【R18】隻眼の戦神と溺愛されしヴァルハラの歌姫

蒼琉璃

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傲慢な神の寵愛①

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 不意に舌先が離れると、慣れない深い口付けで酸素を求めるように呼吸を乱して彼を見上げると、口端に笑みを浮かべたヴィズルが右手の親指の腹で、エマの柔らかく瑞々しい唇を親指でなぞった。その仕草にエマは戸惑い虹色の瞳アースアイを泳がせた。
 突然のキスに、昨日の自分ならば彼の頬を打ち付けていただろう。しかし何故か今日は、そんな気持ちも起こらずただ目を逸らした。
 恋人でもない、ましてや別居中の女神つまがいるにも関わらず、自分に口付けをするなんて、最低な男だと心の中では思っているのに、ヴィズルの惹き込まれそうな深い緑色の瞳を見ると思考が停止してしまう。

「ヴィズル様……、ご結婚されているのに、私以外の女性にもこんな風に口付けされているのですか?」
「――――最低な男か、また愉快な異名が出来たものだ。俺の妻は、夫より黄金を愛しているからな。あいつは俺が死んだ方が俺の弟達と楽しめるだろう」
「……? 神様は何でもお見通しなのですね。でもあまり感心しませんわ」

 どう言う意味なのかエマは理解が出来ずに、首を傾げた。まるで笑い話のように話してるがあまり夫妻の関係は良くないようだ。それとも神々は、人間のように嫉妬や不貞を嘆かないものなのだろうか。無垢な肉体ばかりか純潔な思想を持っているエマの指先を掴むと、ヴィズルは口元まで指先を引き寄せた。
 燭台の炎に彩られた翡翠の瞳が細められるとまるで蜘蛛の糸が体に絡みつくように、抵抗が出来なくなる。

「手厳しい女だな。他の女の事を気にするとは、まるで俺を意識しているような態度だな」

 そう笑うと、隻眼の主神の舌先がエマの華奢な指先を舐めた。ビクリ、と体を震わせたエマは赤面して手を引っ込める。心臓が早鐘のように高鳴ってしまい、動揺している姿を見せないように背中を向けた。

「そ、そんな事無いです……! ただ、気になって……あっ……!?」
「俺が創造した世界だ。ここでは俺が全ての法。気に入った女を手に入れるのも、当然の事だ。だが、お前は他の女達とは違って俺を煙に巻く」

 ヴィズルにとって女は、物同然で一時の遊び相手にしか過ぎず、時には知識を得る目的の為に関係を持つ事があった。どの女神達も、主神である自分が言い寄れば簡単に、なし崩しの関係になってしまう事が多かったが、エマは人間でありながら主神に物怖じする事が無かった。
 空いた背中に指先を這わせて、ヴィズルが背後から寄り添うと耳元に唇を寄せ低い声で言った。

「昼間は、渡り烏の愛撫に随分とよがっていたな。玉座からお前の様子が丸見えだったぞ」
「……!? 酷いですわ、の、覗くなんて!」

 赤面したエマは、振り返りあまりの無神経さに抗議をしよう手をあげるといとも簡単に手首を掴まれた。そして軽々と華奢な体を抱きあげられた。小さく悲鳴をあげて両足をばたつかせるが、柔らかな天蓋のベッドにエマを放り投げた。エマは乱暴されるのではないかと青褪め怯えたようにヴィズルを見上げた。
 乱れた服から見える胸板と、隻眼の翡翠の瞳が艷やかに細められ、エマの両手を掴むとぐっと顔を近付けた。

「そう怯えるな。お前が思う程、俺は鬼畜な神では無いぞ。エマよ、俺とゲームをしないか?」
「げ、ゲーム……ですか?」
「そうだ。そのかしこまった喋り方は止めろ。俺といる間は、フギンとムニンに接するようにすれば良い」

 エマは心臓の音が聞こえてしまうのかと思うくらいに脈打つ鼓動を抑えるようにして、問い掛けた。こんな格好で迫られたのだから、とんでもない事を言われるかと思ったら、そのような条件なら、別段苦になるような事でも無い。
 しかし、この『かしこまった態度を止める』と言うのが一体どんなゲームになるというのだろうか。ヴィズルの口端がゆっくりと釣り上がると、エマの疑問に答えるように言った。

「――――と、まぁ……ここまでは俺の命令だが、ゲームのルールはこうだ。お前が俺の愛撫に一度でも気をやらず、フギンとムニンよりも感じなければ今後一切お前には触れない。その代わり、一度でも達すれば、処女を貰うぞ」
「なっ……!?」

 エマは耳まで紅くなった。なんて淫らで背徳的なゲームだろうか。こんな馬鹿らしい事を真剣にするなんてとんでもない、と思うエマたが主神に逆らう等と言う選択肢は、初めから用意されてはいない。
 ようは、このゲームに勝てば良いのだ。ヴィズルの愛撫に感じなければ良いのだから、エマはじっと彼を見つめた。

「わかったわ。ヴィズル様の愛撫に感じなければ私の勝ちでしょう?」
「随分と自信があるな。背徳的な快楽も主への信仰があれば、乗り越えられるとでも……?」
「そう思うわ。貴方は異教の神だもの」

 まるで悪魔の囁きのようにそう言うと、一旦体を引いて、シャツの袖のボタンを外した。ゆっくりと腕捲りすると不敵に笑みを浮かべる。
 鍛えられた腕も、青白く見える肌もその傲慢で意地悪に見える笑顔も、腹立たしく感じる反面、底知れぬ魅惑的なものを感じた。
 例えばそれを悪だと感じていても、引力で惹き付けられてしまうような感覚だ。自分勝手で、誠実さの欠片もない最低な主神おとこである筈なのに、その翡翠の瞳の奥にあるものが何なのか知りたくなってしまう程に神秘的に輝いていた。

「馬鹿な女だな。俺をそうして煽っておいて後で後悔するのはお前だぞ、エマ。だが……その高潔さが、俺を惹き付ける」

 鼻で笑うと、ベッドで震えるエマの顎を捉えた。ヴィズルの唇がゆっくりと重ねられる。ワインの僅かな味と、隙間から挿入される舌先。
 意地悪な煽りとは異なり、女慣れしたような繊細な動きだった。彼の服を握りしめて口付けを受ける。控えめに縮こまった舌先を誘うようにヴィズルの舌先が絡まり、唾液を交換する淫らな音が響いた。
 心地良い舌の動きは、絡まる舌先から頭の天辺までじわじわと這い上がるような、心地よさに頭がぼんやりとした。呼吸の合間に僅かに吐息と声が漏れる。

「っ……はぁっ……」
「……ん……」

 唇が離れる濡れた音がすると、エマはぼんやりとヴィズルを見つめた。笑みを浮かべられたような気がして、頬を染めたまま目を閉じて顔をそらした。それを狙っていたかのように、ヴィズルの唇が耳元の付け根までくると、熱い吐息を吐きながら舌先を這わせた。
 ビクンッ、とエマの肩が震えたが構わず舌先で押すように耳朶を舐った。唇を噛み締め、虹色アースアイの瞳を薄っすらと開ける。

「はぁ……、声を出すのは構わんぞ」

 濡れた舌先が耳の裏をゆっくりと舐め、耳の形をなぞるように舌先を尖らせて上下に動かした。耳朶に再び戻ったヴィズルの唇がやわらかなそれを含むと思わず吐息が漏れる。

「はあっ……! っ……、ん、っ……」

 浅く首筋に口付けながら、ゆっくりと舌先でなぞると、エマはヴィズルのシャツを握りしめた。はだけて肩から服がずれ落ちると、貪るように首筋から鎖骨へと舌先と唇で愛撫を繰り返した。隻眼の主神の滴り落ちる銀糸が、肌を伝うと体が震えて徐々に瞳が甘く蕩け始めた。
 丁寧な舌の動きが、フギンとムニンよりも洗練さて肌に密着する度にぞくぞくと体が震えた。

「はぁ……はぁっ、んっ……ゃっ、ぁっ……んんっ」
「どうした……? だんだんと俺の舌使いで甘い声が漏れてきたな。先程までの強気はどこに行った?」
「っっ、違うわ、少し……息が乱れただけだもの。意地悪な人」
のでな……フフフ」

 露出の多い純白のドレスの胸の谷間まで、笑いながら舌先を這わせると、徐々にドレスははだけて、エマの華奢な丸い肩が見えた。羞恥にドレスをあげようとする歌姫の指先に口付けると、引き剥がし胸元に舌先を這わせた。
 双子の執事に触れられた時よりも、おかしな気分になる。適度に筋肉のついたヴィズルの腕がエマの腰を抱き、掌を使わずに舌先だけで柔らかな乳房に触れる。

「っ……! はぁっ……ぁっ、ふぁっ……ん」
(駄目よ、声を出さないようにしなくちゃ……気持ちよくならないようにしなくちゃいけないわ)

 エマは小さく喘いでは唇を閉じようとした。その瞬間、大きな手の平が乳房を包むと、押し上げられて思わず甘ったるい矯声きょうせいが漏れた。不敵な笑みを漏らすヴィズルを涙目で睨みつけるが、その指先は乳房を円を描いて押し上げるように揉みしだいた。
 乱暴な手付きでは無く、じんわりと揉みほぐすような動きに体が震えて熱くなるのを感じた。

「あっ……ぁあっ、ふぁっ……やぁんっ、ぁっ、やだ、んっ、やめて、はぁっ……ひっっ、あっ、あっ……いやぁ、舐めないで、ふぁっ、やぁ」

 大きな手の平で揉みながら、薄桃色の突起をじらすように乳房全体を、分厚い舌の表で舐められると、虹色アースアイの目尻から涙が溢れ落ちた。ヴィズルの熱い吐息から漏れる低い声も指の動きも、男を知らない初な歌姫の心を翻弄するには十分過ぎるほどだった。
 徐々に固くなっていく胸の蕾を悪戯にヴィズルに親指で触れられると、ビクンッと腰が大きくしなった。

「――――ッ!! ひっっ、あっ」
「随分と可愛げのある顔になってきたな……どうした、お前の世界の神に懺悔ざんげしなくてもいいのか? 私は異教の神に胸を愛撫されていやらしい声を出してしまいましたとな」
「いやぁ、意地悪っ……、なんてことを、言うの……、あっ、あんっ、やぁぁ、舐めないで、いや、ううっ」

 抵抗するエマと手首を掴み、乳房を広く分厚い舌で舐めると、薄桃色の蕾を意地悪く舐めた。ビリビリと電流が走るような快楽に、切なく眉をしかめた。楽しそうに微笑む隻眼の戦神が憎らしい。そう思うのに、エマの唇からはソプラノの美しい艷声が上がった。
 処女おとめの肌の感触を確かめるように唇と手の平の動きが激しくなる。獲物を射るようなヴィズルの瞳は、エマを見つめていた。
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