっ、あっ……あぁっ、んんっ、だめだめっ……あっやぁっ……やぁん、いやぁっ……そこっ、よわっ……あっ、あぁっ……弱いのっ……はっ、んんんっ……触らないでっ……あっあっあっ」
「自ら弱点を教えるなんて……淫乱なお姫様ですねぇ。ここを集中的に擦って差し上げますよ、ほらほら花芽責め、気持ち良いでしょう?」
そう言うと、禍津日神は膨らみ始めた花芽を、指の腹で素早く擦った。一番敏感な場所を擦られると、蜜壺の奥からとろとろの愛液が溢れる。禍津日神は花芽を優しく摘み、竿を扱くように、じゅぷじゅぷと動かして、追い詰めていく。
「あっ……あぁっ、やぁぁ、あっあっあっ♡ ひっ、~~~~~ッッ♡♡ やぁっ、やだぁっ、ま、待ってっ、あっ、んっ……さっき、イッたばっかりっ……んぁっ、やぁぁぁっ♡♡ はーーっ、はぁっ、も、もうっ……~~~~ッッ♡♡」
執拗に花芽を指で優しく扱かれ、つねられると、若菜はビクビクと体を震わせて絶頂に達した。一度ならず、二度、三度と上下左右に撫でられ、若菜は咽び泣きながら懇願する。
若菜の表情を見ていると、禍津日神は嗜虐的な気持ちになった。あえて膣内には触れず、まるで拷問のように花芽を愛撫すると、赤黒い布が若菜の漏らした愛液で、びっしょりと濡れていた。
「ふふ……何度も素直にイッて可愛いですね。人間の女の方がまだ快楽には、我慢強いですよ。なるほど、そうか。貴女……性愛の霊性も持たれているのですねぇ……。若菜殿の蜜は、生命力に満ちている。ああ美味い」
禍津日神は指を舐めると、ほう、と吐息を漏らした。彼女の蜜は、黄泉平坂や黄泉国では味わえない神酒、高価な果汁のように上品で、美味い。一度味わえば、何度も口にしたくなるほどの、中毒性がある。これは、天照大神に力を抑えられても消えない特性だ。
禍津日神は、若菜の花弁までするすると下がると、薄桃色のそれを左右に開く。そして、溢れた蜜を音を立てて啜り、長い舌先をぐっと、膣口に這わせた。
若菜が身構えた瞬間、舌先がぐぐっと陰茎のように挿入される。
「あっ! やぁぁぁっ……♡♡ ひっ、あっ、ああっ……んぁぁ、ゃ、だめ、膣内で動くっ……あっあっあ♡ いやぁ、んっ、はっ、ふぁぁっ♡♡」
若菜は、両手首を拘束されたまま腰を浮かせた。蠢く長い舌は、器用に波打ち若菜の膣内にある陰核の裏を舐め、彼女の奥にある子宮口の手前を柔らかく押した。
禍津日神は、想像以上に蠢く肉壁に驚き若菜から与えられる快感に呻いた。喉を潤す神酒のような愛液に、目を細め、くるくると舌を回すと、若菜は可愛らしい声で鳴く。
「~~~~ッッッ♡♡ あっ、ひぁあっ……あ、ああっ、ゃ、だめ、イッちゃうなんてっ……~~~~ッッッ♡♡ んぁぁ、やぁ、舌でグリグリしないでっ……やぁぁぁ、禍津日神さまっ、やらぁっ♡♡」
ズブズブと舌を内部で蠕動させ、二度、若菜を絶頂させた禍津日神は、愛液を引きながら舌を抜く。快楽に敗北した若菜は、子供のように嗚咽をあげながら泣いた。クスクスと彼は笑うと言う。
「快楽に負けちゃう若菜殿は可愛いですよ。もう少し私の戯れに付き合って下さい。私の前戯で敗北する貴女の顔、愛する夫と須佐之男様に教えてあげたいですし? 実は晴明殿が黄泉平坂を通られたのは、私も確認しておりますしねぇ……裏切りの証もちゃんと記録として見せて差し上げないと」
「あ、いやっ……も、もう……気持ちいいのやだ、んんっ、いわ、言わないでっ、違うっ、違うの! これはっ、~~~~ッッッ♡♡ やぁぁ♡♡」
「人妻って最高ですよねぇ……特に貴女みたいに夫を助けに来たなんていう、可愛い子は落としたくなる」
禍津日神は、二本の指を挿入すると勃起した花芽を優しく噛み、舌を動かし舐った。時々唇で吸い上げ、指で膣内をゆっくりと優しく前後に愛撫すると、ぐちゅ、ぐちゅとはしたない大きな音が響いた。
指が擦れる度に若菜の体は、くねりヒクヒクと指を締める。
「凄いですねぇ……こんな女陰は初めてです。究極の名器ってやつか。恐ろしいくらいに指に絡み付いて気持ちいい……貴女の女陰に挿入したら、どうなるんです? あら、気持ち良すぎて答えられませんか」
「あっあっあっ♡♡ ん~~~~っ、あぁあ、だめ、気持ちいいのだめっ、はぁぁっ、はずかしいっ、あっあっあっ、花芽と膣内だめっ、イクッ♡ あっあっあっ♡♡ ~~~~~ッッ♡♡ イクッだめイクッ、やぁぁあんっ♡♡」
舌が猥雑に動いて花芽を激しく責め立て、指を動かす。キラキラと光る愛液が飛び散り、幾層も段のある、天上の華と呼ばれた膣内が、絡み付いてきた。若菜は頭が真っ白になって、意識が遠くなる。
この黄泉平坂で自分以外に頼れるのは、須佐之男たけなので、若菜は不安を覚えたが、ここは禍津日神の神域だ。
廃神社のような佇まいの本殿の扉を開けると、長い廊下が遥か彼方まで続いている。赤い焔が目の前を歩く、禍津日神の姿を映し出していた。
若菜は、彼の神域を不気味に感じてしまった事に、申し訳なさを覚えながら、怖くなって声を掛ける。
「ま、禍津日神様、このお社に一人で住まわれているのですか? ここは……あの、寂しくはありませんか」
「ええ。高天原より遥かに暗く、夜の世界よりも闇が深いでしょう。ふふふ、若菜殿にとってここは、恐ろしい場所に思われるでしょうが……案外生者の世界と変わらず、賑やかなんですよ。世話をする神使もおりますし」
「……あ、あのお気に障ったのなら、ごめんなさい。黄泉平坂は初めての場所なので、私、凄く緊張してしまって。ここは、禍津日神様にとって住み慣れた故郷なのに……」
若菜は、当然ながら黄泉平坂の事を知らない。
死者と生者の狭間、黄泉の国の入口と聞けば、つい身構えてしまうけれど、彼にとってはここは安住の地であり、高天原より落ち着くのだろう。
素直に若菜が謝罪すると、肩越しに振り返った、禍津日神の瞳が、さらに細められ黄金色に鈍く輝いた。
すると、若菜の記憶が途切れたかのように、一瞬にして彼が背後に立っていた。禍津日神は若菜の腰を抱くと、顎を掴み、自分の方に顔を向ける。
「あっ……ま、禍津日神様?」
「お優しい方ですねぇ、若菜殿。なるほど……貴女は慈愛の女神ですか。別け隔てなく愛と優しさを他者に振りまく……厄介なお姫様。ここに足を踏み入れた時に感じた物は、高天原の香りかと思っていましたが……、この華の香りは、貴女の体から薫るようです」
そう、彼が囁くと屋敷の両壁が目にも止まらない早さで、若菜の横を通り過ぎて行く。それとも、彼女にはそのように錯覚して見えてしまったのだろうか。いつの間にか若菜は祭壇のある洞窟へと、導かれた。
祭壇の上には禍々しい小さな黒い社が安置され、油を入れた燈盞に、ぼんやりと灯火が宿る。
その前方には、大きな四角に切り取られた畳があり、そこは赤黒い布が斜めに敷かれていた。よくよく見ると呪詛のような文字が書かれており、なんらかの呪術の儀式を、連想させる。
若菜はまるで、金縛りにでもあったかのように、体が動かず、禍津日神を見つめた。
「無自覚の魅了と博愛精神で、神や人、妖魔を虜にする。貴女は知らないうちに、周りの者を不幸にしてしまうのですねぇ。貴女は罪深いお姫様だ。……ふふっ、気に入りました」
「あ、あの……禍津日神様、これから……何をするの……ですか」
ゾクゾクと、若菜の背筋を何か恐ろしい物が這い上がってくるような感覚がする。禍津日神の青白い腕に、まるで呪詛のような梵字の入墨が、次々と浮かび上がってきた。
「なにって、貴女に私の穢れを差し上げるのですよ。私の穢れを授ければ貴女は、その美しさのまま、人間の死者として偽れるのです。それにしても……、生きた女とするのは何百年ぶりだろう。私の相手は、死にたての者ばかりですからね」
そう言うと、禍津日神は背後から口付けた。冷たい感触がして、驚いた若菜の口腔内に、舌がぬるりと挿入される。
そんな事は説明されていない、と彼から逃れようとした若菜だが、許されるはずもない。
「はっ……ゃ、やめっ……いやぁ!」
冷たい舌の感触を拒否するように、彼から離れると、禍津日神は、若菜の目の前から瞬時にして消え去る。背後を振り向き彼を探してみても、禍津日神の姿はどこにもなく、嘲笑うような声が聞こえた。
「嫌なら仕方ありませんねぇ。無理やりするのは、頂けませんから。けれど、生きた女神なんて亡者にとって、最高の餌です。そのまま黄泉国に行くのもよし、愛する夫を捨てて高天原に帰るのもよし、貴女の人生ですから若菜殿のお好きになさい」
若菜は、肩を震わせる。
そして、胸の前で両手を組むと瞳を閉じた。このまま晴明を見捨てて、逃げ帰る事など出来ない。
穢れを受け入れる儀式とはいえ、朔や晴明への罪悪感で潰されそうになる若菜だが、自分が犠牲になれば良いだけだ。今はここにいない最愛の朔や、大事な式神達の顔が浮かび、恋しくなってしまうが、一人で来た以上自分が、道を切り開くしかない。
腹を括ったように、若菜は顔を上げた。
「わ、分かりました……。禍津日神様。私、あの……動揺してしまってごめんなさい……本当に無礼でした。禍津日神様、どうか私にお力添え下さい」
「ふふふ。そのようなお顔をされては、つい意地悪をしたくなりますよ。そうですね……では若菜殿、ご自分で巫女服をお脱ぎ下さい。可愛らしい幼妻が、夫以外の男の前で天鈿女命のように一糸纏わぬ姿になるのは……最高に屈辱的でしょう?」
再び、目の前に禍津日神が現れると若菜は赤面した。まだ出逢って間もない彼に、全裸を見られるだなんて羞恥で体が震える。禍津日神は自分の顎を掴みながら、首を傾げ煽るように笑っていた。
若菜は、須佐之男が彼を悪神だと言っていた事を思い出して目を瞑る。
禍津日神は、掴み所がなく、常に他人に対して、からかうような素振りをするので、その評価は正しいように思う。
「は、はい……」
若菜は、緊張しながら巫女服に手を掛けると帯を緩め、緋袴をストンと下に降ろした。そして、白衣を腕まで脱ぐと、彼はその姿を見て愉快そうに笑った。
「ん……綺麗ですねぇ、若菜殿。乳房も女陰も、細い首も、丸みのあるなだらかな腰も……生者の生命力に満ち溢れていて、瑞々しい。あ、白衣だけは少し羽織って下さい。その方が興奮しますから」
若菜は白衣を手繰り寄せると、禍津日神が再び彼女の顎を掴んで、口付けた。冷たい蛇のような舌が口腔内に侵入し、若菜の舌に絡み付いてくる。ぬらぬらとお互いが絡まると、禍津日神に熱が宿った。舌の表面を擽られ、ねっとりと愛撫されると、感じたくなくとも、意志とは関係なく、若菜の敏感な体が反応してしまう。
「ふっ……んっ……はっ……んぅ………はっ……んっ! ふっ……はっ、ぁ、はぁ……ん、んん」
「ん、甘いな。唾液が美味い女は初めてですよ。柔らかい品のある乳房だ……貴女、そうやって感じないように我慢していますが……敏感でしょう?」
立ったまま、貪り食うように若菜の首筋に口付け、腰を抱くと白衣の中で乳房を揉む。冷たい禍津日神の掌に揉まれ、目を伏せた若菜は、快感を我慢するように吐息を漏らした。
若菜の肌から薫る、清々しくそれでいて、優しさを感じる甘い香りに、禍津日神は興奮した。指の腹で薄桃色の綺麗な乳輪をなぞられると、若菜は彼の着物を握った。
「はっ……んっ、い、いや……意地悪しないでくだ……ぁ、や……そんな、そんな事ない……はぁっ……や、や、んっ……んぅ……ひぁ」
「愛する夫の前でも、そんなふうに嘘をつくのですか? それに……どうやら、貴女は須佐之男殿とも関係が深いようで。抱かれたんでしょう、彼に」
耳障りな笑い声に、若菜は頭を振って涙を零す。すると、彼はおもむろに彼女を抱き上げ、血のように赤黒い布に横たえた。
若菜の両手首に、どこからともなく現れた黒い紐が、しゅるしゅると纏わりつく。そして、その紐を打ちつけるようにして、杭が打たれた。
まるで、罪人にでもなったような気分だ。
「っ……禍津日神様、酷い事はしないで……」
「勿論ですよ、若菜殿。私に敬語はいりません。私は、普段通りの貴女の痴態を見たいので。……それで、抱かれたんですよね?」
「そ、それは……。須佐之男様が無理やり私を……だ、だから、お妾さんになるとか、妻になるだなんて、そんな……違うの。誤解だよ」
禍津日神は、胡座を組み若菜を見下ろすと、なだらかな乳房を撫でる。彼は、若菜に不貞の告白をさせる事に、興奮を感じているようだ。冷たい指先で乳輪をなぞって、先端の薄桃色の蕾を撫でる。
若菜は、縛られたまま敏感に体を震わせた。
「へぇ……? 手籠めにされ共に行動しなければいけないだなんて、災難ですね。だけど貴女を犯したくなる気持ちは分かりますよ。だって、こんなにも若菜殿は敏感ですし」
他人事のように嘲笑う禍津日神は、若菜の乳頭の先端に舌を絡める。意地悪な言動とは真逆で、ねっとりとした愛撫は丁寧だ。彼は、若菜の敏感な乳頭を擽った。梵字の入墨が浮かび上がる、禍津日神の青白い掌が、豊かな白い乳房を揉む。
「あっ……んんっ、はぁっ……ふっ、やぁっ……んっ……はっ、んんっ! ゃ、だ、だめ……あっ……んんっ、はぁ……ふぁ……ぁん! ふぁっ……いやぁ、あっ……お耳だめっ……んぅっ」
薄桃色の蕾を円を描くように舌で愛撫し、唇で吸い付き、執拗にそれを舐めていた禍津日神は、舌先を首筋から敏感な耳朶まで這わせて、甘く噛み付く。
耳を責められる度に、若菜の口から鈴の音のような、甘い上擦った嬌声が聞こえると、禍津日神が喉の奥で笑った。
「堪え性のないお姫様。夫を探しながら他の男の愛撫で善がるなんてね。本当に、敏感な場所が分かりやすくて面白い……可愛いですよ、若菜殿。たっぷり私の穢れを注いで、黄泉国へとご招待しましょう」
禍津日神は、若菜の甘い耳を舌先で擽りながら、滑らかな肌に指で触れる。臍まで辿ると周辺をゆっくりと撫でられ、頬を紅潮させて、若菜は目を伏せた。
「はっ……は、ぁ、早く終わらせて……こ、こんな事、だめ、だめなの、あっ……ひゃあんっ、あっあっ……あんんっ……禍津日神さっ……あっ、あんんっ、ゃっ……はぁぁっ」
禍津日神の指が、閉じた足を割り敏感な陰裂に触れる。彼は、若菜に対して死人の女にはないぬくもりに興奮し、無毛の花の感触を楽しむと、上下にそこを擦った。
早く終わらせてくれと懇願する、若菜の声に耳を傾ける様子もなく、禍津日神は、薄桃色の花弁がしっとりと自分の指に吸い付くのを楽しみながら、撫で回し、揉んだ。
「早く終わらせるのはもったいないですよ。どうせなら楽しみましょう。ほら、少し触れただけで、愛液が糸を引く。もっと情けなくいやらしい蜜を垂らして下さい。その方が、犯し甲斐があるんだから」
禍津日神はそう囁くと、桃色に充血する花弁全体をさらに揉みほぐし、小さな花芽を中指で擦った。若菜は、快感に息を呑むと、蜜色の瞳から涙を弾け飛ばして、ガクガクと震えた。
「やぁぁっ、あっ……あぁっ、んんっ、だめだめっ……あっやぁっ……やぁん、いやぁっ……そこっ、よわっ……あっ、あぁっ……弱いのっ……はっ、んんんっ……触らないでっ……あっあっあっ」
「自ら弱点を教えるなんて……淫乱なお姫様ですねぇ。ここを集中的に擦って差し上げますよ、ほらほら花芽責め、気持ち良いでしょう?」
そう言うと、禍津日神は膨らみ始めた花芽を、指の腹で素早く擦った。一番敏感な場所を擦られると、蜜壺の奥からとろとろの愛液が溢れる。禍津日神は花芽を優しく摘み、竿を扱くように、じゅぷじゅぷと動かして、追い詰めていく。
「あっ……あぁっ、やぁぁ、あっあっあっ♡ ひっ、~~~~~ッッ♡♡ やぁっ、やだぁっ、ま、待ってっ、あっ、んっ……さっき、イッたばっかりっ……んぁっ、やぁぁぁっ♡♡ はーーっ、はぁっ、も、もうっ……~~~~ッッ♡♡」
執拗に花芽を指で優しく扱かれ、つねられると、若菜はビクビクと体を震わせて絶頂に達した。一度ならず、二度、三度と上下左右に撫でられ、若菜は咽び泣きながら懇願する。
若菜の表情を見ていると、禍津日神は嗜虐的な気持ちになった。あえて膣内には触れず、まるで拷問のように花芽を愛撫すると、赤黒い布が若菜の漏らした愛液で、びっしょりと濡れていた。
「ふふ……何度も素直にイッて可愛いですね。人間の女の方がまだ快楽には、我慢強いですよ。なるほど、そうか。貴女……性愛の霊性も持たれているのですねぇ……。若菜殿の蜜は、生命力に満ちている。ああ美味い」
禍津日神は指を舐めると、ほう、と吐息を漏らした。彼女の蜜は、黄泉平坂や黄泉国では味わえない神酒、高価な果汁のように上品で、美味い。一度味わえば、何度も口にしたくなるほどの、中毒性がある。これは、天照大神に力を抑えられても消えない特性だ。
禍津日神は、若菜の花弁までするすると下がると、薄桃色のそれを左右に開く。そして、溢れた蜜を音を立てて啜り、長い舌先をぐっと、膣口に這わせた。
若菜が身構えた瞬間、舌先がぐぐっと陰茎のように挿入される。
「あっ! やぁぁぁっ……♡♡ ひっ、あっ、ああっ……んぁぁ、ゃ、だめ、膣内で動くっ……あっあっあ♡ いやぁ、んっ、はっ、ふぁぁっ♡♡」
若菜は、両手首を拘束されたまま腰を浮かせた。蠢く長い舌は、器用に波打ち若菜の膣内にある陰核の裏を舐め、彼女の奥にある子宮口の手前を柔らかく押した。
禍津日神は、想像以上に蠢く肉壁に驚き若菜から与えられる快感に呻いた。喉を潤す神酒のような愛液に、目を細め、くるくると舌を回すと、若菜は可愛らしい声で鳴く。
「~~~~ッッッ♡♡ あっ、ひぁあっ……あ、ああっ、ゃ、だめ、イッちゃうなんてっ……~~~~ッッッ♡♡ んぁぁ、やぁ、舌でグリグリしないでっ……やぁぁぁ、禍津日神さまっ、やらぁっ♡♡」
ズブズブと舌を内部で蠕動させ、二度、若菜を絶頂させた禍津日神は、愛液を引きながら舌を抜く。快楽に敗北した若菜は、子供のように嗚咽をあげながら泣いた。クスクスと彼は笑うと言う。
「快楽に負けちゃう若菜殿は可愛いですよ。もう少し私の戯れに付き合って下さい。私の前戯で敗北する貴女の顔、愛する夫と須佐之男様に教えてあげたいですし? 実は晴明殿が黄泉平坂を通られたのは、私も確認しておりますしねぇ……裏切りの証もちゃんと記録として見せて差し上げないと」
「あ、いやっ……も、もう……気持ちいいのやだ、んんっ、いわ、言わないでっ、違うっ、違うの! これはっ、~~~~ッッッ♡♡ やぁぁ♡♡」
「人妻って最高ですよねぇ……特に貴女みたいに夫を助けに来たなんていう、可愛い子は落としたくなる」
禍津日神は、二本の指を挿入すると勃起した花芽を優しく噛み、舌を動かし舐った。時々唇で吸い上げ、指で膣内をゆっくりと優しく前後に愛撫すると、ぐちゅ、ぐちゅとはしたない大きな音が響いた。
指が擦れる度に若菜の体は、くねりヒクヒクと指を締める。
「凄いですねぇ……こんな女陰は初めてです。究極の名器ってやつか。恐ろしいくらいに指に絡み付いて気持ちいい……貴女の女陰に挿入したら、どうなるんです? あら、気持ち良すぎて答えられませんか」
「あっあっあっ♡♡ ん~~~~っ、あぁあ、だめ、気持ちいいのだめっ、はぁぁっ、はずかしいっ、あっあっあっ、花芽と膣内だめっ、イクッ♡ あっあっあっ♡♡ ~~~~~ッッ♡♡ イクッだめイクッ、やぁぁあんっ♡♡」
舌が猥雑に動いて花芽を激しく責め立て、指を動かす。キラキラと光る愛液が飛び散り、幾層も段のある、天上の華と呼ばれた膣内が、絡み付いてきた。若菜は頭が真っ白になって、意識が遠くなる。
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