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7話 作戦実行と二人の衛兵
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時計の針が彼との約束の時間を指す。リアムの部屋の扉を開けて、この廊下を真っ直ぐ進めばその会場に着くと教えてもらったのでそれ通りに進む。こんなにドレスって動きにくいんだ…文句を垂れている間はないのでとにかく廊下を進む。
今日私がすべきことは「フライア」と名乗る、謎のご令嬢に化けて色んな国の王女様からリアム王子を奪うこと。まるで、悪役令嬢みたい。でも、リアムは他の国の女性のことを嫌がってるわけだから、正義のヒロインか?どうでもいい妄想は今は放っておこう。
そういえば、リアムって体弱そうだったけど大丈夫なのかな…お酒とか飲ませたらすぐにパタリと倒れそうだな。心配している暇があるならさっさと向かってあげるか。私はさっきまでより速く歩く。
よく見れば来た時より、廊下もどこか華やかになっている。この道、結構長いけどあと少しかな?歩みを止めずにいるとリアムの部屋とは桁違いの大きな扉があった。前には衛兵であろう二人が立っており、頑固に見張っている。扉の前まで行くと、その衛兵に止められた。
「失礼しますが、お嬢様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「フライアと申します。」
「聞いたことの無い名だな…」
もしかして、まずいことしたかな?初手から出鼻をくじかれてしまったかもしれない。額に汗が流れ落ちる。焦りがバレないようにできる限りで堂々と立っていると、横にいたもう一人の衛兵が何かを思い出したかのようにいきなり私達の間に割り込んで丁寧に私にお辞儀をした。
「リアム王子から話は聞いております。どうぞ中にお入りください。」
「おい、そんな勝手なことしていいのかよ?!」
横にいた私を怪しむ衛兵がもう一人に対して酷く怒鳴った。
「リアム様の命令が聞けないと言うのか?!」
「それは…」
怒鳴った方の衛兵は丸くなってしまった。片割れの衛兵は私に深く頭を下げて、話を再開した。
「取り乱してしまい、申し訳ないです。フライアお嬢様。どうぞ、中へお進み下さい。リアム王子がお待ちです。」
私もその衛兵に頭を下げると、彼は微笑み、私のために扉を開けてくれた。
目の前には華やかで、煌びやかで、言葉に収めきれないないほどの空間が広がっていた。
息を吸い直して、自分自身を整える。とんでもない人混みの中をよく見ればリアムが何かを話始めるところだ。タイミングはバッチリだろう。
人の群れをかき分け、リアムがよく見える位置まで移動する。そしてついに彼は話し始めた。
「私、リアムはどの婚約も破棄させて頂きます。」
会場には予想だにしなかったことからどよめきが聞こえる。
「私には大切な女性が出来ました。その方を差し置いて婚約だなんて、私には到底無理なことです。」
「そいつは誰なんだ?!」
怒った声が聞こえてくる。それもそうだろうな。良く考えれば、婚約を沢山お願いされた王子が全て断るだなんて常識には欠けた行為だ。というより、そろそろ私の出番だ。
「彼女です。フライア、前へどうぞ。」
もう逃げられないし、やるしかない。これでリアムが解き放たれるなら手伝うのも簡単なことだろう。私は前へ一歩踏みだした。
今日私がすべきことは「フライア」と名乗る、謎のご令嬢に化けて色んな国の王女様からリアム王子を奪うこと。まるで、悪役令嬢みたい。でも、リアムは他の国の女性のことを嫌がってるわけだから、正義のヒロインか?どうでもいい妄想は今は放っておこう。
そういえば、リアムって体弱そうだったけど大丈夫なのかな…お酒とか飲ませたらすぐにパタリと倒れそうだな。心配している暇があるならさっさと向かってあげるか。私はさっきまでより速く歩く。
よく見れば来た時より、廊下もどこか華やかになっている。この道、結構長いけどあと少しかな?歩みを止めずにいるとリアムの部屋とは桁違いの大きな扉があった。前には衛兵であろう二人が立っており、頑固に見張っている。扉の前まで行くと、その衛兵に止められた。
「失礼しますが、お嬢様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「フライアと申します。」
「聞いたことの無い名だな…」
もしかして、まずいことしたかな?初手から出鼻をくじかれてしまったかもしれない。額に汗が流れ落ちる。焦りがバレないようにできる限りで堂々と立っていると、横にいたもう一人の衛兵が何かを思い出したかのようにいきなり私達の間に割り込んで丁寧に私にお辞儀をした。
「リアム王子から話は聞いております。どうぞ中にお入りください。」
「おい、そんな勝手なことしていいのかよ?!」
横にいた私を怪しむ衛兵がもう一人に対して酷く怒鳴った。
「リアム様の命令が聞けないと言うのか?!」
「それは…」
怒鳴った方の衛兵は丸くなってしまった。片割れの衛兵は私に深く頭を下げて、話を再開した。
「取り乱してしまい、申し訳ないです。フライアお嬢様。どうぞ、中へお進み下さい。リアム王子がお待ちです。」
私もその衛兵に頭を下げると、彼は微笑み、私のために扉を開けてくれた。
目の前には華やかで、煌びやかで、言葉に収めきれないないほどの空間が広がっていた。
息を吸い直して、自分自身を整える。とんでもない人混みの中をよく見ればリアムが何かを話始めるところだ。タイミングはバッチリだろう。
人の群れをかき分け、リアムがよく見える位置まで移動する。そしてついに彼は話し始めた。
「私、リアムはどの婚約も破棄させて頂きます。」
会場には予想だにしなかったことからどよめきが聞こえる。
「私には大切な女性が出来ました。その方を差し置いて婚約だなんて、私には到底無理なことです。」
「そいつは誰なんだ?!」
怒った声が聞こえてくる。それもそうだろうな。良く考えれば、婚約を沢山お願いされた王子が全て断るだなんて常識には欠けた行為だ。というより、そろそろ私の出番だ。
「彼女です。フライア、前へどうぞ。」
もう逃げられないし、やるしかない。これでリアムが解き放たれるなら手伝うのも簡単なことだろう。私は前へ一歩踏みだした。
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